暑さに弱い鳩にはもちろんですが、飼い主にとってもつらい季節がやって来ました。トリをバスケットに詰めて鳩舎から下ろす仕事ひとつとっても、汗だくの重労働です。ですが、この春に引いたヒナ鳩か人前に舎外や放鳩訓練を始めていくのは何とも楽しみですね。疲れか癒される光景です。
◆◆◆ 鯉のぼり強制舎外 ◆◆◆
前回の補足で、換羽について少し述べます。若鳩の換羽を失敗すると、孫の代まで影響か出ると申します。つまり換羽をバロメーターにして、タネにのけてもあまりうまくない鳩がわかるということです。トヤが不調なのは健康状態が悪いのであり、たとえば内臓か悪い場合など羽毛が一度に抜けます。副翼の形も悪くなり、子、孫にも影響が現れます。
そういう体が弱いトリなんですが……中には可愛いのがおる。頭はいいわけですから、体が強い相い方をあてがったり、ただ鳩舎で大切に飼ったりということをします。私はあまり殺生しませんね。
12枚ある尾翼のうち2、3枚が生え代わらない鳩は過保護です。「自腹」などどいい卵を産むばかりで自分では抱かないのを繰り返していると、こういう現象か見られます。抱卵させたほうが、親鳩は一時は疲れてもじきに回復します。自然の摂理に反するほうか調子を悪くするのだと思います。
抱卵の問題のほか、エサが良すぎても尾翼の換羽は不調になります。脂肪分の多いナタネ、エゴマ(註I)、アサノミなどは与えないほうがいいでしょう。脂肪分を取り過ぎると呼吸が早くなり(註2)、調子が狂って短命に終わります。
※註1……昔の番傘、蛇の目傘の表面に塗っていたのがエゴマです。雨具に使ったくらい、油分が強かったのでしょう。
※註2……人間も、脂肪分の多いものを食べると、若干呼吸が早くなります。浅い呼吸、よすぎる新陳代謝では長生きはおぼつきません。長生き=「長息」なのです。
換羽の話はこれぐらいにします。
さてオフーシーズンもレース鳩は鍛えてやらないといけません。基本は毎日の舎外運動です。一日中出入口が開いていて鳩が自由に飛んだり帰ったりしているのが自由舎外。鳩舎によっては出入口を開けておく時間を決めているようです。強制舎外は、旗や花火などの小道具を用いて、決められた時間に鳩群が飛び続けるようにしむけるものです。
強制舎外にも二通りあります。旗をプンプン振り回す、花火や爆竹で驚かす、鷹のハクセイを出入口に置いておく等で鳩を文字通り強制的に追いやるもの。言ってみれば恐怖政治を敷くわけです。もうひとつはもっと穏便な方法で、飛翔時間を、立てた旗一本とエサの量で好きに操るのです。鳩の調子がよければこっちで十分イケます。
私の鳩舎は「こいのぼり」。スーパーで売っていた小さい白黒のやつを2匹、鳩舎の横に立てておきます。鳩はこれが出ている間は飛んでいて、下げたと見るとメシの時間だと帰ってきます。近所の人たちもみんな、こいのぽりを見ているようですよ。
花火などでビックリさせる作戦は、普段より長時間飛ばすときや飛びが悪いとき、屋根にとまったとき、またはワカが初めて強制舎外に出るときに有効かもしれませんね。ただ、真っ直ぐに上がらずによその家に飛び込んでしまったという話も開きました。くれぐれも気をつけてください。用もないのにご近所を怒らせる愚行は慎みましょう。
ハクセイは効き過ぎるらしいですね。出入口から下ろしても、鳩は20分くらいはこわがって入らず、ずっと飛んでいるのだそうです。
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