今朝、少々、時間があったので書斎に入って資料をめくっていたら、先日から探していた資料が見つかりました。陽水の歌詞の如く、捜し物というのは、慌てて探しているときは見つからないものですね。
さて、今回の連載は、1987年に「愛鳩の友」誌に連載を開始されたピジョン研究所の山田義行さんの「”鳩の眼”とは何か?」です。
イレブンは、この資料については、この掲示板を立ち上げて間もない頃にすでに手にしており、イレブンの書斎の資料ファイルに切り取って保管して降りました。何故今頃になってその公開をしようとしているのかと疑問を持たれる方もおられるかも知れませんので、この資料についての見解の経緯について最初に説明しておきます。
この資料が公開された1987年頃というのは、どのような時代だったかと言うことから話を始めます。
1987年頃とえば、その3年前に巨匠岩田孝七が逝去され、並河靖が還暦を迎え、太田誠彦、柴崎昇一といった方々が活躍されていた時代です。日本鳩界の全盛期とも言える時代にあたります。
そうした時代にあってこの「愛鳩の友」誌の1987年の5月号から、鳩の眼に関するにカラー写真や図解入りの研究レポートが公開されはじめ、当時は相当な反響か合ったようです。愛鳩の友誌が2005年5月3日に発刊した『愛鳩の友創刊50年―半世紀の歩みを綴る永久保存版―』に次のような記述が残されています。
「■鳩の目
鳩レースの世界では従来より鳩の目について様々なことが語り伝えられてきている。特にヨーロッパの愛鳩家の間では熱心に目をみる方が多いようだ。はたして鳩の目を見るだけで飛ぶ鳩、飛ばない鳩の判別はできるのだろうか。本誌では、1987年5月号から10月号にかけて鳩の目についての研究レポートを図解入りで掲載している。
鳩の目の構造を知る糸口として、眼球摘出を行ったのはピジョン研究所である。研究報告によると鳩の体において目は、毛様体筋や毛細血管の状態、密度を直接観察できる唯一の場所であるとのことだ。一般的に毛様体筋をみて筋肉を、毛細血管から血管の密度やバランスを読み取ることができる。この二つから鳩の性能を知ろうと、愛鳩家はレース結果を踏まえ、推測を重ね経験的な結論を導き出してきたのである。
この実験で、体調の指標として目の中の虹彩に変化が見られることは明らかになった。鳩のコンディションの違いにより目の輝き具合にはっきりとした違いが見て取れる。だが気をつけなければいけないのは、コンディションとスタミナは別問題である点だ。疲れているからといって、ビタミンを多く与えてもスタミナが完全に回復したとはいえない。
生き物の優れた性能は表情に表れるという。目くばりや粒子の散り具合など鳩の能力を判定するのに目が基準になることはほぼ確実である。鳩の目の秘密が解明される時は案外近いのかもしれない。」 (『愛鳩の友創刊50年―半世紀の歩みを綴る永久保存版―』P367.p369)
これから掲載する「鳩の目とは何か?」は、鳩界史上にも、キチンと記述が残されるほどのレポートだったわけです。この山田義行氏が設立したピジョン研究所の活躍は、その2年後、1989年の1月号から4月号まで連載された「鳩の筋肉についての科学的考察」などレポート発表などの形跡が残されています。
目や筋肉を実際に解剖してカラー写真で公開しその考察を展開するという、日本鳩界では前例のない研究にイレブンも刮目してその資料目を通していました。ところが、数年の内に、こうした連載が突如鳩界誌上から姿を消してしまいます。その後、このピジョン研究所や山田義行氏に関する情報が鳩界誌に登場することはありませんでした。この頃、イレブンは、レース鳩の飼育を中断していた頃でもあり、何かの不祥事などを関わりがあったのではと思い、この資料の公開を控えていました。
ところが、数年前、この当時のピジョン研究所に関わっておられた方から、この「突然の連載中断」に至るが事情を教えて頂く機会があり、そうした不祥事等の理由ではなかったことが判明しました。そこで、いつかは、全資料を整えて掲示板で公開しようと考えておりました。日本鳩界史上、類例を見ない科学的見地に立った研究として極めて重要な資料だとイレブンは考えています。
今回は、まだ、資料が全部そろってはいませんが、手元にある資料だけでもかなり有益な情報ととなるだろうと判断し、連載することにしました。
ちなみに、山田義行氏のホームページが数年前まで公開されていたそうですが、現在は公開されていようです。イレブンは残念なことにそのサイトを見たことはありません。山田義行氏の近況についても情報を持ち合わせておりません。もしご存じのかたがおられましたら、ご本人にも連絡をとりたいと考えておりますのでお知らせ下さい。
では、連載を始めます。 |
| ■■《インタビュー》[鳩の目とは何か?」連載第1回 山田義行(出典:『愛鳩の友』1987年7月号P131~P133より )■■ ■■■ 2022年7月17日(日) 4:21 |
修正 |
◇生命力No.l◇
■本誌■ピジョン研究所さんの活動の一端がこの間私どもの雑誌(5月。6月号)に発表されてから。鳩界ではピジョン研究所さんの存在が注目されるようになりました。とくに6月号の「摘出眼球」のカラー写真なんか色々な意味でショッキングだったんじゃないでしょうか。ただ残念なことに。ピジョン研究所さんは何をやろうとしているのか、どんな考えをもっているのかが愛鳩の友を読むだけではよく分からないという声をよく耳にします。そこで。読者を代表して本誌が色々質問し。明快な答えをいただきたいわけです。 まず、例の眼球摘出ですけど。あれは何を意図したものだったのでしょうか。
■山田■鳩の目がどのくらいの大きさの器官であるか、どのような成り立ちになっているのかを知りたかったのです。
■本誌■眼球の摘出自体、技術的にむずかしいのでしょう。
■山田■ちょっとまちがえると(目の組織を)完全に破壊してしまいますからね。大学の研究室でいつも解剖をやっている人に立ち会ってもらってやりました。
■本誌■やはり麻酔をかけるのですか
■山田■麻酔をかけて。鳩が死ぬ寸前の状態にしておいてから解剖します。死んでしまうと血液の流れが止まりますし、目の組織なども崩れてくるので、解剖は生きているうちに血液が流れているうちに実行しなくてはなりません。’
■本誌■それは分かりますが、死ぬ寸前まで追いこむというのはどうしてですか。
■山田■ ふつうの状態では。たとえ麻酔をかけても外気に当てたままメスを入れようとすると、すぐ目を覚まして暴れだすのです。
■本誌■麻酔がかからないのですか。
■山田■犬。ウサギなどに使うより強い麻酔をかけないと効き目がありません。鳩は生命力がすごいのです。胸を半分くらい解剖したところで目をさまして足を(タハタしたので。もう一度麻酔薬につけて動けなくしました。再び腹を解剖しようとしたのですが、それでもまた動き出します。生命力の強さは血―ですね。ほかにはちょっと類例がないように思います。・
|
| 【挿入資料】■眼Dみるカラーアトラス(2)(『愛鳩の友』87年6月号P152より) 山田義行 2022年7月17日(日) 4:23 |
修正 |
◇◇ Fig1,Fig2 の解説文 ◇◇
視覚器は光を感知する器官であり、その刺激を眼神経から脳細胞に伝達する役目を果たす器官でもあります。発生学的に眼を分類すると、皮膚眼と脳壁眼とに大別されます。 皮膚眼(無脊椎動物)は表皮から発生し、脳壁眼(脊椎動物)は脳壁から発生したもので。鳩の眼は脳壁眼に属します。
鳩の眼球は直径約15mm、角膜から莢膜までの厚みが約10mmもあり、頭部においては最大の器官です。鳩の体において目は、毛様体筋や毛細血管の状態や密度を直接観察できる唯一の場所です。今回は。毛様体筋(筋肉)。毛細血管によって眼の各部分が成り立っていることを見ていただきたいと思います。・ |
| ◇◇心拍数は210回◇◇ ・ ■■■ 2022年7月17日(日) 4:26 |
修正 |
■本誌■解剖の結果。判明したことは何ですか。
■山田■ほかの動物に比べ。血液の量が少ないことですね。
■本誌■それは鳥類一般にいえることですか。
■山田■はい。鳥類の心拍数は200以上もあります。鳩の場合210くらいですか。鳥類でも身体がもっと小さくなると500くらいになりますが、血液の量は身体に比して一般に少ないというのが実感です。
■本誌■ほかの鳥類と比べた場合、鳩の心拍数はどうですか。
■山田■カラスが380くらいあります。知能的に発達したトリですからやはり多いんですね。一般的にいって鳥類は酸素を供給するのに心臓の果たす役割が大きいのです。血液の量が少ないのと。心臓が大きいのが私たちの目についた点です。身体の割に鳩の心臓は人間に比べると圧倒的に大きいですね。
■本誌■血液の量が少ないというのはどういうことでしょう。
■山田■心拍数が多くないと循環作用か続かないということですね。高度が高くなると、生体の外に広がる力が大きくなるので、それを抑えこむのに膜とか筋肉がしっかりしていないと内臓を支えた状態で高いところは飛べません。そのためにはある程度血液の流れを速くして。筋肉を常に維持できる状態でないと長時間飛ぶことはできません。人間の場合。飛行機でそのまま上がっていくと皮膚が耐えられませんが、鳥類にはそれができるのです。
|
| ◇眼球は脳の3倍◇ ■■■ 2022年7月17日(日) 4:28 |
修正 |
■本誌■鳩の身体構造についてはいずれくわしく発表していただくとして眼球を摘出して気づいた点は何ですか。
■山田■眼球は予想していたより大きい器官でした。脳よりはるかに大きいのです。眼球が直径15ミリくらい、脳は5ミリくらいですから3倍もあるのです。
■本誌■非常に大きな器官なのですね。私たちが外見上確認できる鳩の目の大きさはそれほどではありませんが。
■山田■外から見えるのは約7ミリぐらいです。タバコのフィルターぐらいの大きさです。
■本誌■直径で実はその倍もあるというわけですね。そして。脳の三倍の大きさだということは何を物語っているのでしょう。
■山田■一般にいわれることですが鳩だけでなく鳥類は視覚の動物だとい うことです。見ることが一番重要なのです。
■本誌■眼球を摘出して、そのほか気のついた点は。
■山田■人間の眼球は円い形をしておりますが、鳩の目は意外に奥行がなく偏平です。遠くを見るためにそうなっているのでしょう。つまり、網膜の面積が広いのです。それと。人間よりも近くのものが鮮明に見えるようです。
■本誌■鳥類は一般に距離感覚がないといわれていますね。
■山田■複眼じゃなくて単眼ということですね。片方の目だけで見ているから距離感覚がないといわれていますね。でも、鳩は距離感覚をもっていますよ。ナタネをつつくときなんか実にうまいものですからね。距離感覚はやはりあると思います。止まり木なんかに止まる場合、キョロキョロしているのは距離を測っているのです。一度片方の目で見て。次に少し首をひねってもう一度見て距離を測る。だから。複眼視に比べてそれほどハンディーキャップがあるようには思えません。
■本誌■鳩は一般にどのくらいの視力をもっていると考えていますか。
■山田■これは推定ですので確言はできません。鳩は50キロ先の5円玉の穴ぐらいまでは見えるという考えから、アメリカあたりでは海上にいる人間を探しあてるとき。つまり救助活動に鳩を使っているという事実を以前テレビで放映しておりましたね。
■本誌■いずれにしろ。人間などが及びもつかない視力をもっていることは確かでしょうね。
■山田■そうですね。たとえば、嗅覚にすぐれた犬の場合、直接空気のあたるところにその感覚があるようです。人間の場合。二官に分かれていて空洞の奥に嗅覚細胞があるからどうしても鈍くなるようです。
鳩の嗅覚もそれほどわるくはないはずです。鳩舎を新築したために、接着剤で鳩が嗅覚をやられることがよくあるのです。水があることも鳩は臭いで分かり劃ずしね。鳩は臭いで帰ってくるんじゃないかという説も出ているくらいですから。 ・ |
| ◇父の白内障から…◇ ■■■ 2022年7月17日(日) 4:30 |
修正 |
■本誌■山田所長が目の研究をはじめたのはいつからですか。
■山田■私の親が白内障にかかりまして、名古屋の有名な眼科医で手術とか色々受けていたのです。そこの病院は手術の模様をテレビに映し出します。その場面を見ているうちに人間の目は何枚もの膜でできているのだなとわかるようになり。それがキッカケで色々と勉強をしはじめたのです。
■本誌■鳩の目の研究をなぜはじめたのですか。
■山田■名古屋で兄が鳩の目の研究会をはじめることになり、私も途中から参加するようになりました。ところが、肉眼でルーペを使って鳩の目を見ていると人間の目がやられてしまうのです。
■本誌■鳩の目から反射された光が人間の目に入ってやられてしまうのですね。
■山田■そうです、そこで。偶々カメラをやっていた私に兄が鳩の目の写 真を写せないかと相談してきたのです。鳩の目を拡大したものを写真にとっておくと色々なことに使えると勧めるわけです。そんな経緯で鳩の目の写真をとりはじめ。一日に60羽とか、またあるところでは400羽近くもの撮影をしましたね。これまででかれこれ3000羽あまりの目の写真をとっています。
そんなことをやっていると。たとえ写真が白黒でもどういう目をしているのか分かるようになってきます。その鳩の目の中でどの位置がへこみどこの位置の筋肉が盛り上っているのかもわかるようになってきました。
あるとき。私自身が実験されたことがあるんですよ。私なりの答え方をすると、鳩の目を見てヒズミがわかるようになるとは最高だねとほめられたこともあります。写真の現像なんかやっていると、光の調合の具合で目のこともわかってくるのですよ。
■本誌■光の原理を応用する中で鳩の目に対する理解も深まってきたわけですね。
■山田■白黒の写真からもどういう色をした目かということがわかるようになりましたし。また瞳孔の絞り方ひとつとっても色々なタイプがあることがわかってきました。 (つづく) |
| ■■『山田義行 研究』002■■引用資料の明示からみえてくること■■ イレブン 2022年7月17日(日) 4:34 |
修正 |
 昨日、掲載したFig4:「鳩の目の側面観」とFig5:「鳩の目の正面観」の画像をよく見るとそれぞれにこの画像の出典は示す記述がなされています。それぞれ以下のように書かれています。(※赤囲みはイレブンが挿入)
■Fig4:「鳩の目の側面観」■……鳩の目の側面観”Fleming*の一部改変
■Fig5:「鳩の目の正面観」■……Fleming.R.;A Practical Approch to theStudy of Eye-Sign Pub.Australia
実は、この「鳩の目の側面観」と「鳩の目の正面観」の画像資料に出典が記されていることにイレブンは今回の連載を始めるまで気付いていませんでした。
2022年の現在では、ここで示されている図の出典となった『;A Practical Approch to theStudy of Eye-Sign 』の名前は広く知られていますが、この「鳩の目とは何か」が発表された当時は、一度も鳩界関係誌上で公開されたことがなかった情報でした。単に、公開しなかったというよりも、むしろ、日本鳩界では、こうした眼に関する研究書の名前を隠していたともいえるとイレブンは考えています。この件に関しては、この連載の中で再度触れたいと考えています。
|
| 【挿入資料】 『A Practical Approch to theStudy of Eye-Sign 』の目次 イレブン 2022年7月17日(日) 5:23 |
修正 |
左画像が出典元となった1976年に初版本が出版されたFleming著『A Practical Approch to theStudy of Eye-Sign 』です。今では、この書名をググるだけでこの画像が出てき、ペーパーバック版で購入することが誰にでも簡単に出来ますが、インターネットがなかった当時は、海外鳩界の情報通の一部の人たちだけが知っていた情報でした。ちなみにこの本の目次(和訳)をここに掲載しておきます。ビショップのEye-Sign研究の系列の研究書ということが見えてきます。このピジョン研究所の発足は、この『A Practical Approch to theStudy of Eye-Sign 』の勉強会から始まったという話を伺っています。
■目 次■ ビショップ氏に捧げる (偉大な鳩飼育家に対する敬意)Page 2 序 論 Page 4 第1章それは、いつどこで始まりましたか? Page 5 第2章アイルーペ(それを使うためにどのようにして、いつ)Page 11 第3章アイルーペを通して(何を探すべきかという徹底的な説明)Page 14 第4章あなたが見たように言ってください Page 20(グリーンアイサインを含む) 第5章それは何をすべて意味しますか?(レーサーの眼を含む) Page 22 第6章種鳩の眼 Page 24 第7章二重目的の眼(黒いフルサークルを描写する) Page 30 第8章眼の中の眼(1つの色と1つの管の眼を含む) Page 32 第9章バイオレットの仲間(バイオレットを記述して比較する) Page 36 第10章バイオレットとパールアイサインの違いを比較する Page 39 (黄色のフルサークルの説明を含む) 第11章アイサインによる交配 Page 42 第12章スタンディングとライイングサイン Page 46 第13章 アイサインによる種鳩の選定 Page 49 (信じない人と懐疑論者に対する著者の答えを含む初心者のためのアドバイス) 第14章アイサインを通しての適合とプーリングのヒント Page 54 第15章斑点眼クラスターとビーズの眼 Page 56 第16章便利な参照(アイサイン交配の記録など) Page 61 第17章写真参照…付録 Page 62
いずれにせよ、イレブンには、当時のこのピジョン研究所の連載が、この引用資料の明示という一事からも、日本鳩界のタブーに対して挑戦的なスタンスを持っていたということが伺えるのです。そして、このことが、後の「突然の連載中止」という事態を招くことになっていくのです。
では、連載第2回のインタビュー記事を掲載します。・ |
| ■■《インタビュー》[鳩の目とは何か?」連載第2回 山田義行(出典:『愛鳩の友』1987年8月号P179~P181より )■■ ■■■ 2022年7月17日(日) 6:35 |
修正 |
◇◇瞳孔の絞り方色々◇◇ ■本誌■鳩の目の撮影を何千羽もやっているうちに山田さんは色々なことに気がついてきたのですね。
■山田■はい。動物の身体はふつう左右対称だといわれております。確かにその通りなのですが、厳密にいうと、右と左では微妙にちがうんです。鳩の目に関してもそういうことはいえますね。
■本誌■どちらの目が発達しているのですか。 ■山田■あえていうと右の目が発達しています。瞳孔の周りをよく観察してみると、毛細血管が異常に盛り上がっているのとか。へこんでいるのとか色々あるわけです。右の目と左の目を比較対照した場合。左め目はやや中途半端という感じは否めません。右の目はよりバランスがよぐ完全な形をしています。
■本誌■小社のカメラマンが鳩の撮影をする場合。右向きと左向きでは写真の出来映えが随分ちがうということをしばしば証言しています。そのような事実も、山田さんがご指摘なさったこととあるいは関連してくるのかもしれませんね。
■山田■瞳孔の絞り方にしても鳩によって色々なちがいがあります。カメラのシャッターのように渦を巻くように絞りこんでくる鳩とか、瞳孔に向かって均一に。しかもストレートにビシ。と絞りこんでくる鳩とか……。また、通常タテ視といわれる目があります。あれは両サイド(前と後ろ)から真ん中に向けてグッと絞りこむ鳩なのです。ちょうどネコの目と同じです。
■本誌■タテ視になるのは何か原因なのですか。
■山田■時計でいうと、3時のところと9時のところが速く締まるわけで。つまりその部分がよく発達しているのです。ちなみに人間の場合、鏡なんかで見ると瞳孔に向かって均一に線が走っています。
■本誌■レース鳩の場合.一般にスピードのでるトリというのはどんな特徴をもっていますか。
■山田■時計でいうと6時から9時にかけた部分が非常によく発達しておりまして。絞りこみもそこが一番速いようです。換言すると、前方が非常によく見えるわけです。
■本誌■レースで優勝するトリにはそういうのが多いのですね。
■山田■やはり、前へつっこんでいくトリとてもいうんですか、競争馬でも後ろを見せないようにして、前方だけ見えるようにしているでしょう。前の部分か発達していると。それだけスピードが出ると考えられます。ただ。レース鳩の能力をトータルに考えた場合、そういうトリだけが勝れているとは必ずしもいえないのですけど。
|
| ◇◇アイサインの実体◇◇ ■■■ 2022年7月17日(日) 6:41 |
修正 |
■本誌■7月号ではアイサインについて発表なさいましたね。アイサインというのは、鳩の目について論じられる場合、核心だとされているのですが、一体何を意味しているのか定かでないところがありました。あるいは、目の中のどこを指してそう呼んでいるのかとたずねても、人によってまちまちなのですね。ピジョン研究所さんなりの見解が7月号ではじめて明らかにされたわけです。それによりますと、瞳孔と虹彩の接点というか、境界線をなすのがアイサインだという風に図解されておりました。改めておたずねしますけど。アイサインは瞳孔に属するのですか、それとも虹彩に属するのですか。
■山田■もちろん虹彩です。
■本誌■アイサインはどのような機能を果たしているのですか。
■山田■先ほど瞳孔の絞り方について話しましたけど、端的にいうとその機能、つまり光の調整をしております。虹彩をひっぱったり、ちぢめたりすることによって瞳孔が拡大したり収縮したりするのです。
■本誌■光を入れたり、シャット・アウトする機能をもっているわけですね。
■山田■はい。それと、レンズ(水晶体)もある程度(ふくらむような感じで)丸くなったり、(ちぢむような感じで)細ったりするんです。レンズの厚みを変えることによって焦点も変わり、映像を鮮明に写し出すことができるようになります。
■本誌■アイサインの働きによって。対象がより鮮明にキャッチできることはわかりました。しかし。鳩界でこれまでアイサインについて語られる場合、そのような特定の機能だけではなくて目一般、ひいては鳩の能力全般にわたる問題として論議されていたように思われます。ピジョン研究所さんはその点ではどのような見解をおもちなのですか。
■山田■アイサインの発達度は目一般の発達度を推し測る指標になりますし、またレース鳩の能力と密接にかかわっていると考えています。私たちがよく投げかけられる質問として「鳩は目で飛ぶ(勝てる)のか」というのがあります。それに対する答えは「鳩は目だけでは飛ばないよ」ということです。レースで勝つためにはコンディション調整、そのためのテクニックなど色々な要素がそろわなくてはなりません。もちろん、そういうことではありますけど。素質のいい鳩を発見する手立てとしてはやはり目が一番参考になります。
■本誌■どのような目をもった鳩が優秀なのか。あるいはどのようなアイサインをもったトリが優秀なのかということから、7月号ではスピードラインとか長距離ラインなどの例を出していましたね。
■山田■アイサインについては色々な角度から判断を下さなくてはなりません。外見上、アイサインが全然見えない鳩も存在するのですから。そういう鳩でも実はアイサインをもっています。
■本誌■アイサインというのは鳥類一般にあるのですか。
■山田■鳥類にもありますし、人間にもありますよ。人間の場合、アイサインは小虹彩輪と呼んでいます。
■本誌■要するに、視覚をもっものはどれもアイサインをもっていると。
■山田■はい、これがなければ瞳孔を通してレンズに入ってくる光の量を調節できませんので。
|
| ◇◇優勝鳩は省エネ飛翔◇◇ ■■■ 2022年7月17日(日) 6:42 |
修正 |
■本誌■次に、ピジョン研究所さんが一番はじめに発表なさった図pH(ペーハー)の問題についておたずねします。pHを論じることによって何を問題にしようとしたのですか。体液の酸性化、アルカリ性化を測定することによって,愛鳩家が一般にいうところの鳩のコンディションを測定しようとしたのですか。
■山田■その通りです。鳩の目の色の変化を観察することによって酸性になっているか、アルカリ性になっているか判断することができます。その点に着目すると鳩レースにも応用できるということがいいたかったのです。 5月号で。@弱酸性の状態、A中性の状態。B弱アルカリ性の状態と】羽の鳩の目の変化を三枚の写真で示しました。これはレースから疲れて帰ってきた状態。疲労が回復した状態。コンディションを上げてレースに参加する直前の状態を人為的に作り出したものです。 愛鳩家のみなさんが鳩をレースに出すとき、目が光っていればコンディションがいいとか、目が生き生きしているとかおっしゃいますね。酸とアルカリというのはそれと同じことを別の角度から問題にしているわけです。
■本誌■レースから帰ってくると身体は疲れているはずなのに。目はカッと見開いているということがありますね。優勝鳩舎などを取材で訪問したときなど、レースで勝ってから鳩の目が変わったなどという話をきくこともありますが、あれは一体どのように理解したらいいのですか。
■山田■それは弱アルカリの状態にあり、身体の代謝がとてもいいときのことです。通常、優勝鳩舎へ鳩を見に行くのだったら、帰還して一日か二日以内だといわれています。トップで帰ってくるような鳩は全エネルギーのわずか数%しか消耗しておりません。だからアルカリの状態にあると考えていいのです。(つづく) |
| ■■『山田義行 研究』003■■BISHOP理論と『A Practical Approch to theStudy of Eye-Sign 』■■ イレブン 2022年7月18日(月) 6:59 |
修正 |
Fleming著『A Practical Approch to theStudy of Eye-Sign 』の翻訳研究の勉強会から始まった山田義行のピジョン研究所の業績は、眼の理論、筋肉の理論、そして、コンデションや配合理論まで視野におさめてたPH理論など実に幅広い鳩理論の展開がすすめられていきます。それは、日本鳩界の鳩理論が個人的な経験則の基づき、いわゆる仲間内の中で口承口伝を中心とした様式で形成されてきた流れとは、全く違う新たな展開でした。
35年後の現在、当時の研究資料に目を通していくとき、イレブンは、このピジョン研究所が成し遂げようとしていた研究が「突然の中止」がなく、その後の継続していたら現在の鳩界のありようも大きく違っていたのではないかと感じながらこの連載の編集にあたっています。
1976年にオーストラリアのFlemingさんが書き表し、世界的なベストセラーとなった『A Practical Approch to theStudy of Eye-Sign 』は、それを遡る30年前に、S.W.E.BISHOPさんが書き表した『THESECRET OF EYE-SIGN』の「アイサイン研究の実践的手法」として出版された著作です。我が国も含め、世界のレース鳩の眼の理論は、この基をたどればこの2冊の本の影響が最も大きいとイレブンは考えています。
我が国で眼の理論を鳩界に初めて発信したのは、名人柳浦氏やオマンさん、石田兄弟などが活躍していた広島鳩界でした。その広島鳩界で語られていた眼の理論も、実は、S.W.E.BISHOPさんが書き表した『アイサインの秘密』やFlemingさんの『A Practical Approch to theStudy of Eye-Sign 』を手にして密かに勉強会をしていたという証言も残っております。これまでも、幾度も発言して参りましたが、イレブンは、日本鳩界全盛期を築いていった著名な愛鳩家の多くは、なんなからの経緯でこうした海外の目の研究に関する書物を手にしていたと考えています。しかしそうした方々は、決してそのことを公開することはなく、むしろ、目の理論そのものに対して否定的な見解を発信されていたように思っております。その結果、意図的に日本鳩界は情報鎖国状態におかれていたと考えています。
この「スネークパパの部屋」の研究でもいずれどこかでこの2冊の内容について本腰を入れて公開研究する考えです。
現在連載している『山田義行 研究』でも山田義行さんの理論をより正確に理解するために関係がありそうな内容については触れていく計画です。
そこで、まず、ビショップ理論と『A Practical Approch to theStudy of Eye-Sign 』との関係が的確に書き表されているこの著書の冒頭に書かれている「ビショップ氏に捧げる (偉大な鳩飼育家に対する敬意)」を引用しておきます。
|
| 【挿入資料】「ビショップ氏に捧げる (偉大な鳩飼育家に対する敬意)」(アイサイン研究の実践的手法 By R. Flemingより) ■■■ 2022年7月18日(月) 7:15 |
修正 |
アイサイン研究の実践的手法 By R. Fleming 初版 1976年 再版 1978年、1984年
◇◇ 序 文 ◇◇
親友ボブ・フレミングが彼の本『アイサイン研究の実践的手法』の原稿を読むよう私を誘ったとき、たいへん光栄に思いました。長い間ボブを知っていて、彼を見ていると多くの信じない人の鳥と同様に、私自身の最良の種鳩と選手鳩を選びます。私はアイサインについての彼の直接のコメントに関して常に賞賛しました。自分自身熱心な飼育家で、私は20年の間厳しいアイサインの選択によって私自身の鳥を改善しようとしました。そして最高に保ち、それに応じて交配するだけでした。
1961年にレースで大成功を収めたとき、私は初めて栗胡麻のメスの眼に優性バイオレットを発見しました。私はその後、4世代の総合優勝鳩を彼女から作出したのです。初めてボブは彼女の眼を等級づけして、優性バイオレットのチャンピオン種鳩だと宣言しました。
また、私自身の鳥に斑点眼クラスターのサインがあると思いました。私の最高の種オスの2羽はそれらを持っていて、長い間多数の勝利を得た後継者を生みました。ボブがこれらの眼を見たとき、私は正直、彼をだませると思いましたがすべて無駄でした。彼は、それらを非常に珍しいチャンピオンクラスに再び入れました。
ボブと私は確かに適切な線で等級づけを行っていました、そしてこの偉大な本において、飼育家であるあなたは、眼の本当の生きた色で、本物の「優性バイオレット」と「クラスター」を見ることができます。一度あなたがそのどちらかでも見れば、それらを忘れることはないでしょう。
ボブは、アイサインにとても取りつかれてしまい、ますます知識を向上させたかったので、何百もの鳥を調べにイギリスと大陸まで旅行しました。我々のオーストラリアの意見を表すために最初はいくらか内気であるけれども、一旦気にせずに彼らを所有した我々の「羽毛のある友人」の間に放たれるならば、彼は正直な意見を与えて、我々の側によく尊敬された鳩飼育家を支持しに来ました。
コベントリーの最高の飼育家のG. スプロール氏は、ボブに彼の個人のロフト・マネージャをして欲しかったのですが、ボブは彼の家族と友人と家に帰って、写真とスライドと我々の大きなスポーツに関する情報を持ってくることに決めました。彼は、私の心に傑作であるこの本を書くことに終りのない夜を費やしました。主題に関して利用できるあらゆる本を読み、そして試みるのに十分な知恵を持った人のために、スタン・ビショップの「アイサインの秘密」が出版されて以来30年かかりました。
確かに、アイサインをけなす飼育家がいます。みんなが100パーセント支持するような鳩の本はこれまでありませんでしたが、私が求めるすべては、ゆっくりそれを読んで、その内容を消化することです。それから、あなた自身の種鳩を見てください。勝者を生んだものと生まなかったものです。そしてどのように比較するか見てください。アイサイン研究の実践的手法とともに。
ジョージ・ハリス オアとハリスのパートナーシップによって オーストラリア、ビクトリア、メルボルン
◇◇偉大な鳩飼育家に対する敬意◇◇
1947年5月17日に、レース鳩スポーツへの影響が次の30年間世界中で大きな衝撃を及ぼすことになった本が出版されました。その本の内容は「アイサイン」でした。著者はS. W. E.ビショップ。たとえすでに論争の的となる主題に関する情報を含む最初の本ではなかったとしても、研究に許容できる理解を与えることは最初でした。
実際主題を信用しないか反証をあげようとして何百もの記事が続きましたが、それは彼らの多くの失敗を通してビショップの本が生き残るのを助けるだけでした。これらの失敗は、彼らの著者の理解の完全な(おそらく慎重な)不足によってもたらされていました。しかし、今日その存在に最も貢献している要因は、人自身による、またはその最初の努力の直接的な結果でなければなりません。
彼の「認識の手法」は、誤った人なく時の試練に耐えました。基本的に主要なものはそのままで、主題の基盤のまま生き残るでしょう。
イギリスだけでアイサインを調べられた眼の数を数えることができるならば、確かに空の星の数にまさるのを私は感じます。他の理論は、このような詳細な調査に耐えて、無傷のままだったでしょうか? 私は疑います。認識の手法のために情報を編集するのに研究された鳥の量は、53,000羽を上回りました。それは106,000件の個々の試験を意味していますが、まだ証明を求めますか?
私はこの本を書いてから、少しの嘲笑とビショップ氏が若いころ耐えたにちがいない交戦さえ経験しました。これらは鳩飼育家であることの楽しみの半分を彼から奪いました。その楽しみの犠牲は、我々も彼の知識を共有するかもしれない利点のためにありました。このことに留意しつつ、私は自分自身のために、そして私と感謝する人々に彼がした我々のスポーツへの貢献のために彼に感謝したいです。これは誰も否定することができない何かであります。
敬具 R.フレミング
|
| ■■《インタビュー》[鳩の目とは何か?」連載第3回 山田義行(出典:『愛鳩の友』1987年9月号P180~P181より )■■ ■■■ 2022年7月18日(月) 10:12 |
修正 |
◇◇さまよって後日帰り◇◇
■本誌■レースでトップで帰ってくるようなトリは全エネルギーのわずか数%しか使っていないという発言は驚きですね。それでは、三、四日遅れて帰ってきたトリというのは……。
■山田■遅れて帰ってきたトリというのはカリガリになっています。疲労は目にも当然出てきます。血流がわるく輝きもないという状態、つまり酸性状態ですね。
■本誌■後日帰りというのは途中でさまよっていたのですか。
■山田■そうですね。自分の鳩舎の方向がどうしても分からず、迂回、迂回の連続でやっとたどりついたときは直線距離の何倍も飛んでいるのです。逆にいうと。鳩はレース距離の何倍も飛ぷだけのエネルギーをもっているのです。
■本誌■巣に帰るのをサボタージュして途中下車しているのではないでしょうか。
■山田■それも考えられます。持寄のときと同じようなきれいな状態で後日帰ってきた場合、サボタージュしていたと考えてみるべきでしょう。しかし、カリガリにやせて帰ってきた場合はやはりさまよっていたのです。また、優勝したトリなんか、持寄のときよりほんの少し軽くなっただけという談話を耳にします。あれはわずか数%のエネルギー消費。
◇◇PHの応用範囲は広い◇◇
■本誌■コソディションの測定法は色色ありますね。フンの状態。羽毛の状態などで判断するのが一般的ですが、山田さんがあえて目に絞った理由、また賜の問題まで追究していく理由は何ですか。PHを論じることによって何か新しい答えか導き出されるのですか。
■山田■PH、つまり酸とアルカリを問題にしたのは。一般的にそういう世界があるということをまず認識していただいた上で。それが鳩に応用されても何の不思議もないということなのですね。例えば、酸性状態に強い鳩というのがいます。酸性状態に置かれて餌をもらわなくてもやせない鳩というのがいます。その反対にだんだんやせてくる鳩もいます。換言すると、エネルギー蓄積の豊かな鳩とか、エネルギーがすぐなくなってしまう鳩とか色々いるわけで丈そういうことを知るようになるとレースでも色々と応用が利くようになります。 スポーツ科学、スポーツ生理学の分野では、マラソンにしろ何にしろ酸とアルカリというのは様々に使われています。 また、別の視点からいいますと、酸性状胆でひかれた鳩とか、アルカリ性状態でひかれた鳩とかいうのがいるわけで、そういうことを理解するようになるとPHは交配にも利用できます。
■本誌■日常生活でもこの頃は酸性過多はよくないとか。アルカリ性食品をとらなくてはならないとかか問題にされるようになりましたね。
■山田■いや実は、鳩のコンディションを問題にするとき、常に中性状態を保つつことが重要なのです。
◇◇見せかけのアルカリ性◇◇
■本誌■仮に酸性状態に鳩がなっているとき、コンディションをあげようとするとアルカリ性のものを与えればいいということじゃないのですか。
■山田■一挙に与えてもダメですね、やはり経路を通らなければなりません。例えば、レースから帰ってきたときビタミンを与えればよいといわ れておりますけど、いきなりアルカリ性のものを与えても興奮状彫を作りだすだけです。人間の目から貝ると確かに元気になり、疲労を回復しているように写りますが、それは見せかけだけのことでエネルギーの充填はなされていません。レース帰還時になぜ麦とかを与えるかということなんですね。 人間でも衰弱して入院したとき、果物なんてまず食べさせません。重湯(おもゆ)からはじめて徐々にふつうの御飯を与えていきます。やっぱり過程を重視しなくてはなりません。
■本誌■アルカリ性の状態というのは本質的な意味でエネルギーに充ち充ちた状態ではないのですか。
■山田■アルカリ性というより、弱アルカリ性の状態と表現しなくてはならないのですが。それはエネルギーに充ち充ちています。
■本誌■それではもう一度おたずねします。弱アルカリ性の状態というのはエネルギーが充填されていなくてもありえるのですか。
■山田■それはありえないことです。ただ、人工的に血流を速めてやれば弱アルカリ性の状態とそっくりの状態ができるということが問題なのです。そういうときはもちろんエネルギーはたまっておりません。 鳩の目があんなに輝き、状態はピンピンしていたのにレースに出したら帰ってこなかったということがありますね。それはエネルギーがたまっていなかったと考えるべきです。
■本誌■つまり人工的に興奮状態にさせたので、見かけだけはコンディションがよさそうに写ったのですね。
■山田■レースから帰ってきたときビタミンを与えたらいいとか、与えてはいけないとかいっているわけではないのです。ビタミンは少量与えると、ゆるやかですが効果があります。血流がよくなり、疲れをとりますから。ただ、ビタミンの作用は複雑怪奇で、色々な分野に使われていますけど、本当の力はこれから解明されていくのじやないでしょうか。
■本誌■話がちょっと横道にそれてしまいました。山田さんとしてはPHの世界を愛鳩家のみなさんが認識し、それをコンディション調整だけでなく交配にも応用してほしいと……。
■山田■PHは交配にも影響を及ぼします。PHによって生まれてくる鳩の目の構造も変わりますから。(つづく)
|
| 資料1 PHによる虹彩の変化を時計で言う3時から4時の部分の変化で見て下さい。 2022年7月18日(月) 10:21 |
修正 |
●レース鳩の世界では、従来より目|について種々に語り伝えられてきています。
鳩の眼球は成鳩で約14×14×10mmの臓器です。当研究所としても毛様体筋や血管の状態を直接具体的に観察できる場所である目の観察は重要であると考え、今回、実験を試みました。
実験はエサ・水を4〜5 日与えず、コンデショッが落ちた弱酸性の状態、エサ・水を与えてコンデションか回復した中性の状態、スペシャルドリンクを与え、さらにコッデションがよくなった弱アルカリ性の状態という3段階でカラー分解したものです/実験日’87年3月12日
|
| 資料1−@ ■■■弱酸性の状態■■■ 2022年7月18日(月) 10:23 |
修正 |
●●● |
| 資料1-A ■■■中性の状態■■■ 2022年7月18日(月) 10:53 |
修正 |
●●● |
| 資料1-B ■■■弱アルカリ性の状態■■■ 2022年7月18日(月) 10:55 |
修正 |
●●● |
| ■■目で見るカラーアトラス【3】ピジョン研究所所長 山田義行(出典:『愛鳩の友』1987年7月号P131~P132より )■■ ピジョン研究所所長山 田 義 行 2022年7月18日(月) 13:53 |
修正 |
 ●●●● |
| 参考文献:『日本人体解剖学』第2巻金子丑之助(かねこうしのすけ)1986年9月25日5刷、南山堂 Fig.2 眼球一部の断面 2022年7月18日(月) 13:59 |
修正 |
●●6月号では目の構造について説明いたしました。今月は、私たちの肉眼でふつう観察できる部分を拡大してみました。
虹彩は毛様体筋とそれに栄養を供給する毛細血管により構成されております。また、■アウトバンド■や■インナーサークル■でも毛様体筋 (筋肉)が観察できます。
このように目の各部分は毛細血管や毛様体筋の組み合せでできています。ここで特に重要なことは。虹彩部分は鳩の体の中で毛細血管が一番簡単に観察できる部分であるということです。 |
| 【Fig.3】 a:瞬膜 【Fig.4】 b:アイサイン c:ロングサークル d:スピードサイン 【Fig5. e:アウトバンド f:ストロング・サークル g:インナーサークル 【Fig6】h:ブラックアイサイン ■■■■ 2022年7月18日(月) 14:11 |
修正 |
 通常、■アイサイン■といわれるものは虹彩の先端の輪状のシワを指し, 虹彩の一部で小虹彩輪といわれるものです(Fig2のM また、Fig4では虹彩の内側の輪を指す……編集部)
■小虹彩輪(アイサイン)■は鳩の世界ではロング・サークルとかスピード・サインなどといわれ、鳩の鑑別に応用されています。 ■ロングーサークル■は小虹彩輪が作る凹凸によってできた影の部分で、アイサインの中にある輪状の線を指しています。このロングーサークルをもっている鳩は一般的に長距離を飛ぶことが可能といわれております。
■スピードーライン■は虹彩筋の厚みの差によって生じる影の部分を意味し、その形状は瞳孔に向かって縦に線が走っています。このスピードーラインがあると一般的にスピードの出る鳩だといわれております。
これらのことは、鳩の性能を読みとろうとして愛鳩家がレース経験から帰納的に導き出した結論です。これだけでは鳩の研究としては推定理論の域を出ていません。
そこで当研究所では、目が鳩の筋肉(毛様体筋)、血管(毛細血管)を表していることをみなさんに認識していただくためにこのように図を示しました。
なぜこのことが重要かというと、鳩質を判断するには筋肉(毛様体筋)と血管(毛細血管)の密度とバランスを知ることが必要です。換言すると、鳩の筋肉構成のバランス。並びに毛細血管の分布のバランスを知ることです。
|
| ■■『山田義行 研究』004■■Stanley Walter Edgar Bishopについて■■イレブン■ ■■■■ 2022年7月18日(月) 14:20 |
修正 |
Stanley Walter Edgar Bishop,すなわち、S.W.E.Bishopさんが書いた著作を「Stanley Walter Edgar Bishop」でググってみると、『THESECRET OF EYE-SIGN 』と、『Pigeon Breeding and Racing』の2冊が現在でも分かる著作のようです。
S.W.E.Bishopさんは 『THESECRET OF EYE-SIGN 』の序文に次のように記しています。
●「著者は1947年にこの本の第一版を書き、11 回再版し、また現在その第 12 版で提示されています。文脈(事情)は1951年に著者によって修正されていて、そして現在は、第5部において、1954~56年の間に「ピジョンレーシングニュースとガゼット」に発表された著者の記事を含んでいます。この序文で再版された、 レッドマーレイのジャック·ウインフィールドの証言は、最初に「ピジョンレーシングニュースとガゼット」で発表されたものを、出版社で複写しています。」
両者は「アイサイン」で示されるような「選手鳩」と「種鳩」の目の違いを強調したいのです。 実例は、ウインフィールド氏の「テストによるトライアル」の経験の中で引用されています」 |
| ■■《インタビュー》[鳩の目とは何か?」連載第最終回 山田義行(出典:『愛鳩の友』1987年10月号P180~P181より )■■ ■■■■ 2022年7月18日(月) 14:21 |
修正 |
◇アルカリはムキムキ・マン◇◇
■本誌■ PH(ペーハー)を交配に適用するというのは大変興味深いことですが、さて、実際にその理論を応用するとなるとむずかしそうですね。例えば、俗にいうコンディションのいいとき、つまり弱アルカリ状態のとき交配すればいいということでしょうか。
■山田■弱アルカリ状態にある鳩同士を交配するのはいいですね。酸性をベースにしてひかれたトリとアルカリ性をベースにしてひかれたトリを交配するのが有力な方法です。
■本誌■個々の鳩の中にアルカリ性をベースにしたのと酸性をベースにしたトリがいるのですか。
■山田■はい、そのように考えています。愛鳩の友社が作った「ビデオ版世界の銘鳩卵一選」なんかを見ても、それは顕著に出ていますね。愛鳩家が俗にいうメスータイプのオス、オスータイプのメスというのは肖と密接にからんでいます。酸性ベースでひかれたトリか。アルカリ性ペースでひかれたトリかということは、その鳩の目に現われています。また体型にも現われますし、よく観察していると性格にも現われてきます。
■本誌■体型的には、酸性ベースかアルカリ性ベースかということはどのように判断すればいいのですか。
■山田■アルカリ性ペー。スで生まれたトリはいわゆるムキムキーマyです。ボディービルの選手をイメージすればいいんじゃないでしょうか。その逆に、酸性ベースのトリは細身で女性的です。
■本誌■とすると。メスータイプのオスというのは酸性ベースのトリ、オスータイプのメスというのはアルカリ性ベースのトリと考えていいわけですね。
■山田■大体そのように考えていいと思います。
■本誌■性格面ではどのようなちがいがありますか。
■山田■ボスータイプのトリ、ケンカなど挑まれたら絶対後に引かないトリはアルカリ性ベース。一方、参謀役タイプ、ケンカなど決して買わず(ラリと身を交わしながら逃げるトリは酸性ベースですね。 −そのような素質とか性格というのはμの問題というより、むしろ親からの遺伝じゃないでしょうか。これまでは一般的にはそう考えられていましたね。
■山田■遺伝と。いえば無論そうですね。ただ、子鳩をひくときの親のコンディションも大いに関係します。人間だって同じことがいえるはずです。同じ親から生まれた兄弟は同じような性格をもち、同じような行動力をもっているはずなのにそうはなっていません。兄弟の性格ひとつとってみても引込み思案なのがいれば大胆なのもいます。 ◇◇目に凝る人は芽が出ない◇◇
■本誌■鳩の場合、いい子鳩を作るにはどのような交配をモデルにすればいいのですか。
■山田■酸性ベースのオスにアルカリ性ベースのメスを交配する。それも、オス。メス両方共弱アルカリ性の状態にしてひくといい子供ができると考えています。色々なバリエイションは考えられますが、今いった方法はかなり一般的におこなわれているはずです。愛鳩家の間でも実体験としてよく知られているのではないでしょうか。オスよりも強いメスと。オスで。あってもそこにいるのかいない乃か叫‥らないようなのと配合すると飛ぷ確率は結構高いようです。
■本誌■一般の愛鳩家が経験的に探り当てたことをピジョン研究所はβの理論で裏付けたわけですね。
■山田■たとえば、オスとメスのコンディションをあげて(弱アルカリ状態にして)一番子をひきます。その後、中性になったり酸性になったりとコンディションは変化していきますが、トップーレベルにある愛鳩家たちはそのブレを少なくしていくのが上手ですね。
■本誌■作出にはやはり一番子がベストなんでしょうか。
■山田■作出のときのコンディションをどのようにコントロールしたかによって一番子の価値が決まりますね。鳩舎によっては一番子より、二番子、三番子の方が出来がよいという所もあります。それはその鳩舎の環境や管理によってコンディションの上げ方にちがいがあるかぷでしょうね。 私たちが鳩の研究を手掛けるかたわら、実際的な問題の解決策としてまず飼料鉱物を作ってみたのもその点を重視したからなんです。鳩のコンディションをコントロールする場合、ポイントはやはり餌にあるわけです。弱アルカリ性の状態というのはエネルギーが充填されていますから、後は発散するだけです。いわゆる追い盛りというのがそれに当たります。また、弱酸性の状態ではエネルギーが底をついているわけで無論望ましい状態ではありません。鳩のコンディションを調整する前提として、まずいつも中性状態に保っておくことが必要なのです。この点は何度も強調しておきたいですね。
■本誌■鳩の目についてはこれまで研究熱心な愛鳩家が色々と論じてきました。しかし、その割には成果が上がってないじゃないかという声も耳にします。山田さんの出身地である東海地方では「目の研究をはじめると芽が出ない」という格言もあるようですが。その点について最後にひと言どうぞ……。
■山田■現代医学では、眼球を調べるとその人間の身体のどこが悪いか診断できるところまで行っています。鳩の場合、その能力を判定するのは目が基準になることはほぼ明白です。ただ、目の研究に凝った人がレースで必ずしも活躍できなくなるのはそれなりの理由があるように思います。その点についてはいずれ機会を見て論及することにしましょう。(了)
|
| 了ということはピジョン研究所の資料はこれだけでしょうか? MIT 2022年7月24日(日) 10:18 |
修正 |
お久しぶりです。
ピジョン研究所は眼の理論を超え体系的に鳩について考察しようとした試みだったと思います。
インタビューから判るのは眼の構造、酸とアルカリによる状態変化等を通して眼による鳩質の把握だけでなく、鳩質の向上に必要な知識を得るための解剖であり、場(状態及び環境)の設定についての可能性について述べたものと思います。
愛鳩の友で解剖による骨格筋肉構造、筋肉繊維の写真を出したのは画期的な事であり、 先進国が何を考え系統を作ったのかを考え、日本が輸入に頼る継続的なビジネスモデルから脱却し、 自国による系統の固定や、逆に輸出を考える未来もあったのかもしれない等の感想を持ちました。
|
| MIT様 お久しぶりです。 イレブン 2022年7月24日(日) 22:09 |
修正 |
《インタビュー》[鳩の目とは何か?」の連載は、以上で終わっています。ピジョン研究書の資料はこのほかカラーアトラスで筋肉の理論展開の資料が有ったように記憶しています。資料が見つかり次第掲示板に載せたいと思っています。
MIT様がおっしゃるように当時のピジョン研究所の取り組みは、日本鳩界の歴史の中で、まさに画期的という以外ありません。この研究所が指向していた方向性は、MIT様がお感じになられたように日本鳩界の有り様まで大きな影響を与えてだろうとイレブンも思っております。それだけに、大きな外圧がかかり、研究レポートの発表の中止という事態を招くような結果になったのだのでしょう。
そして、21世紀にになって20年を過ぎた今もその構造は変わっていないようにイレブンには見えます。
(つづく) |
|