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  ■■【『Piet de Weerd 研究』関連資料】■■◇◇◇◇ デルバール系資料E 太田誠彦『Pigeon Culture第6回 −デルバール(Maurice Delbar)系の始原と展開A−』◇◇◇◇ 【出典:『愛鳩の友』誌、1994年8月号P102 より引用)】  イレブン  2020年11月18日(水) 2:59
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 ・    2020年11月18日(水) 3:01 修正
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 モーリス・デルバール系がオランダ長距離界に与えた影響は甚だ大きなものだ。現在、鳩王国ベルギーを凌ぎつつあるオランダの、長距離の名系ヤン・アールデンのベースをなしているデルバール系が、オランダ、また我が鳩界にどのような影響を及ぼしたのかを、広い視野の中で捉える。

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 ■デルバールとオランダ鳩界■  太田誠彦  2020年11月18日(水) 3:04 修正
 故モーリス・デルバールの血統また鳩は、世界の愛鳩家にとってポピュラーなものの一つです。先月号で触れたように、デルバール鳩舎の歴史は古く、ベルギーで脚環が発行される以前、第1次世界大戦が勃発する4年前の1910年(明治43年)頃にはレースを開始しています。

 ベルギー国内では、ヘクトール・ベルレンジが、デルバール系を継承してバルセロナで目ざましい成果を挙げました。またドーバー海峡を越えた英国では、J・W・ラングストンがシンデレラというポー・グランドーナショナルレースの優勝鳩を作っています。またわが国では、京都の並河 靖さんが三厩ナショナル800キロレースで、62年に総合優勝を遂げました。バロンの孫にあたるこの優勝鳩が日本鳩界におけるデルバール系初の成果です。またベルギーの隣国、オランダでも優れた長距離系が育まれました。

 これら偉大な功績を残したモーリス氏が逝去して、かれこれ10年近くの歳月がながれました。デルバール系はその歴史の長さと優秀な因子をもって、2次的鳩舎、3次的鳩舎と継承、分派され、広く世界各地で多くの活躍を生みだしています。先月号に引き続きデルバールを論じていくなかで、今回は故モーリス・デルバールの血統が、オランダ長距離系に与えた影響を考えてみたいと思います。

 現在、ヨーロッパの長距離界におけるオランダの愛鳩家の成果は目ざましく、ピジョン・スポーツ発祥の地ベルギーに迫り、圧倒する勢いであることは、近年の長距離レースの成績が如実に物語っています。この現象の背景には、オランダの愛鳩家の多くが、長距離レースに強い指向性をもっていることをまず挙げねばならないでしょう。もうひとつはデルバールをオリジナルとするヤン・アールデン系が広く分派し、有力な鳩舎を多数生みだしたことを指摘できます。

 近年、日本鳩界で人気の高いヤン・アールデン系は、第2次世界大戦後のオランダ鳩界が生んだ長距離の名系です。近年の長距離レースであげる成績の素晴らしさが、人気の要因でしょう。私か初めてオランダ鳩界を訪問したのは71年のことでした。それに先立ち、オランダのチャンピオンを導入した最初は1966年のベアトリックス(注@)であり、翌67年にジャンヌを、翌々68年にはK.O.ニッピスの作出鳩を求めました。この当時、オランダ鳩界はおろか、オランダ鳩に眼を向ける日本の愛鳩家はほとんどおりません。

 先述の3鳩舎は、間接的にデルバールの影響を受けています。ちなみに導入から間もない69年秋、東海・近畿合同グランド・ダービー江別1100キロで故田中巳之助鳩舎(当時東海連合会)が、ベアトリックスの孫で翌日5羽帰りの総合2位に、また71年の春にはニッピスの血とウェスターハウスとの交配により、近畿連盟の長距離レースで目ざましい名鳩が誕生しました。中本治芳鳩舎が作出し、宮田健児鳩舎(守口連合会)が使翔した69MM7279号です。このゴマのオスは71年の春、西日本GN1300キロを翌日帰りで総合21位(近畿3位)に入賞した後、2週間後の江別1100キロで翌日3羽帰りの中、総合優勝を遂げました。これら2羽は日本鳩界におけるヤン・アールデン系活躍の皮切りであり、鳩界の注目を大いに集めたものでした。

 注@ ベアトリックス=H59−836578 B♀ V・ボムメル作翔    2020年11月18日(水) 3:06 修正

 ◎ ジャンヌ=NL62−269192 BC♀ ウェスタ・ヒュース作翔    2020年11月18日(水) 3:08 修正

 ・    2020年11月18日(水) 3:09 修正
 私のヨーロッパ研究からいえることは、ベルギーにくらベオランダの愛鳩家は飼育規模が、100羽前後の小規模な鳩舎が多いことです。また愛鳩家が種鳩を導入するスケールも小さく、かつて英国のJ・W・ローガンやドクター・アンダーソンのように大金を投じて、ベルギーから名鳩を迎え入れたというような例は私か知る限りありません。これはオランダ人の生活のありよう、あるいは国民性からくるものでしょう。この点について、口の悪いベルギー人は、オランダ人が種鳩導入にあまりお金をかけないことを揶揄しまず。近年の彼らの成績が優れたものであることに脅威を感じているのです。

 確かにオランダの愛鳩家は質素であり、現在こそ幾つかの大鳩舎が生まれてきましたが、
平均的な愛鳩家の飼育レベルを較べれば、明らかにベルギーの方が高い。しかし、オランダ人の名誉のためにいい添えれば、GGP (国民総生産)はオランダは世界第11位にランクされ、第18位のベルギーに較ベオランダが遥かに上位に位置していることをここに記しておきましょう。

 飼育規模が小さいということと、その鳩質の良否とはむろん無関係です。オランダの性能については、近年のインターナショナルレースにおける躍進ぶりが、なによりも雄弁に物語っていることでしょう。

 ■デルバールとヤン・アールデン■    2020年11月18日(水) 3:11 修正
 今日のオランダ長距離界に大きな影響を与えたヤン・アールデン鳩舎は非常に小羽数であったといわれております。私は実際に訪ねておりませんので、その実体について正確に述べることができません。しかし、ヤンー・アールデン系の鳩を掴み、その特徴…例えば、よく見受けられる優しい顔貌、愛好家に人気のあるゴールドアイ(金目)や、中型で軽いボディ、肉質の柔軟さ、羽毛の質が滑らかである・:等から、私はデルバール系の強い影響を受けていることを確信します。

 ヨーロッパ鳩界におけるデルバール系の分派については、先月号の109頁を参照ください。オランダにおいてはデュッサルディン、K・O・ニッピス、ヤン・アールデン…このヤン・アールデンからファンデ・ウェーゲンやワンロイなど幾多の優れた長距離鳩舎が生みだされてきたことを示しました。

 右掲の著名な鳩舎のうち、中核をなすヤン・アールデン鳩舎は、デルバールの代表的なチャンピオンであるプティ・ダックス(7月号110頁参照)の血を基に、その大きな影響を受けています。一般にヨーロッパ人、分けてもオランダの愛鳩家にはそのオリジナルに関して、不明な部分が多いのは確かです。ここで敢えて述べますが、オリジナルが曖昧なことと、鳩質の優劣とが無関係であることはいうまでありません。この点で思い出すのが、マルタ・ファンヘールとのやり取りです。

 彼女とは1992年に、スペインのバルセロナで会いました。私かバルセロナ・インターの放鳩を見にいった時のことです。彼女にファンベール系のオリジナルについて質問をしたのですが、64年生まれの鳩が源鳩であり、それがヤン・アールデン系であるというのみで、その出自について詳しい説明を聞くことはできませんでした。

 一般にオランダの愛鳩家は、大雑把というか、日本人ほど血統書を重視しません。ことに1970年以前にはその傾向は甚だしいものでした。それだけに、鳩を鑑定するには、例えば刀剣の鑑定をするような見識が必要であったわけです。これに対しアメリカや英国の愛鳩家は几帳面です。この違いが何に由来するのかを端的に述べれば、英米人は種鳩導入に大金を叩いているからであり、その分、価値を認め、きちんと何々の子、あるいは孫と記すことに繋がっているのです。

 ・    2020年11月18日(水) 3:39 修正
 私は数年前、英国のマザレーラがトレードし種鳩としたスマトラーグドUを、実際に手にして観ました。ファンベールの血を受けた88年のバルセロナ・インターの優勝鳩です。私か英国を訪ねたおりのスマトラーグドUは、健康状態は決して良好ではありませんでしたが、明らかにデルバール系の特徴を私は直観しました。
  注A W・ファンレーウペン作翔 NL85−8559363 BCW
     88年バルセロナIN21176羽中優勝。

 血統というものは、例えば血統書上は16分の1であっても、その因子が強く現れてくることがあります。あるいは先祖返りというように、数代を隔てて遠い祖先の特徴がでてくることもあります。これが血統というものでしょう。ヤン・アールデン系の鳩たちの上に私か認めたデルバール系の特徴はそうしたものといえます。

 余談になりますが、わたしが導人したズワルテンという78年のバルセロナ・インターの優勝鳩(グリスベールド作翔)はその名のとおり黒胡麻のチャンピオンです。ある年からスターレンの娘で頭に逆毛のある黒胡麻と交配すると、その子に汚れ灰が生まれました。
黒と黒をかけて灰が生まれたのですから…当初、私もこの現象にはとまどったものでした。私は産卵するまで雌雄を巣房に閉じ込め完全配合を徹底していますから、この灰の羽色は明らかに先祖返りです。遠い祖先の羽色が甦ったのです。その後もこの交配からは黒胡麻もでるし、灰も生まれ続けました。

 ■オランダ愛鳩家の実力と気質■    2020年11月18日(水) 3:44 修正
 デルバール系はオランダの愛鳩家の手で、ヤンーアールデン系へと継承、発展して、やがて広く世界へと伝播されていきました。近年のオランダ鳩は、インターナショナルーレースの成果と相まって人気を高めています。昨年、ベルギーとの国境に近い町で行われたファンデ・ウェーゲン鳩舎の競売では、ベルギー人が高値をつけて落札したとのニュースを聞きました。

 現在のヨーロッパで最も高値を呼ぶのは、バルセロナで勝った鳩です。近年はバルセロナ・インターの優勝鳩は、1000万円以上の値でトレードされます。ベルギーはじめ一国のナショナルで勝つより、バルセロナで一捜千金を狙うという風潮が醸されてもいます。そのバルセロナにおけるオランダの好成績、ことにファンデ・ウェーゲン鳩舎とその血統の実績が、競売の人気となったのでしょう。プライドの高いベルギー人がその実績を認めたのです。

 オランダ大愛鳩家のキャラクターを私なりに定義づけると、彼らはダイヤモンドの研磨技術等にみるように、少羽数を愛情を注いで飼育し、育てるのが得意です。また嗜好性では、鳩レースを純然たるスポーツと捉え、なにより大レースでの勝利を競うという気質が強い。サンバンサンのレースに毎年、5万羽もの大羽数が繰り出される一例をみても、いかに、オランダの愛鳩家が、大レース制覇に燃えているかが如実に理解できます。

 その背景には400年前(16世紀)の大航海時代に、世界を席巻したオランダ人のパイオニア精神とでもいうものがあり、オランダの愛鳩家が、インターナショナル制覇にかける大きなエネルギーになっているのかも知れません。そのナショナリズムの強さは、明らかにベルギー人を凌ぐものがあります。

 ■デルバール系の継承のために■    2020年11月18日(水) 3:49 修正
 オランダにおけるデルバール系がヤン・アールデン系として今日、分派、発展して世界の名系に成長した要因は、そのオリジナルのデルバール系の持つ長距離適応性が強いことと、それを使翔したオランダ人が長距離嗜好が強かったことに尽きます。デルバール系は悪天候の、いわゆる難しいレースに強みを発揮します。スピードレース向きというより、
コンスタントに入賞を重ねるタイプです。また他系統との融和性に優れているのも、世界的にポピュラーな系統となる要因でした。生前のモーリス・デルバール鳩舎の黄金時代は1930年代から60年代までです。彼の真骨頂は長距離レースでのコンスタントさです。戦後の好成績としては71年のラ・ステレーヌ若鳩ナショナルでの優勝(ラ・ステレーヌ号B71−4579782BC♀ 6280羽中優勝)があるのみです。

 故モーリスの紳士振りも、彼の血統を世界に伝播するのに一役かっています。オランダやドイツ、アメリカなど、彼の名血を慕って訪ねる愛鳩家に鳩をトレードした場合、先方の国語で系統書を彼は書きました。黄金期を過ぎたモーリスは、晩年までピジョンスポーツを楽しみましたが、往時のような勝敗にこだわることはなくなりました。モーリスの死後、子息で2代目モーリスを継いだ通称ミッキー(1931年生)が、3代目デルバールを称しました。先代のモーリスのような広範な交遊関係こそ無くなったものの、父の残した名血を守り現在に至っています。近年は目立つチャンピオンの輩出はありませんが、往時のエッセンスは多く残されていると思います。3代目の凝縮された名血を活用するのもよし、間接的ではありますが、ヤン・アールデン系の飛び筋を導入するのもデルバールの名血を継承することになると私は思います。

 撮影の季節2020 源流系帝王ライン基礎鳩 【帝王6867号】  イレブン  2020年11月18日(水) 2:53
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 撮影の季節2020 源流系2代目基礎鳩 【源流モンスターキッド号】  イレブン  2020年11月18日(水) 2:49
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 ■■【『Piet de Weerd 研究』関連資料】■■◇◇◇◇ デルバール(Maurice Delbar)系資料E太田誠彦『Pigeon Culture第5回−デルバール系の始原と展開@−』◇◇◇◇【出典:『愛鳩の友』誌、1994年7月号P108 より引用)】  イレブン  2020年11月15日(日) 5:37
修正

 ・    2020年11月15日(日) 5:38 修正
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 今日、世界のさまざまな飛び筋を形成するペルギーのクラッシックについて語る。パイオニア大田誠彦氏が長年の研究の末にたどり着いた血統論。世界の名系のそのオリジン、特徴、そして今日への継承について豊富な知識を傾けて語り明かす。第一弾は「デルバール」である。

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 ■デルバール系との出会い■  太田誠彦  2020年11月15日(日) 5:39 修正
 京都の並河 靖さんが1959年に4羽の若鳩をモーリス・デルバールから導入した経緯については、5月号に述べた通りです。またFCIの会議に日本代表として出席された東京の関口龍雄さんを訪ね、デルバールが当時のベルギーで非常に活躍してるとの話を聞いたのは58年のことでした。

 私か初めて並河さんの鳩舎でデルバール系を実見し私なりに納得して、バロン号の直子であるバロン・スター号(*@)という鳩と、エカイエNo14という鳩の同腹のボンブルーVの二羽を、懇請のすえ譲り受けました。当時の私にとっては初めて手にするベルギーからの輸入鳩であり、当時の私にとっての最高の鳩でした。またわが国におけるデルバール系の優勝鳩を輩出した第1号だと思います。

*@ 直子三厩N総合優勝(並河鳩舎作翔父のバロンは52年生のゴマの雄で1000キロまでに22回入賞。祖父ボンブルーは40回のレースで16回入賞の代表鳩)

 その後、1968年に初めてベルギー、ヨーロッパを訪問して以来30数度の渡欧を経験し、また今日こそ多くの資料を入手し、私の研究も充実してきましたが、当時の日本鳩界には、シオンやブリクー、スタッサールなどについてはそこそこのデータが入手できていたものの、デルバールについての資料、情報はほとんど皆無に近い状態でした。またベルギーの鳩界や、古い血統を解説した著書も極めて少なく入手は困難でした。

 ベルギーのピジョンスポーツが産声を挙げたのは19世紀のことであり、1800年代の中、後期にかなりの隆盛をみたことは確かです。しかし、歴史というものはキチンと記録が保管され、あるいは著作物によって発表されなくては歴史として公認されません。その意味で、ベルギー鳩界の確実なデータというものはかなり後年になってから整備されだします。

 またベルギーで脚環が協会から発行されたのは1920年であり、それ以前に好成績を収めた有名な愛鳩家は多いのですが、その活躍や優秀鳩を伝えるものは所謂「風聞」あるいは「口伝」によるものであって、確実な資料とするには曖昧なものといわざるをえません。

我々が今日のベルギーの血統や鳩を研究するうえで、そのオリジンを知ることは非常に重要なことであり、不可欠の要素です。しかしながら近代ベルギー鳩の発祥については、前述の通りはなはだ曖昧模糊としております。つまり、その発祥のころには脚環が無いため鳩を特定することができず、またレース鳩を改良するプロセスに関する記録が、ほとんど残されていないからです。

 それでも今日のレース鳩の基礎を築いたというべき愛鳩家として決して忘れることのできない人物としてユランという人がおられ、またカール・ウェッゲ、ベックマン、ファンシングン、またアウセーノなどがおります。みな1800年代中期の人物です。この中で、私はウェッゲの写真をみたことがあります。近代ベルギー鳩の改良に極めて大きな影響を与えた人物です。

 彼の業績について、英国の愛鳩家であり優れた研究家であったドクター・アンダーソンは彼の著作に「極めてきつい近親交配をおこない血統の固定を図った」という指摘をしています。しかし彼がどのような血統の鳩同士を交配し、どのようなチャンピオンを作ったかという点では残念ながら不明の部分が多いのです。

 鳩の血統というもは作出者がキチンと記録を取り、文書に残さなければならないものです。

 黎明期のベルギーの主要な愛鳩家でありかつ今日、世界の鳩界で実績残すデルバール系を基礎にして形成された活躍鳩舎の血統的関連を示しだのは上掲の概略表です。
 図中の愛鳩家がどのように交流し、どのような鳩を介して血統を交配したのかについては、前述のとおり不詳です。

 ウェッゲ系の鳩を活用した愛鳩家はベルギー国内を見てみるとフランス語圏であるブラッセル地方に鳩舎を構えるギョイム・スタッサール、そのブラッセルから30牛口ほど南のジョリモンに住む(ドクター)アーサー・ブリクー、その弟子のエルネスト・デュレーなどを私は「ブラッセル・タイプ」を創成した鳩舎と考えます。

 また西に目を転じると、フラマン語圏(西フラマン州)のテオ・ファンデヴェルデがあり、この鳩群からカトリス兄弟、シャルル・ファンデルエスプト、レオポルド・ボスタイン、オスカー・デフレンドなどが血統を活用していました。

 こうしたベルギーの第2次大戦以前から活躍してきた愛鳩家の血統関連の中に、モーリ
ス・デルバール鳩舎を位置づけると、ブリクーより24、5歳若く、デュレーやトレムリーなどとほぼ同世代となります。

(つづく)

 ■そのオリジンについて■    2020年11月17日(火) 4:56 修正
 数年前に故人となったモーリスーデルバール氏の血統は、今日までの私の研究の結果いえることは、国を問わず、世界で最も多くの活躍鳩を生みだした血統ということです。モーリスは、父のオスカーとともに、フランス語圈のルネー(フラマン語でロンス)に鳩舎
を構え、1910年代にはピジョンスポーツに親しみだしました。

 モーリスは私の記憶によれば1900年の生まれで、80歳を越える長寿をまっとうしました。そのデルバール鳩舎の血統を形成した鳩たちが文献上に現れるのは、脚環が発行になる1920年以降のことです。

 その時代のベースをなしているのが「ド・プレーター」という鳩舎の鳩です。モーリス氏の生前に、そのド・プレーターなる鳩舎の鳩について私は質問したのですが、どのような血統を基にしていたのかは判明できませんでした。ドクター・ブリクー系も間接的に彼は導入しております。

 ちなみに現在のデルバール鳩舎は、モーリス氏の子息である二代目のモーリス氏(通称ミッキー)が継いでおり、ロフトを先代とは別に設け、亡き父の血統を継承しています。

 先述のとおり、私にとって初めて手にしたベルギーの鳩がこのデルバール作出のバロン・スターでした。並河さんにトレードの申込みをしたのは、並河さんが62年の三厩ナショナルで総合優勝を遂げる前のことです。後に優勝鳩となる60−40382号(*A)が新潟の400キロレースで京都全域で優勝した時点でした。

 当時の京都の鳩界は非常に隆盛を極めておりましたから、デルバールの勝利の意義を大きなものだと判定したのです。並河さんも、デルバール、またバロンの血の優秀さを充分に認識しておられていましたから、私のトレード申込みは容易なものではありませんでした。

 並河さんからデルバールの種鳩を導入してから初のヨーロッパ旅行までの間には、私かデルバールに関する研究を行ってきた過程の中で、例えば大阪連合会の細川英次郎氏が導入したバルセロナW号(60年・61年バルセロナーN10位、8位入賞)という鳩かおりました。
 
この鳩を作翔したヘクトール・ベルレンジ鳩舎はデルバールの後継というか、分家のような鳩舎です。バルセロナWは灰の小さな雄鳩でした。この鳩や、また並河鳩舎の種鳩だったバロン・スターなどをとおして、デルバール系が長距離にかなり良い性能をもっていることを私は理解していたのです。
  *A 62年春三厩N800キロ総合優勝。
  父はV・ロビンソン系、母はバロンの娘 1968年に初めてヨーロッパを訪問した私は、すでに導入していたギャマン(60年バルセロナーN優勝)やミュニイエ号(62年63年バルセロナーN連続優勝)の作翔者であるアルベール・モナンやアデラン・ドマレーの両鳩舎を訪ね、バルセロナの覇者とその鳩舎を観ることを大きな目的にしておりました。同時にベルギーをはじめ世界で多くのCHを生み出しているデルバール鳩舎を訪ねて、そ
の現実の姿を見ることが私の旅のテーマでした。

 ■血統の特徴をチェック■    2020年11月17日(火) 5:04 修正
 鳩の血統による特徴、タイプの違いは、生物学でいう[種]ほど厳密なものではありません。しかし、愛鳩家が識別する「差異」は顕著なものです。私の五感と多数の導入経験をとおして得たデルバール系の体型としての特徴を述べてみます。

 〈鳩体に関して〉

○中型または中型の小 
○骨格は太くなく一般に軽めの鳩が多い(シオン等に較べるとキールは短く途中で切れた感じの鳩が多い)
○ボディはやや詰まり気味の鳩が多い O背は丸みを帯び掴むと尾を下げ気味にする鳩が多い

〈風貌、肉質など〉

○一般的には雌タイプの雄が多く、灰の羽色に出た鳩の多くは小ぶりで、灰ゴマに出た雄の中にはなぜか胸幅が広いものがある。
○肉質は概して柔らかいものが多い

〈目、羽色について〉

○目の色については赤目、金目と称される特徴ある目が多い。薄い柿目や黄色い目、石
目は少ない
O灰または灰ゴマが多く、白刺しや灰栗、栗ゴマがある

 という点が、私の鑑定によるデルバール系の特徴です。羽色の点では、白斑の生まれることが多いのも特徴のひとつです。これは、第2次大戦前の、1930年代のデルバール鳩舎のチャンピオンなどを調べてみると、ブルー・バリオレ(灰刺)とかエカイエ・プリュームブランシュ(灰ゴマ羽白)と名づけられたものかおり、この鳩だちからの影響で また栗系のルーツは1950年前後にバルセロナ・インターを制したダネーブ兄弟の優勝鳩です。私の記憶によれば、ブリクーとデルバールの血を引く栗ゴマの優勝鳩と交配するためにデルバールは、バロンの妹をダネーブ鳩舎に持っていき共同作出をして、できた子鳩を2羽持ち帰りました。このラインからバルセロナで多数回入賞したパールー号やその子の9号といったミュニイエ(灰栗)の鳩が生まれています。

 デルバールはこのような他鳩舎との血統的な交流を随分行ってきました。ブリクーやトレムリーといった当時の有名血統と交配し、その血を導入してきたのです。

 写真で観る古いデルバール系の鳩体は胸が張り、詰まり気味の鳩が数多く見受けられます。1932年生まれの代表鳩プティ・エカイエ号(*前頁写真参照 フラマン語でクライネン・ゲシェルプト)の写真を参照してください。この鳩はデルバール系の特徴を良く体現しております。特に印象的なのは、その鮮明なゴマ模様です。

 ちなみにフランス語のエカイエとは「ウロコ」という意味で、ゴマの羽色が魚のウロコを連想させることからの呼び名です。プティ・エカイエは1938年サンバンサンIN4位・N優勝、1939年同レースIN3位・N優勝を収めています。

 余談ですが、ベルギー人が鳩名をつける場合、体や状態を形容したものが実に多いのです。私か並河さんから導入したのは、代表鳩のバロンの血統でした。このバロンというのはフランス語の「BALLON」で「風船」を意味します。

 これに対しローセンスが飛ばし、75年のバルセロナーインター2位に入賞した「バロン」は「BARON」であり「男爵」という意味になります。日本語ではともに「バロン」と表記して、区別できないことが多々あります。

 デルバール系は、私か研究した多くの血統のなかで、最も多くの国々で活躍し、素晴らしい適応性を示した名血です。次号では、デルバールからどのような鳩舎が分派し、今日に継承されているかを述べていきます。

(以上)

 撮影の季節2020 源流系異血ライン2代目基礎鳩 【モスクワU号】  イレブン  2020年11月17日(火) 4:43
修正

 撮影の季節2020 源流系岩田ライン基礎鳩 【帝王705号】  イレブン  2020年11月16日(月) 22:10
修正

 撮影の季節2020:源流系選手鳩 20-03711B♂  イレブン  2020年11月15日(日) 17:44
修正

 撮影の季節2020:源流系選手鳩 19-05359DC♀  イレブン  2020年11月15日(日) 17:36
修正
【翔歴】
〈2019年秋〉 
100K記録 
200K記録 
300k記録
〈2020年春〉 
100k記録 
200k連合会6位入賞 
300k記録 
500キロ当日記録
〈2020年秋〉
100K記録 
200K記録 

 撮影の季節 2020  みーちゃん 七五三  イレブン  2020年11月15日(日) 14:57
修正
イレブン家のお姫様の七五三でした。

 七五三A  イレブン  2020年11月15日(日) 14:59 修正

 2020年秋 500kレース  イレブン  2020年11月11日(水) 21:09
修正
昨日が秋レース最終の500キロの持ち寄りでした。

イレブン鳩舎は、♂1羽朝♀5羽計6羽の参加です。連盟でも170羽位でした。最近は秋レースへの参加が減少傾向にありますね。

さて、放鳩は明日の朝の予定です。、

 2020年秋 500kレース  参加6羽 当日記録0羽 翌日1羽 計1羽   イレブン  2020年11月12日(木) 21:46 修正
本日9:20分放鳩とのことでした。

仕事から帰宅して確認しましたが、当日の帰還はありませんでした。明日を期待しています。厳しいレースになっているようですね。

【翌日】翌日1羽記録でした。厳しい結果となりました。幾点か、思い当たる反省点もありますので、改善し、来年の春レースに臨みたいと思っています。

@20−03604 SlAT ♀ [連合会17位] [分速:831.093m]

 @20−03604 SlAT ♀ [連合会17位] [分速:831.093m]   イレブン  2020年11月13日(金) 22:13 修正
■父:【帝王5680号】
帝王ロフト作 
95ゴールデンアイ4重近親
帝王系極近親種鳩
全兄弟:黄眼号、帝王5718号

■母:【帝王パイドU号】
帝王ロフト作
帝王パイド7396号の直仔

 ・  イレブン  2020年11月13日(金) 22:22 修正

 ・  イレブン  2020年11月13日(金) 22:35 修正

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47  過去ログ全 2505件 [管理]
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