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ようこそ、「スネークパパの掲示板」へ。お気軽に投稿いただければうれしいです。(『スネークパパの部屋』管理者イレブン)

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 ■■『油性粒子理論 研究』A■■「THE EYES -鳩の目に関するレクチャー+鳩の選び方・育て方」◇第7回◇■(出典:『The eyes and other guides to success』 John Lambrechts 著:『愛鳩の友』誌、2006年4月号、)  イレブン  2021年5月3日(月) 3:08
修正
※調査中

   ky  2021年5月2日(日) 12:52
修正
1000kレースはいつになるのでしょうか?

 1000K  イレブン  2021年5月2日(日) 22:14 修正
今のところ5月6日持ち寄りの予定となっていますが、天候が不安定なので最終的にどうなるもか定かではありません。判断が難しい状況のようです。

http://weather-gpv.info/

 天気図  イレブン  2021年5月2日(日) 22:20 修正
・・

 ■■『油性粒子理論 研究』A■■「THE EYES -鳩の目に関するレクチャー+鳩の選び方・育て方」◇第6回◇■(出典:『The eyes and other guides to success』 John Lambrechts 著:『愛鳩の友』誌、2006年3月号、P158〜P161より引用)  イレブン  2021年5月2日(日) 4:24
修正
今、引用しているJohn Lambrechtsさんの著書『The eyes and other guides to success』は、その題名が示しているように「鳩の目に関するレクチャー+鳩の選び方・育て方」という内容で構成されています。『油性粒子理論 研究』Aの引用資料としては第5回までの内容で終わっているのですが、それ以降の「+鳩の選び方・育て方」の内容も、掲載することにしました。

その理由は、一つには、これ以降の記事の内容をここで紹介しなければ、今後いつになるか見当がつかないこともあり、また、この後半部分の内容がなかなか味わい深い文章が続いているからです。

ここで述べられている「鳩の選び方・育て方」は、現在の私たちにとっても切実な課題であり、その一言一言にうなずける深さや理論を感じます。イレブンの手元には、第10回連載までの記事がありますので、(第7回と第10回後半は現在調査中)この連休中に一気に掲載することにしました。

コロナ禍の影響で昨年同様、STAY HOMEなGWになっています。暇を持て余してある方もおられるかとも思います。結構お薦めの内容ですし、この中から、また、何か、連載の新しいテーマが浮かんで来るかも知れません。

2021年春の最終レース1000kの持ち寄りは5月6日の予定です。2021年春レースも、あとわずかとなりました。イレブンも、このJohn Lambrechtsさんの論文をもとに、この春レースをいろいろ振り返りたいと思っております。

 ■交配にまつわる諸問題■  John Lambrechts   2021年5月2日(日) 4:57 修正
 1972年の1月。気温は氷点下17℃に下がった。冬の最中である。しかし我々の種鳩は調子よく過ごしていた。巣の中の卵やヒナたちも同様であった。鳩たちは、厳しい寒さから、きちんと身を守ることができる。

しかし鳩の飼い主はどうだろうか。事情は鳩とは大違いである。午前6時の厳しい寒さの中で、鳩舎の凍った糞をきれいに取り除いたり、凍ってしまった飲水器の水を解かしたりするのだ。生やさしいことではない。

このきつい仕事に耐えられる人は、真の愛鳩家であるに違いない。しかしこんな場面では、趣味といえど、それほど 「愛好」しているようには見えないだろう。

 この時期は、多くの愛鳩家が、交配の問題に直面する。2月の初めに、どうやって鳩をつがいにしたらよいか。これが、非常に難しい課題となってしまう人々もいる。自分の鳩が、順調に数を殖やしたか否かよりも、鳩の価値自体を理解していることが大切だ。

 ■試してみるのが一番■    2021年5月2日(日) 5:01 修正
 初心者に対する有効なアドバイスは、よい鳩にはいろいろな交配を試してみなさい、という一言に尽きる。もちろん、交配した2羽がうまく馴染まない場合も出てくるだろう。

チャンピオン鳩を産むためには、最良の雄鳩と雌鳩をつがいにするだけでは、十分とは言えない。それでよいならば、あまりに簡単であろう。しかし、優れた雄鳩ならおおよそ、自分と同じ程度の鳩を産むことはできると言ってよいだろう。よい雌鳩とつがいにしても、結果が思わしくないならば、よい相手にめぐり合うまでぺアリングを変えて試すことである。

 繁殖期ごとに、少なくとも一度は、すべての種鳩同士を交配させたいと考えている愛鳩家もいる。そうすれば。最小限の時間で、最もよいぺアリングを見つけられるだろうし、次の繁殖期には、最初からずっとその2羽を交配することができる。また、私は、成功したつがいからは、できるだけ長期間ヒナを引きたいと思っている。

ヒナたちが育つには時間がかかるか、親より劣る性質が見つかったらすぐに、つがいの両方に、それぞれ、もっと若い鳩を選んでやる。これは、前にも言ったように、ある程度の試行が必要である。つがいの鳩が、お似合いと見えないならば、子孫は満足いくようなものではないだろう。両親が、どんなに優れた鳩でもそうである。

 16年前、私達の鳩”プリンス”は、実は素晴らしい種鳩だったのだが、他の鳩と交配してみるまでは、その徴候は全くみえなかった。当初は父親譲りの欠点しか持ち合わせていないのかと思われたが、3羽の雌鳩との交配で生まれた子は、すべて、興味ある入賞を果たした。そして。プリンス自身が、10年に一度あるかないかの、珍しい鳩であることがわかった。

 この鳩をまた別の雌鳩とつがいにすれば、もっとよいぺアリングが発見できるかも知れない。交配を成功させることは、考えるほど簡単ではないのは明らかである。

 ■将来を予測するには■    2021年5月2日(日) 5:02 修正
 交配の選択を積極的に行い、成功しているチームを訪れたとき、私がチェックするのは、若鳩が。遠い祖先と同じ特徴を、どの程度下った代まで、受け継ぎ保っているかという点だ。

若鳩がまだ成長の途中であるということは考慮の上である。一方、絹のような羽毛、しっかりした骨格構造、知的な頭脳などは、生まれたときから変わらないようだ。もちろん、初めての換羽が終わった後の話である。

 また。単羽訓練で、鳩舎に戻ってくるような鳩は好もしい。それはその鳩の、粘り強さや個性の表れだからである。1971年の冬、我々の鳩舎には29羽の若鳩がいた。

ほとんど全ての鳩について、初めての放鳩の際、一羽ずつ単独で放しておいた。1日、2日、中には3日かかった鳩もいるが、一羽も欠けることなく、すべて自力で鳩舎に戻ってきた。この性質を決して見逃してはいけない。

 もし、何らかの理由で、あるチームの今後を見定める必要が生じ、それを記録されたデータだけから判断しなければならないとしよう。私なら、最も成績を挙げている鳩の年齢を調べ、他の若鳩が現在どの程度に達しているか判断する。

この比較は興味深いもので、そのチームが将来どのくらい伸びる資質を持っているか、ある程度予測できる。この話題については、また後で述べるが、この比較によって、前と同じように飼育を続ければよいと考える愛鳩家もいる。逆に。このままでは早晩、チームの質が低下してしまうと気づく人もいる。

   ■「よい鳩」というだけではダメ■    2021年5月2日(日) 5:03 修正
 次のようなケースもよく見られる。年を取った優秀な鳩が。鳩舎の独裁者となっていて、若い鳩が、両親の成功を引き継ぎそうな様子がない。これは次の3つの原因によって起こるようである。

・優秀なフライターなのに。種鳩として選ばれなかった。
・優秀な鳩が、相性の悪い鳩とつがいにされた。
・レース鳩としては優秀でも、種鳩としては優秀ではなかった。

 かつて、ある愛鳩家から「私の最高のレース鳩たちは、前途有望な子の父親になった試しがないのですが、なぜでしょうか」という質問の手紙をもらったことがある。私は、そのようなケースの半数以上が、次のような原因ではないかと懐疑的になってしまう。優秀なフライターたちが。相性の悪い鳩とつがいにされてしまうことは珍しくないのだ。最もよい雄鳩が、とびきり優秀な雌鳩とつがいになっても、相性が合わないときは合わないのである。

 また、兄弟がチャンピオンになっているものの、自身のレース結果は平均程度という鳩でも、特筆に価する子孫を生み出すこともある。一例を挙げると、一年子のとき、兄弟の”メルクス”に勝てなかった”ヘスケルプテ68”という雄の鳩がいる。ヘスケルプテは肉体的には欠点がないように見えた。そして”リヒテ・クヴェークダイフィン‘とつがいになって、中距離レースで饅勝するような鳩を生んだ。この実例は、肉体的な美点のほうが、将来現れるかも知れないレース結果より重要なのではないかということを示している。

 同じような特色を持った鳩と、適切な交配が行われれば、血統的に価値のある特徴が、すべて、子孫に発現するようである。このことは、疲弊した血統には当てはまらない。つまり、全盛期を過ぎた血統ではなく。現在の活躍鳩を生み出している種鳩に当てはまることである。かつて評価が高かったものの。現在は全く成績を上げていない血統を導入したせいで、前途に相当有望な兆しのあった血統を台無しにしてしまう愛鳩家は、非常に多い。

 無分別に異種交配することによって、血統が悪くなってしまったことに気づいた人は、新参の鳩を取り除き、価値のない子孫も取り除いてしまうようにと、忠告されることが多い。もし古い血統に見るべき点があれば。交配してみるべきである。試験的に、外部の血統の鳩と交配してみてもよい。

 外部から導入する際は、健康かつ活力ある鳩で評判の鳩舎から手に入れよう。鳩の健康を保つために、人為的に何かしなければならなくなるようなことは、どんな犠牲を払っても避けなければならない。鳩舎の鳩全体に危険が及ぶからである。
 

 ■病気を持ち込まない■    2021年5月2日(日) 5:04 修正
 コクシジウム症とトリコモナスが、柿鳩に感染してしまったら、ことは重大である。現状では健康だとしても、数年の間に、すべての種鳩に予防治療を施さねばならないということが危険なのである。

 毎年、かなりの数の鳩が、売買・交換されていることは、注目に値する。コクシジウム症やトリコモナスを持っている鳩が多ければ多いほど、鳩舎の鳩全体の。自然な抵抗力が弱くなってしまう。優秀な血統のかなり多くが、これらの病気によって、絶えてしまっている。これらの病気は、ほとんどいつも、他の血統と交配することによって感染している。いったん数が滅ってしまうと、生き残った数羽の若鳩から再びその血航を立ち上げるのは難しい。

ルイ・フェルネイエンという、ド・ダイフ誌の私の同僚は、強く健康になれない鳩や、弱くて病気を持った鳩しか産めない鳩はすべて取り除いてしまうように、読者に勧めていたものだ。私はあまり賛成できない。もし、予防措置が打ち切られたなら、多くの鳩を処分せざるを得ない事態となるだろう。しかし冒険的な観点からすれば、そこで残る鳩というのは、かなり価値があるだろう。

 何年か前、コクシジウム症や、トリコモナスやパラチフスの予防に役立つ現代的な薬が、まだ開発されていなかった頃、これらの病気にかかる鳩の数は、はるかに少なかった。なぜだろうか。その当時の愛鳩家は、病気になった鳩はすべて、できる限りすぐに取り除いてしまうのが常だった。私の友人には、もう70歳をかなり過ぎている人もいるが、現代の科学的な方法に、全く注意を払っていない。しかし、50年間にわたって、比類のない成功を収めている。彼らは、次のように考えている。

 「自分自身で健康を保てない鳩は、スープ鍋行きである。完全に健康な鳩からでさえ、よい鳩を育てるのは、難しいのである」

(第6回、以上)

 ■■『油性粒子理論 研究』A■■「THE EYES -鳩の目に関するレクチャー+鳩の選び方・育て方」◇第5回◇■(出典:『The eyes and other guides to success』 John Lambrechts 著:『愛鳩の友』誌、2006年2月号、P144〜P147より引用)  イレブン  2021年4月29日(木) 5:40
修正
この「THE EYES -鳩の目に関するレクチャー+鳩の選び方・育て方」では、連載第5回まで、実際の運用(2)として、油性粒子理論が述べられています。後半は、「種鳩」という項に移って、それ以降は交配理論に展開していきます。イレブンは、目の理論の半分以上は、交配を考えていくための理論だと捉えています。この件については、いずれじっくりこの掲示板で連載して取り組む考えです。

さてこの回には、目の理論を考えていく上で興味深い記述があります。

●60年以上前に、ハンガリーのイグナス・フォン・ベグゼリー博士は「鳩の虹彩には、身体の器官の性質が映し出されている」と結論づけている。

これによるとレース鳩の研究では、かなり以前から目の研究が進められていたということになります。この本の出版が1973年ですから、その60年前ということは、1910年頃のことになります。第1次世界大戦の前ですね。

以前、来日したクレルカン中尉の講義を記録したノートに目の理論が書かれていたものがあったということを聞いたことがあります。歴史的に見て当然あり得ることですね。

  ■実際の適用(2)■  John Lambrechts  2021年4月29日(木) 5:42 修正
●マニックス

 マニックスはリヒテ・クヴェークダイフィンとヘスケルプテ68の息子で、兄弟にメルクスやヘブローケン・グラートがいる。マニックスの父は、ヒュースケン・ファンリールの純血種で、濃い真珠色の目をしている。母はハベニスとカトリスとの配合により産まれたもので、美しい茶色の目をしている。その目は、きめが細かく、たくさんの線と、数え切れないほどの静脈が走っている。

 マニックスは、中距離のレースでよい成績を取っている鳩で、悪い天気の時が最も良い状態である。目は、たくさんの良い性質を持っていて、ブリクセンの目と似ている部分もある。例えばブリクセンと同じような、密な静脈の環を持っている。ブリクセンのものほど広くないかも知れないが、瞳孔の上や後頭部側に長方形の点を持っているので、手ごわいレース鳩となるであろうことがわかる。

 虹彩の濃い色は、時々、このような点や線となるようである。一流の鳩の目には、必ず見られる特徴である。これは科学的に証明することができるのだろうか。ランク博士によれば、目の中の物質は、いつも血管を通した新陳代謝により入れ替わっていて、神経から刺激を受けている。ということは、身体の他の部分からの情報が目に届いて、目に彫響を与えている可能性がある。また、鳩が自分の位置を知る能力と虹彩との間に、関係があるという可能性も示している。

 60年以上前に、ハンガリーのイグナス・フォン・ベグゼリー博士は「鳩の虹彩には、身体の器官の性質が映し出されている」と結論づけている。このことは、線や点のような好ましい特徴が、どのようにして、なぜ、鳩の目の虹彩に表れるのか、説明してくれるだろう。ブリクセンの場合のように、マニックスの目も、完全なアイサインを示している。この目の輝きに注目したい。この輝きがあれば、健康と活力にあふれていることがわかるのである。


 ●ヘブローケン・グラート    2021年4月29日(木) 5:49 修正
 ヘブローケン・グラートは、私達の血統の有名な雄鳩である。この鳩は、ヒュースケン・ファンリールの純血種である。たくましい鳩で、考えられる限り、最も良く進歩した身体をしている。若いとき、テレビアンテナの柱とぶつかって竜骨を折ってしまい、それ以後レースには出なかった。

 兄弟のメルクスから、ヨング・メルクスという、1レースシーズンで7回も優勝した鳩が産まれているが、既にその前の年に、メルクスだけでなくヘブローケン・グラートも、種鳩にしようと決めていた。後悔するような結果にはならなかった。ピーレヴィチェやフード・ボントと交配して、早く飛び、疲れを知らないレース鳩が産まれた。

 ヘブローケン・グラートは、完全であると言い切ってしまってもよいほどの目を持っている。虹彩は、緑色がかった、やや暗いような灰色で、豊かな色合いをしている。その強い色合いと、どれほどきめ細かくなっているかを。じかにご覧いただけないのが残念である。

 虹彩の縁に、虹彩を完全に取り巻いている細い黒い環がある。これは、良い血統の鳩に見られる特徴だという人もいる。しかし、この環は、価値のある鳩にもない鳩にも見られるので、考慮せずともよしとしなければならない。この鳩で好ましいのは。虹彩と瞳孔の間にあるアイサインが、完全に瞳孔の周りをぐるりと囲んでいることだ。アイサインは、部分的に緑色で、瞳孔自体より淡い色合いである。瞳孔の上や反対側では、もっと淡い青い色合いである。瞳孔の上には、三本の細い線も見られる。


 ●リヒテ・クヴェークダイフィン     2021年4月29日(木) 5:51 修正
この素晴らしい鳩は、父親が古いハベニス系で、母親はカトリスであり、マニックスやクライネ・ブラウウエ、イーゼレンなど、価値ある鳩の母親でもある。

その目は、黄色が点々としていて、美しい茶色の色合いをしている。

しかし、虹彩に、肉眼で見ることのできるたくさんの細かい線がある。まれに見る素晴らしい輝き! 

アイサインは、鋸歯状で、とても広く、瞳孔を完全に取り囲んでいる。色は瞳孔と同じように、ほとんど黒に近い。

この鳩は。若いとき、1965年にレースに出ただけである。その時に、特別に良い鳩であることを示した。400K(250マイル)までの距離で、12回レースに出場したが、毎回入賞し、5位以内入賞6回という成績を収めた。

 ■種  鳩■    2021年4月29日(木) 5:53 修正
 交配能力の高い鳩を見分けるにはどうすればよいのだろうか。重要な資質とは何だろう。身体の大きさか。よく発達した筋組織か。目や羽毛の色も重要なのだろうか。

◇体 格◇ 私は種鳩用に体格の良い鳩を好んで選ぶが、大きすぎるのはいけない。ショーに出品するためだけのような鳩だ。主に見かけだけで判断され、オリンピアードのスタンダードクラスで高い評価を得るるような。
 私か好きなのは、典型的な、鳩らしい鳩である。その見本といえるような、標準より小ぶりの鳩を実際持っていた。そして必ず、やはり本当に鳩らしい鳩と呼べる雌鳩とつがいにした。
 種鳩を選ぶときは、体格的な欠点ができるだけ少なく、長所ができるだけ多い鳩を探すようにしている。そういう鳩が、優秀な血統を産み出すことができる。

◇背 中◇ 種鳩の背中は、ほどよく頑丈であればよい。この点であまり恵まれない体格にもかかわらず優秀な鳩を、これまでたくさん飼ってきた。もちろん、貧弱すぎるということはない。もし貧弱すぎるなら、一流のフライターにはなっていなかっただろうから。

◇頭 部◇ 雄の頭の形が、雌に似ているような鳩舎の鳩を、私は手に入れようとは思わない。種鳩の質が低下している徴候である。近親交配をやりすぎたのが原因かも知れなは不可欠である。

 私は、目の色が次の世代で多様性を失わないよう注意を払っている。そのため、交配では、灰色や白、あるいは黄色の目の鳩と、茶色い目の鳩をつがいにしている。

 一般的な見方ではないかも知れないが、私にとって栗色の目は、他のどの色よりも好ましい。種鳩として常に優秀で、最上級のバラエティを子孫にもたらすことが期待できるのである。

◇性 格◇ 神経質な雄鳩に掛け合わせる相手としては、ふだんはおとなしく、必要に応じ自己主張できるような雌鳩を選んでいる。そういう雌は、遠くから放しても、速やかに鳩舎に戻ってくる精神力を持っている。おとなしすぎる鳩どうし、神経質すぎる鳩同士をつがいにしても、価値ある子孫は期待できない。

 両親の性格が子孫の性格にとって極めて重要であることは、一般によく知られている。ということは、他の鳩をはるか後方に引き離して帰ってくるような、不屈の粘り強さを持った鳩は、優勝鳩の親になる可能性をも秘めているのだ。

 ■■『油性粒子理論 研究』A■■「THE EYES -鳩の目に関するレクチャー+鳩の選び方・育て方」◇第4回◇■(出典:『The eyes and other guides to success』 John Lambrechts 著:『愛鳩の友』誌、2006年1月号、P150〜P153より引用)  イレブン  2021年4月28日(水) 5:03
修正
いよいよ、具体論で話題が展開してきます。挿入資料がカラー画像でないのが残念ですが、想像を膨らませて理解して行きたいと思います。どこかにカラー画像がないか探して見ますね。

この愛鳩の友の連載「THE EYES -鳩の目に関するレクチャー+鳩の選び方・育て方」では、今テーマとして扱っている「油性粒子」に関してのは記述はこの4回までで終わっています。その後どうなっているのか、こんどの休日に、原本を探して、原文で確認してみますね。

 ■実際の適用(1)■  では、鳩の目のどこを見て何を見つけたらよいのか。写真とともに説明しよう。  John Lambrechts  2021年4月28日(水) 5:05 修正
●ブリクセン●

 この鳩は、ハベニス系の直系の子孫である。父はヨング・ヴィットスタールトで、母はコッピダイフィンである。

 ヨング・ヴィットスタールトは、いつも優勝していた。旧式の、栗色の口をしているが、このような目は、最近では滅多に見られない。一方のコッピダイフィンは。かわいらしい黄色の目をしていた。

 両親とは違い、ブリクセンは灰色(真珠色)の目をしているが、それは祖母のアウド・ヴィットスタールトから受け継いだものである。この祖母の目を、私は完璧だと思っている。真珠のような灰色がかった、

豊かな色をしていて、瞳はぐるりと完全にアイサインで囲まれている。多くの鳩の専門家が探し求めている目だ。そのような目を持つ鳩は、血統を強化するのに適しているからである。

 ヨング・ヴィットスタールトのように、レースでよい成績を残し、種鳩としても優秀な鳩を、アウド・ヴィットスタールトはたくさん生んでいる。

 ブリクセンは、本当に情熱のある鳩だ。彼が卵を抱いている時。巣から取り出そうとすれば、巣から卵を落としてしまう危険さえ犯して、翼で力強い一撃を加えるだろう。体格は、平均よりむしろ小さいほどだが、羽毛は、絹のように柔らかく、翼は、特に素哨らしい。もう故人となってしまったが、南アフリカの友人で、翼の専門家であるビル・モーケルは、この鳩ほど素晴らしい翼は見たことがないと言っていた。

 最盛期には、ブリクセンは、いつも先頭を飛んでいて、何度も優勝した。しかし真っ暗な日や雨の日は、かなり平均を下回るような成績だった。

 同じようなことが息子のアンテネにも言えた。明るい天気の日や、強い風が吹いている日でも、アンテネは他の鳩をはるか後方に引き離した。次のことは明らかである。他の鳩が屋根の上をかすめて飛んでいるのに、アンテネは鳩舎を越えて、はるか上空を飛んでいる。向かい風の時、別の高度を見つけていたのだろうか。逆風が弱く、前に進みやすい高度を、アンテネが何を思っていたのかは、謎としか言いようがない。

 プリクセンの真珠色の目には、虹彩基質の外縁に、静脈の厚く広い編目がある。この編目は、ブリクセンが穐鳩として適していることを示している。編目は様々な色をしている。その種が衰退しているならば、色は薄くかすかになり、何も表情を持たなくなる。ご存知のように、ブリクセンの灰色の虹彩の色は、白い目より豊かな、濃い色をしている。

 ブリクセンの息子や孫は、一流のレース鳩で、彼が血統に関して優れた資質を持つことが一層はっきりする。アイサインは完全な円形で、瞳孔に近く、瞳孔と同心円を描いている。虹彩にある黒い点は、大きいにしろ小さいにしろ素晴らしい特徴で、優勝鳩にみられるものである。良い体型であれば、そのような鳩はライバルをはるか後方に引き離して飛ぶ。


 ●ヴィトコップ    2021年4月28日(水) 5:06 修正

 ヴィトコップは、自分が他の鳩より早く鳩舎に戻ってくるだけでなく、厳しい長距離で優勝する鳩の親でもある。1971年に、フランスのルルフェックからロッテルダムヘの、とても困難なレースに参加したとき、ヴィトコップの娘の雌鳩が優勝した。別の娘は、前記のブリクセンとつがいになってアンテネを産んだ。アンテネは「ベルギー・ピジョン・スポーツ」誌によれば、1970年の一流のナショナル・チャンピオンということだ。

 ヴィトコップは、古いハベニス系の純粋の血統の子孫である。母親はアウデ・ヴィットスタールト、父親はグーデ・ヴィトコップである。

 ヴィトコップは、最も注目すべき目を持っている。虹彩の色は、豊かな濃い茶色だが、明るい赤みを帯びた光沢をしていて、その銅色の輝きが目立つようになればなるほど、彼の調子は良くなってくる。虹彩にある血管の環は、とても広く、見たところ、粒状の編目になっている。この種の目は、祖先の鳩の血統の良さ、潜在力を表している。

 虹彩の色は、混じりけがなくなめらかで、均質である。別の色は見られない。一見したところ、粒状の目の構造は、とてもきめが細かいので、実際には存在しているはずの色の濃淡が分かれては見えないのである。構造単位は、実際には一続きではなく、小さな単位の寄り集まりである。構造単位がより密でより細かいほど、目の色は均一に見えてくるだろう。

 ヴィトコップの父親は、栗色の目の美しい雄鳩である。ヴィトコップの自身の目も、茶色が虹彩の外側に向かってはっきりと濃くなっている。

 鳩の目の筋肉が茶色なのは、ぎらぎらする光から目をできるだけ保護するためだと
考えられている。だとすれば、ヴィトコ″プが明るい日光の下でのレースで負けたことのない理由は明らかである。

 ヴィトコップの美しいアイサインを、もうI度見てみよう。瞳孔の周りを完全に取り囲んでいて、虹彩より淡い色合いである。そのような円は、鳩が成長するにつれて大きくなる傾向がある。

 良い血統の鳩でも、アイサインが必ず見られるというわけではない。しかし、瞳孔が完全にアイサインに囲まれている鳩が、チームにたくさんいることは望ましい。なぜなら、前途がより有望なものとなるからである。

 ●ファンローイ    2021年4月28日(水) 5:08 修正
 ファンローイは、アトムとアウド・ヴィットスタールトの間の子で、ハベニス系である。
母親と同じようにファンローイは豊かな色合いをした目を持ち、虹彩の色も良く。細かく広い、完全にはっきり見えるアイサインがある。アイサインの。鋸歯状の部分は、前で、くちばしに向けて最もはっきりわかるようになっている。目の、特に瞳孔の上や、後ろの部分には。数多くの点や線がある。

 ファンローイは、とても元気な鳩だが、肉体の発達には、注目すべきところがちっともない。明らかにメルクスや兄弟・子孫たちより劣っている。しかし、骨格組織や骨の強さは際立っている。ハベニス系の特徴として。翼は目立って細くなっている。

 ファンローイは、私達の鳩舎で最も良い鳩に入る。どんなレースにも、勝つという確信を持ってこの鳩を出すことができる。レースシーズン6回の間で、どんな天気でも能力を発揮した。1964年生まれで、ベルギーピジョンスポーツ協会開催の、1966・67・68年のナショナルチャンピオンレースで優勝。1970年までレースに参加して、102レース中98レースで入賞した。健康状態が最も良いとき、金属的な光沢が目に表れる。活力が目から外にあふれているようである。

 ファンローイは、毎年交配をしたが、子孫には灰色の目を持つ鳩が出なかった。これは珍しいことである。どの雌と交配しても、必ず茶色の目を持つ鳩が生まれたのである。



 色々な理論があります。 少し遊び心で仮定を楽しみませんか?  MIT  2021年4月27日(火) 13:53
修正
眼についてはいろいろな理論があり、私もビショップのアイサインの秘密やそのお弟子さんであるフレミングのレース鳩のアイサインの科学的考察等も目にしました。

細かなことは省きますが、要は下地と上地があり下地の筋肉のサークル状の方向と放射状の筋肉の構成と密度と上地の色素粒子と血管の虹彩から現れる特徴をアイサインの無い物からバイオレットまでの認識をビショップは説明し、フレミングはそのことに追加してブル(暗い目)と斑点眼を説明したと思います。

アウトバンド、インナーサークルは下地の見える一部であり、下地の構造を推察するのは上地からわかる情報が長距離の輪だったりスピードラインであったりするというものだったと思います。

構造と密度があるものが、眼に印(標)を持つのだと。
もちろん構造も厚いものから薄いものまであり、同じように見えて非なるものということはあると言っていた記憶があります。

眼は筋肉、色素の粒子、血管、ゼリー状のたんぱく質、眼房液等から成り立っています。

我々は太陽光が、鳩の目に入り反射する光を見て色、構造を把握しています。 光は目の構成する筋肉や粒子でその構造に見合った波長の光を同調吸収し、同調吸収されなかったものを反射し、我々は反射光をみて情報を得ています。

例えば色の場合、光の波長が長いオレンジや赤の波長は、粗い筋繊維・粒子に同調吸収され、反射された青や緑の波長の光を見ることとなります。

よく言うブドウ眼は、下地の密度が粗く、下から眼房液が滲み出してきており赤や黄色など大半の光を吸収し反射する光が少なく血管の赤以外はやや青グレーで見えると思います。

色素のないアルビノ純白色ブドウ眼の鳩は上地が少なく下地(それも薄い)だけの鳩と仮定できます。

このように眼から得る情報と、表情、手から得る感触、体型、骨格構成がリンクする統一理論を探していくのが鳩の楽しみかと思います。

**追加です。
当然のことですが、統一理論には進化(隆起、圧縮)退化(減衰、ブル化グレー化)も含まれて行きます。


 よろしかったら、これからも、遠慮なくこの掲示板にMIT様のお考えを披露していただけませんか。  イレブン  2021年4月27日(火) 21:58 修正
MIT様 投稿ありがとうございます。ビショップさんやフレビングさんの著作も目を通されておられるとのこと。これらの著作はいずれこの掲示板で公開していく必要があると考えております。(これらは、広島で研究されていた書物だとも言われていますので、発刊され間もない頃、すでに、我が国のごく一部の鳩界人は手にしていたということになります)

MIT様は「眼」そのものに関して専門的な知識をお持ちのようですね。眼の構造や機能についてこれほどキチンと解説するのは、門外漢でなせる技のようには思えません。おそらく、「鳩」の眼に関しても、相当な研究内容をお持ちのように察しました。

よろしかったら、遠慮なく、この掲示板にMIT様のお考えを披露していただけませんか。この掲示板をご覧の皆さんとっても新たな「楽しみ」にきっとなると思います。よろしくお願いしますね。

MIT様がおっしゃっている「統一理論」というものが、どのレベルで追求されているのかが今ひとつ飲み込めていないのですが、もし、単純に、「目の色彩や構造」と「表情」、「手から得る感触」(羽質・肉質など)「骨格構成」との関係性ということであれば、かつて、スネークパパさんが1981年に編集された『伝承秘伝書』のなかの「目色眼光理論」で整理された内容がそれに近い内容なのかも知れません。(もっと高度なことかもしれませんが……)後日、内容を整理して、この掲示板に掲載します。差し支えがなければ、ご意見を頂ければと思っております。

もし、これらを含めた上での「統一理論」と言うことでありましたら、イレブンの考えは、「原型と退化」というコンセプトでレース鳩の目の理論を整理しています。

 ※追加で「統一理論」の意味を説明していただきありがとうございます。  イレブン  2021年4月28日(水) 4:54 修正
※追加で「統一理論」の意味を説明していただきありがとうございます。遺伝学などの基本的な専門用語みたいですね。こんな便利な言葉があることをイレブンは知りませんでした。

「原型と退化」という言葉は、イレブンが勝手に使った用語です。「統一理論」の考え方に似ているのですが、レース鳩の場合、「進化」と呼んでいいのか、まだ躊躇しています。「進化」の意味合いや「系統」の理論にも関わってきます。このあたりになるとイレブンもよく分かっていません。ご教示いただければと思います。

「少し遊び心で仮定を楽しみませんか?」とのこと。大賛成です。趣味の世界はそうであってほしいものですね。

 ■■『油性粒子理論 研究』A■■「THE EYES -鳩の目に関するレクチャー+鳩の選び方・育て方」◇第3回◇■(出典:『The eyes and other guides to success』 John Lambrechts 著:『愛鳩の友』誌、2005年12月号、P150〜P153より引用)  イレブン  2021年4月27日(火) 3:23
修正
この『The eyes and other guides to success』の原著が出版されたのは1973年です。今から50年ほど前のことです。

イレブンのこれまでの調査では、我が国で、最初に、目の理論が鳩界専門誌上で「カラー写真」で掲載された記事が登場したのは、1970年1月号の「愛鳩の友」誌の表紙の「アルベール号」でした。

この年の5月号の特集で「レース鳩の『眼』をどのようにみるか?」という記事が掲載されています。この記事では、冒頭に、各地区の連合会会長、支部長及び役員320名にアンケートを送付し当時の「眼」に関する調査結果を集約しています。いつか、こうした記事もこの掲示板に挙げて行きたいと思っていますが、当時は、ほとんど眼に関する情報は公開されておらず、経験値に基づいて「目の理論」が語られていたという状況だったようです。

しかし、海外の情報に通じていた鳩界人は当時から海外の眼に関する文献を入手していただろうと言うことは、十分考えられます。事実、広島鳩界の伝説の人物柳浦氏のもとでは、目の画像が載った文献をもとに勉強会が行われていたという話も残っています。

イレブンは、半世紀経った今も、眼についてあまり変わらない状況が続いているように感じています。

 ■多種な目は可能性の根源■  John Lambrechts   2021年4月27日(火) 3:25 修正
 以前は優秀な成績を収めていたのに、最近のレースシーズンでは徐々に成績が悪くなっている鳩舎をいくつも訪ねたことがある。

その時しばしば次のようなことに気づいた。豊かな色素に十分彩られた眼を持つ鳩が、徐々に姿を消しているのである。目の色の多様性も損われてきている。鳩の持ち主が行動を起こし、これらの特徴をいっそうよく表している鳩と交配しないならば、彼のチームはだめになってしまうだろう。

同様のことは、両立できない血統の間で異種交配を行ってきた鳩舎や、近親交配を推し進め続けた鳩舎にもみられる。結果として、鳩の人為淘汰が厳格に行われてはいないのである。

 多種性が失われ、鳩がそれぞれ似通っているならば、近親交配をしすぎたのが原因なのは明らかだ。

私は、鳩のチームについて「一羽を見ればたくさん見たのと同じ」と言われるのは好きではない。鳩の目、羽色、体格などが多様性を持っていることは、子孫たちの潜在的な可能性を創出する。可能性の根源たる多様性が消失したなら、直ちに飼育法を変えるべきだと言えよう。

 ■多様性を保つための交配■    2021年4月27日(火) 4:08 修正
 鳩をつがいにする際には、熟慮を重ねて慎重に行わなければならない。交配を制する者のみが成功を掴み取るのであり、異種交配と近親交配のどちらを基礎に置くかは問題ではない。同様に、鳩の目のみが考慮の対象になるわけではないと言える。体形・体重・筋肉構造・生理機能・羽毛・粘り強い性格・早く帰ろうとする意思といった特徴も重要である。従って、ある雌鳩と交配するのに適した雄鳩を選ぶとき、目は極めて重要ではあるが、考慮すべき唯一の特徴ではない。

 私の鳩舎では、鳩の多種性を保つために、まず鳩の目が多様となるように注意した。適切な交配の方法を取ることによって、多種性の保存は必ず達成できるのである。


 ■瞳孔の大きさ■    2021年4月27日(火) 4:10 修正
 強い日光の下で瞳孔がとても小さく収縮するような鳩同士でしか交配を行わない愛鳩家は多い。この方法だけが、良い結果をもたらすと考えているのである‥彼らはこの判断について様々な根拠を挙げることと思うが、私には。それがそっくり真実を表しているとは信じ難い。優勝鳩を豊富に産み出している鳩舎では、種鳩の多くは、瞳孔の収縮の度合いはおおむね中くらいである。また好戦的な性格が際立つ種の鳩では。瞳孔はたいてい非常に小さい。

 瞳孔の大きすぎる鳩は好まれない。そのような鳩が無数にいる鳩舎では、血統が朽ちてゆくからだ。少なくとも、価値のない鳩が非常に多いことだろう。また、瞳孔の可動性に関して言えば、良い性質を持つ鳩の瞳孔は、震えるように動いて大きさを変えているとしばしば思われるが、それは必ずしも鳩質の指標となるわけではない。むしろ、あまり好ましくない神経の問題を表す徴候だと考えられる。しかし、光に対する順応性という観点で、瞳孔の可動力を考察するのなら、全くの別問題である。

 虹彩は、円形の括約筋繊維と放射状繊維を持つ筋肉によって主に動かされている。この反射運動は、光の強さに刺激されて起こる。つまり、瞳孔は照度のレベルに適合しているのである。愛鳩家として初期の頃に、初めてのチャンピオン鳩でこの現象を観察することができた。鳩舎の薄暗い棚に止まって私達を見るとき、鳩の瞳孔は急速に広がる。そして、私達の背後の、明るい光が差している窓のほうを見るときには、瞳孔は狭まったのである。あらゆる天候の下で勝者となったこの鳩は、曇天でも打ち負かされることはなかった。

 この頃から、我々はこの目の調節作用の重要性を認識するようになった。明らかに、交配の方針を決定する因子として重要とみなすべきだと考えるようになったのである。

 この能力が自分の鳩にどの程度備わっているのかは、簡単にチェックできる。右手で鳩をつかみ、明るい光の下に晒してみよう。瞳孔は縮まるだろう。そうしたら、その鳩の目の上に、すぐに左手をかざし、十分な暗さの影で覆ってやるのだ。瞳孔が急速に広がるのを確認できたなら、その鳩の適応能力は申し分ないものである。

 ■瞳孔の性能■    2021年4月27日(火) 4:14 修正
 鳩が飛んでいる時の典型的なシチュエーションについて検討してみよう。

明るく良い天気の場合は、鳩は瞳孔を縮め、疲れずにはっきりものを見ようとする。暗い天気になるにつれ、瞳孔を広げ、少なくなっていく光をできるだけ多く受け止めようとする。

もし明るさのレベルに目を順応させることができなければ、鳩は非常に不利な状況のなかで飛ぶことになろう。大きく開きすぎている瞳孔は、鳩を疲れさせるだろう。

間断なく続く日光によってものが見えにくくなるからである。また、鳩が曇天の日に瞳孔を広げることができない限り、適切にものを見ることはできないだろう。

虹彩のこの作用は、様々な明るさの下で写真を撮るときに、カメラの絞りを調節する必要性と同質のものである。

 晴天の下で混乱に陥る鳩がいるが、それは光に対する目の順応性が乏しいからかも知れない。瞳孔を狭めることで、眩しい光に順応する力がない鳩だとすれば、輝く日光に妨げられ、ものをはっきり見ることができない。

また、瞳孔が十分に広からないため、どんより曇った天候の中で飛ぶのには適さない鳩もいることだろう。

 数多くの研究者が、目と瞳孔をテーマに見解を発表している。カーン博士は、人間の目に関し概ね以下のように説明している。

 「角膜は、自由に開く円形の開口部を体液の中に保っている。開口部は水晶体を通して光を目に受け入れている。この開口部が瞳孔である。瞳孔は、色素を含む薄膜で囲まれているが、色素による様々な彩りから、この薄膜は虹彩と呼ばれている。

 虹彩の筋肉の、光に対する非常な過敏性は他に類を見ない。光り輝く物体や、何か日光を反射するようなものについて考えるだけで、瞳孔を縮めるには十分なのである。

 瞳孔を動かす条件は、光だけではない。散大には交感神経系の筋肉が、縮小には迷走神経が関与する。幸福感や激しい情熱などの要素が交感神経系を興奮させ、瞳孔は広がる。

また恐れやゆううつ感などは迷走神経を刺激し、瞳孔は狭まる。女性や子どもなど、精神生活において交感神経の働きが優勢な人々は、瞳孔が大きい傾向にある。

迷走神経の働きが優勢な、強引で、冷酷な性格の人々は、瞳孔が小さく、機敏そうで鋭い容貌をしている。」

 健康ではあるが神経質な人の瞳孔は切れ目なく振動している。私は、大変神経質な鳩にも同様のことがあてはまると考えているが、人間のこの現象は私の主張の裏付けとなるだろう。

 ■目の自己保護機能■    2021年4月27日(火) 4:15 修正
 鳩の目は、どんなに厳しい寒さにも影響されることはない。冬、高度の高いところを飛べば、鳩の目からは体温がかなり奪われてしまうはずだ。凍傷にかかる危険がある。しかし神は、鳩の目を、その危険から護るべく作りだもうた。

 鳩の目には、大変特殊な器官である「くし状突起」の存在を認める。これは非常に多血質の器官で、機能はセントラルヒーティング装置によく似ている。

鳩が大変寒い日に飛んでも、この器官が温かい血液を供給することで、角膜を温め、凍りつかないように保護することがおわかりいただけるだろう。気温の低い中を飛んでいるとき。涙はあふれないはずだ。涙が出るのは、目の炎症を示唆している。

 角膜自体も保護機能を持っている。じょうぶな二枚の膜組織の間に、何層もの結合組織が密に詰まっているのが角膜の構造だ。二枚の膜ともに、細胞の層で覆われていて、雨やゴミから目を保護しているが、この細胞は冷たい空気にさらされるとすぐに死に、絶えず新しい細胞と入れ替わっている。

 もし角膜が炎症を起こしていたり、目がうるんでいたり、また涙が出ているようであれば、目の状態が完全に回復するまで、その鳩は優秀な成績を収めることはできない。角膜が完全に健康な状態でないのに、最良のコンディションでチャンピオンになった鳩など、私はかつて見たことがない。

※注1:ヒトの散瞳(瞳孔が広がる)には交感神経が、縮瞳(瞳孔が縮む)には動眼神経中を通る副交感神経が関与するとされていますが、原文ママとしました。

 さんまさん、鳩レースをプロデユース!!  イレブン  2021年4月26日(月) 3:24
修正
昨夜、テレビを見ていたら、「行列のできる法律相談所3時間スペシャル番組」で「新企画!!ハトレース」が放映されました。

これまでの「鳩レースの紹介」といった内容ではなく、番組で継続して「鳩レース」の魅力を伝えていくという内容でした。視聴率が高い番組なので多くの方がご覧になっていたことと思います。

番組では、日本鳩レース協会に訪問して日本におけるレース鳩の歴史や仕組みを詳しく紹介し、斜陽化する鳩界の現状が説明され、その窮状をこの明石家さんまさんがプロデユースして、レース鳩の面白さを伝えていこうという企画のようでした。

最後に若大将系の及川さんが登場され、どうも、現在、作出されている鳩の中から「行列鳩」を決めて、秋のダービーレースまで密着取材していくような企画になっているようです。

実は明石家さんまさんのお兄さんもレ−ス鳩を飼っていたらしく鳩レースのことはよくご存じでした。

この番組を通して本当にレース鳩の面白さが日本中の人々に伝わり、かつてレース鳩を飼っていた人たちや今の若い世代の人々の間に広がっていくことができればなあと熱い気持ちになってしまいました。

昨日アップしていた素野さんの「作出のセオリー」の前書きの次の言葉が思い起こされました。

「卵で生まれ、無事に孵化した時から愛鳩の一生が始まります。将来のチャンピオンを大切に育てて欲しいものです。そうすることから、私達は鳩文化をより高みに持ち上げていけるのではないでしょうか。

 私達が自信を持って、若者にこの鳩飼育を通じた楽しみ、喜びを体験するように勧めることが出来れば、世代を超えてどれ程素晴らしいコミュニケーションとなることでしょう。

 どんなに発達した文明でも、人の心を満たす事は不可能なのです。子どもが大人と一緒に楽しめるスポーツは鳩レースくらいだと思います。ヨーロッパでは親子、家族で鳩を飼育する文化が根づいております。誠にうらやましい限りです。」

この素野哲さんの言葉のように、明石屋さんまさんの企画番組が、レース鳩の文化の普及のきっかけになってくれればと願う次第です。

   サウスタイム  2021年4月24日(土) 21:23
修正
イレブン様

大変貴重な資料を公開して頂けきありがとうございます。

素野哲さんは、このブログではじめて知りました。

色んな角度から目の理論を研究されていた方が
日本にいらっしゃったことに大変興味があります。

この方は、なりより自分の理論にまったく迷いが
ありません。

おそらく、人知をこえたゾーンに立ち入り物事の
本質を見極める特殊な感性の持ち主の方だと思い
します。

素野さんの考えでは、アイバンドの存在こそがマストで、次に油性粒子と呼んでいるものの存在がより良い
物を求めた時のベターな条件に繋がるとおっしゃって
おります。そこが一番重要なところですが、私なりに
確かめていきたいと思います。

このような理論が今後も展開されて行きますよう
宜しく御願いいたします。

 素野哲さんの理論について  イレブン  2021年4月25日(日) 9:56 修正
素野哲さんの理論については、丁度イレブンがこの掲示板を立ち上げ、レース鳩の飼育を再開したころ、『愛鳩の友』で連載が開始されていて知りました。この掲示板のバックナンバーの最初の頃にその時話題なったことが書き残されています。

素野さんは、残念なことに2013年9月29日、満66歳をもって永眠されました。

素野さんが亡くなられて8年経とうとしていますが、イレブンは、もっと素野さんが書き残された理論を振り返っても良いのではないかと思っています。そうした考えから、これからも、話題に取りあげていく考えです。

素野さんのすごいところは、躊躇なく、重要な問題にたいしてハッキリ考えを述べられているところです。サウスタイム様がおっしゃるように「おそらく、人知をこえたゾーンに立ち入り物事の本質を見極める特殊な感性の持ち主の方」というところが至る所にこの著書の記述に見られます。

そこで、お人柄や考え方が分かりやすい「前書き」と「本誌連載『作出のセオリー』を終えて」をここで引用抜粋しておきますね。

 ■■◇前書き◇■」(出典:素野哲著『作出のセオリー=天才アードレアンに捧ぐ=』、2007年7月31日発刊、愛鳩の友社,P10~P13)  素野哲  2021年4月25日(日) 10:01 修正
○前書き○
 経済水準からすると、今日の日本は世界的にかなり裕福になりました。文明の発展と共に若者達はモバイル、ゲーム、ネット文明に浸り、戦後生まれの私など物の無い時代にうった世代からすると、過ぎた時間が懐かしく思われます。

 同好の士である愛鳩家がないに高齢化し、楽しい鳩談義と肉体の哀えが話題となる今日この頃です。「愛鳩の友」さんとの御縁があり、2年間に亘り連載を続けて参りましたが、この間に全国の皆様から沢山のご質問、ご意見を頂き心から感謝する次第です。

 鳩の趣味においてレースは勿論、作出における方法論について様々な試行錯誤か行われ未だ法則として確立されていないのが現実です。そんな中で、私独自の「作出のセオリー」として一冊に纏めるに当たり、改めて思うことかありました。拙著の副題にも込めました天才アドレアーン・ヤンセンヘの憧憬と深い尊敬の念がセオリー確立への大きな原動力となっていたということです。

 アドレアーンの凄さというのは自分で鳩を作ってみてわかります。ああ、よく出来たなと思った時にフッと思う。毎年、そういうヒナは出来るのですか…、私自身が満足するようなそんなトリをアドレアーンは日常的に作っていました。本人は前面に出て有名になることはありませんでしたか、たとえばポンテーローザ、アイヤーカンブの05カンプハイスやヴ″ンダーフォスケなどのオリジンを作っていると思うと尋常ならざるものを感じます。

 また。「八大銘鳩」というのは総て選手鳩です。これらの鳩から、当たり前のようにアドリアーンは銘鳩を作り上げていく。選手鳩からすごいトリを作るには私の交配セオリーから言いますと優れた種嶋を作るための種鳩が必要となってきます。それを持っているからこそ出来ることでありますか、容易に真似の出来ることではありません。また、アドレアーンが科学的に交配論を考えていたわけでもなかった。生まれつき身についていた、まさに鳩の天才でした。自身のセオリーか確立される中で偉人なる愛鳩家アドレアーンヘの私の思いは深い感謝の念へと繋がっていきました。

 ようやく導き出したセオリーとは言え、わずか、50年の経歴の私見に耳を傾けていただき、読者の皆様には本当に有り難い事と感じ入っております。いずれにしましても愛嶋家に忘れて欲しくない事は、自分が与えた新しい命を、一羽一羽大切に慈しんで欲しいという事です。より良い鳩を作るため、私も必要以上の淘汰をして参りましたが、愛鳩家として、これで良かったのか振り返れば寂しくも思われます。

 種鳩の選定そして理想とする配介の計画を立てている時は愛嶋家にとって至福の時ではないでしょうか。そんな時、心の片隅に拙説を思い浮かべて頂ければ嬉しい限りです。卵で生まれ。無事に孵化した時から愛鳩の一生が始まります。将来のチャンピオンを大切に育てて欲しいものです。

 そうすることから、私達は鳩文化をより高みに持ち上げていけるのではないでしょうか。私達か自信を持って、若者にこの鳩飼育を通じた楽しみ、喜びを体験するように勧めることが出来れば、世代を超えてどれ程素晴らしいコミュニケーションとなることでしょう。どんなに発達した文明でも、人の心を満たす事は不可能なのです。子どもが大人と一緒に楽しめるスポーツは鳩レースくらいだと思います。ヨーロッパでは親子、家族で鳩を飼育する文化が根づいております。誠にうらやましい限りです。

 私も子どもの頃、鳩界の先達に親切に教えを頂き、基本となる鳩知識を得られたものです。今でも心から感謝しております。時の過ぎるのは早く、我が身がその立場にいたるとは思いがけない事です。これからも諸先輩に恥ずかしくない様、日々研讃を積み重ねていきたいと心に言い聞かせる次第です。

2007年7月7日 素野 哲


 ■資料:「鳩の持つ因子群分類表」素野哲  イレブン  2021年4月25日(日) 10:14 修正
素野理論の基本となっている「因子群分類表」です。ここに素野理論の卓越した慧眼が光っていると思っています。

 ■■◇本誌連載「作出のセオリー」を終えて−読者からの反応と筆者の所感−◇■」(出典:素野哲著『作出のセオリー=天才アードレアンに捧ぐ=』、2007年7月31日発刊、愛鳩の友社,P279~P284)  素野哲  2021年4月25日(日) 10:16 修正
○読者の興味は作出より飛ばし方に

――連載を三年間、執筆する中で読者の皆さんから様々な問い合わせや反論が素野さんにあったと思います。振り返っていかがですか。

■素野■北は北海道から南は鹿児島まで、結構。問い合せはありました。記述されている内容については、初めて聞いた話だとか、それはどういうことかという類いが多かった。たとえば、最初の内はブリーディングの問題というより。羽色の組み合わせについてとか、羽色と目の色との関係についてのことなどの質問を受けました。

 私自身としては出来るだけ解かり易く、テーマでもある作出のセオリーを展開してきたのですが問い合せの内容は、もっと初歩的なことが多かった。でも、なによりも感じたのは。読者の皆さんが鳩に熱心であることです。連載記事中には私の自宅の電話番号など載せていないのに、調べて電話をかけてくる人も少なくなかったですね。

――素野さんは幼少の頃、鳩を飼い始める時にたまたま良い先生と出会われて多くを学び、今日に至っています。でも、そういう機会に恵まれずこの趣味を始めるにあたりマスターしなくてはならない基本的なことを学ばずにきてしまった。そういうケースは非常に多いと思うのですが。

■素野■それはあるでしょうね。そのために鳩レースで勝つことばかりに気持ちが向いていて、問い合せも技術的なテクニックに関する内容が多くなる。どこか、切羽詰まっていると言うか・…必要に迫られているということなのでしょう。レースで直接飛ぶのは人間ではなく鳩ですから、まずは作出が大事なテーマになってくるはず。愛鳩家の皆さんも解かっていると思うのですが、どうしても飛ばし方に重心を置いてしまうようです。

 ○作出の「研究」から「競翔」へ    2021年4月25日(日) 10:20 修正
■素野■作出について話す中で、部分的にしか言っていないことでも、飛ばし方に絡んでくると思うと気になる。たとえば、私の場合、作出前は種鳩を雄。雌に分離します。その時に与える餌ばトウモロコシだけ。理由は換羽を綺麗に上げるためであり、一定のコンディションをずっと維持させるためです。また、作出中はアサノミだけだと、そう書いただけで読者は敏感に反応しました。その理由は卵の産みが早まり、親鳩が疲れないと書いているのですが…、それはともかく、選手鳩の普段の餌ばどうなんだということになる。

 選手鳩についても単品主義ですよと私か応えると、じゃあ、どうして配合飼料ではいけないのかと言う。配合飼料を撒き餌にすると、各々の鳩の好みがあって、仕上り具合に違いがでる。そうなると、訓練をした時などは鳩は三つのグループに分かれて帰って来てしまう。単品で与えれば、一緒に帰って来ますね。後は・…舎外で追ってはいけないと書けば、追わなければ鳩は飛ばないのではないかと反論する。でも実際はそうじゃなくて飛ぶんだと言って、あらためて説明するわけです。

――今はもう廃刊になっていますが、並河靖さんが『作出と競翔』という単行本を出版されている。あの本自体、愛鳩の友誌が創刊された時に執筆していただいたのですが、その時のタイトルか「作出の研究」でした。多分、これは秦野さんが今、話された事と同じ局面を並河さんも迎えられたのではないかと思います。じゃあ、飛ばし方はどうすればいいのかと。読者からの質問が続出したのではないでしょうか。結局、部分的に連載で紹介した後、単行本では「作出と競翔」という一大テーマになったという経緯があります。

■素野■飛ばし方については難しい。私なりに論理立てて、こうだと言っても、多くの愛鳩家は自分の飛ばし方を変えようとはしません。たまたま変えた人が非常にいい成績を挙げても、それを見て自分もやってみようとは思いません。

 O愛鳩家の頑固と自己確信    2021年4月25日(日) 10:23 修正
―趣味の愛好家には頑固なところがありますね。恐ろしく頑固なところが(笑)。成果を出したいという気持ちは同じなのですが、それじゃあ、他人のアドバイスに従い、自分もやってみようと。なかなかそういう気持ちにはならない。

■素野■ウチのハンドラーもよく言っています。私の所に来る愛鳩家は、同じ事を聴いていても、みんなやっていることは違う。結局、長く鳩をやって経験を積んでいる人ほど、自分のやり方を変えるのが恐いんですよ。

―たとえばレースで優勝することがあるとする。優勝鳩だから飛ばした本人は、その鳩を好きになります。そのイメージが強く残って、鳩はこういうものでなくてはならないという自己確信を持つ。同様に飛ばし方でも、何度も優勝するなど実績を収めていると、そのやり方は正しいと思う。その自己確信と似ているような気がします。

■素野■多くの愛鳩家は、選手鳩を作る種鳩がいいトリに見えているようです。結果が出るからいいというイメージを持つ。だから、選手鳩鳩舎にいい選手鳩を作る種鳩を入れる傾向があります。選手鳩を作る種鳩の長所を選手鳩に求めてしまうということです。連載でも図で示しながら、鳩には種鳩を作る種鳩、選手鳩を作る種鳩、そして選手鳩と三つのタイプがあることをお話しました。これを理解していないと、目的には沿わない鳩を作ってしまい失敗してしまいます。

 こういうこともあります。私の鳩舎に収まるミューレマンスの鳩は種鳩を作る種鳩です。この鳩を見た人が、そのタイプをイメージしながらヒナを引いたところが、選手鳩を作る種鳩タイプが生まれた。イメージの鳩とは違うというので人にあげてしまうのですが、その鳩の子が相手の鳩舎で飛んでしまった。飛ばした本人は大切な鳩ということで、もう他の人には渡しませんね。

 ○毛か立つ”トリは内臓がいい    2021年4月25日(日) 10:25 修正
―「愛鳩の友」誌に羽毛の一部が立っている鳩が掲載されています。これには何か意味があるのでしょうか。

■素野■私の鳩舎には羽毛が立っているトリはたくさんいます。一部とは言わず、それだらけのトリがいっぱいいますよ。この状態を見て、ある人は病気だと言う。それで大笑いしたことがありました。そうじゃないんですね。内臓のいいトリはそうなります。

 一枚の羽根の真ん中あたりがキュッと立っている。そういう選手鳩については、それが身体全体に立った時、ベストーコンディションになっているということがわかります。私達は〃毛が立つ”と言っている。毛が立つトリは非常に大事です。この事は、内臓のいいトリを飼っていない人には判らないでしょう。判らないから、そういうトリを見た時にヘンだと、病気だと思ってしまう。

―比較的、毛が立ちやすい部分というのはあるのですか。

 素野立つ部分は決まっていません。全面的に出るのがいいですね。鳩の良し悪しを見極める時に、最初はアイバンドが太いかどうかを見ます。その上で毛が立っているならば、その鳩は大事にしたい。シルバーカップとチャンピオンカップで総合シングルに入り、92年の合同会銘鳩賞を獲得していた。ウチの”フレンドシップ”なんかもそのタイプでした。状態が上がってくると毛が立っていました。


 ○トータルで強くなるために    2021年4月25日(日) 10:26 修正
―改めて思うことですが、鳩を飛ばしていく上での初歩的なことは実際、誰もがぶつかっている。50歳代で鳩を飼い始めた人がいて、購入される時は色々いい鳩を見ているので、鳩を見る目は肥えている。ところが、じゃあ、どう配合するのかとか、どう調教して成果に結びつけるのかとなると五里霧中にある。そういう問題はたくさんありますね。

■素野■いい選手鳩を作るには、そのための種鳩がいて…、その種嶋を作るための種鳩がいる。さきほども触れましたが、3つのタイプがある。種鳩用の種鳩なら背中の盛り上がった戦艦タイプ、選手鳩作出用の種鳩は背中から肩にかけて紡錘形を描く、選手鳩は背中が平らで、たとえるとタンカーです。目的に沿って鳩を見極めそれぞれの長所、短所を見ていかなければいけません。ところが、自分はどこに軸を置くのかがはっきりしていない人が非常に多いのか実態です。

 たとえば、選手鳩を求める人が種鳩を作る種鳩を見た時には欠点だらけ。逆に。種填用の種鳩を主軸にすれば選手鳩は欠点だらけです。つまり、先ほども失敗例を挙げましたか、。二つのタイプのポイントをしっかり身につけなければ、トータルでは強くなれないということです。

―しかも長続きしない。大事なポイントはそこにありますね。だいたい強くなる人は何かのタイトルを獲ると、その前後5、6年は強い。ところが、ひとたび後退してしまうと、その強さは蘇らない。そういうテースはとても多いと思います。いい種鳩に巡り合っても、それを。再現することができない。そこに重要な問題があるということになります。

 O指導に忠実、大きな成果    2021年4月25日(日) 10:29 修正
―素野さんの指導を受け、忠実に守っで取り組んでいる方もいますね。また、実に見事な成果を挙げている。

■素野■ある夫婦か鳩レースを楽しんでいます。スタートはそれまで持っていた種鳩をチエ″クして、問題があると判断した鳩を除き、スタ″フを揃えたところから始まりました。親を超える直子が生まれたなら、その親も必要ない。飛んだら、その子どもから始めなさいと私は言っています。そうしないとグレードアップしていきません。

 私のセオリーにそって容赦なく鳩を選別していったものですから、相手は家へ帰ってから一晩、泣いたそうです(笑)。配合について指導し、飛ばし方についても話しました。成果はすぐに出ました。支部優勝やシングル入賞、総合レベルでも上位につけるようになりました。

―この御夫婦の場合は、自分達は何も知らないという前提で学習されてきたことが良かったのでしょう。

■素野■この春も好調ですね。500キロでは支部のワン、ツー、スリーを独占し、4位鳩とトップとの差は1時間です。まだ、自動入舎システムは使っていないので昔ながらの打刻で、3羽くらいしか打たないと言ってます。その3羽がトップースリーでした。
 
―3年間に亘る連載を振り返り、またお話しを聴きながら、改めて思うことがありました。とにかく素野さんの観察や、経験の総量というのは膨大で物凄いものがある。根っからの鳩好きであり、好奇心がなければ出来ないことです。それに裏打ちされ、理論化されたのが「作出のセオリー」だったということですね。

 改めて総括いたしますと。まず陽性因子、陰性因子を作出論の基軸に据える。それ自体、卓抜なことですか、交配のメソッドをより具体的に展開するために、引きつづき優性、中間、劣性因子を第2の基軸にもってくる。レース鳩においてはひたすら劣性因子を愛好家たちが追究してきた帰結としてレース鳩自身の劣化をもたらすという指摘は鳩界への「警鐘」であると痛感いたしました。

(以上、引用抜粋)

 ■■『油性粒子理論 研究』A■■「THE EYES -鳩の目に関するレクチャー+鳩の選び方・育て方」◇第2回◇■(出典:『The eyes and other guides to success』 John Lambrechts 著:『愛鳩の友』誌、2005年11月号、P118〜P121より引用)  イレブン  2021年4月25日(日) 8:28
修正
いよいよ、ここから、テーマとなっている「油性粒子」の内容に触れていくことになります。原著の『The eyes and other guides to success』では、著者の John Lambrechtsは、目だけではなく翼や骨格、そして配合の問題にもふれ、非常に示唆に富む内容が記されています。

欧米にはこうしたレース鳩の理論書が多数存在しています。残念なことに、我が国では、それらの原書を忠実に翻訳した著書は、ほとんど存在しません。鳩理論の情報の上では、鎖国状態に近いとイレブンは思っています。

日本という国は、その基本となっている日本語が他国の言語と比べ比類ないほど特殊な言語です。表記する文字の種類だけでも、漢字、ひらがな、カタカナ、の3種類があり、最近では英語さえそのまま取り入れても違和感がありません。こうした特殊性があるため、他国語を理解するのにかなりハードルが高いとも言われています。

幸い、ネット時代の到来とITの進化によりパソコンによる翻訳がかなり正確になってきましたのでこの情報鎖国の状態も崩れ始めています。

これからもこうした原著の翻訳がもっとすすめば良いのですが……。

 ■コリレーションーサークルが示すもの■  John Lambrechts   2021年4月25日(日) 8:30 修正
 鳩の方向判定能力と「アイサイン」、つまり「コリレーションーサークル」とは関係があるのだろうか。

 私は、その環を持ち合わせていないにも関わらず素晴らしい鳩を、これまでたくさん見てきている。私は何年もの間、目の動きを注意深く観察してきた。そして次のような見解に達することができた。
 コリレーションーサークルは、瞳孔の間近にあっていくらか薄い色をしている。離れたところを見つめている鳩のサークルが、目先に向けて広がる様子、また近くのものを見るときの縮み方などが目をひいた。同様の現象は、瞳孔が広がるような曇りの日にも起こっている。

 一日が終わりに近づき暗くなってくると、瞳孔が広がり、サークルは見えにくくなる。太陽を直視している時は、瞳孔は縮まってほとんど消えてしまうが、この時サークルは、瞳孔と共に閉じてしまっているのだろう。このようなやり方で視界を良好にして、強烈な日光から目を保護しているのではないだろうか。

 最高の状態で活力にあふれている鳩なら、瞳孔と虹彩の境界は、絶えず小刻みに動いているだろう。目の筋肉が強ければ強いほど、サークルの動きをコントロールしやすいか、その鳩の目の筋肉は、サークルの幅を広げるほどには強くはないかも知れない。そうなると、長距離レースにおいてはゆゆしき問題となる可能性がある。強い日差しの中を、一気に何時間も飛び続けなくてはならないからだ。その鳩は日差しによる疲労に対し、抵抗力をあまり持ち合わせていないということになるだろう。

 私自身の鳩舎、あるいは他のチャンピオン鳩舎での体験が、私の想定をより強固にした。目に、幅広く途切れ目のないサークル、あるいは部分的にでもサークルがある鳩は、晴れている時が最もよい状態で、どんより曇っていたり雨が降っていたりする時は、あまりよい成績を上げることができない。この持論は次の事実に基づいている。

 ”フーデ・ヴィットコップ“ ブリクセン″”ファン・ローイ” ”マニックス″その兄弟の”プリンス”のような鳩は、天気かよく、飛ぶ方向がよく見える場合は必ずといってよいほど優勝候補になった。しかし、空か一面に曇っているときは、たいした成績は獲得できないのが常だった。最近では、前述した銘鳩たちの子孫である”ヨング・マニックス”や”タイガー″”フィーネ”にも同じことがあてはまる。この鳩たちは活気に満ちており、瞳孔の周囲に幅広いサークルを持っているのだ。

 ■サークルを意識した配合■    2021年4月25日(日) 8:31 修正
 優秀な種鳩の多くが、とても幅広のサークルを持っていることは確かなようだ。種鳩の質を高め強力にするため、私か使った鳩はすべて、どの一羽をとっても、鋸歯のようにぎざぎざした幅広のサークルを持つていたものだ。”アウデ・リンボールネ” ”ヴィットスタールト” ”グリーズオーグ・クヴェークダイフィン” ″リヒテ・クヴェーカー” ”アトム”といった、私の種鳩の血統を構成している鳩では、瞳孔を幅広くぐるりと囲んでいる。

 例外もあることは何度か述べた。私の種鳩鳩舎にいる”サンセバスチャン・ダイフィン″ディック・ブラウ”どちらも、目に見えるサークルを持っていなかったにも関わらず、格別に良質な子孫を輩出していた。しかしそれぞれに配合した鳩、たとえば前者の相手の”スコーネ・ーヘスケルプテ (美しい胡麻)”や、後者の相手”フェクター”のような鳩は、どちらも素晴らしいサークルを持っており、加えて虹彩に数多くの血管をはっきり浮かび上がらせている。

 このような場合、配合は、何を補い合えるかで決める。私の選択の正しさは、直系がはっきりと示している。彼らは一歳鳩の時からずっと素晴らしい成績を上げ、また全ての鳩がくっきりしたサークルを、完全な環として、あるいは部分的な円弧として持っている。優れた血統を作り上げたいと思っているなら、瞳孔をぐるりと囲むサークルを持つ鳩を選ぶようお勧めする。鳩舎をそのような鳩だけで埋め尽くす必要はないか、サークル鳩を適正な比率で入れておくことは不可欠だ。

 ■もう一つの指標「チャンピオン鳩の秘密」■    2021年4月25日(日) 8:33 修正
 ベストレーサーの多くは、虹彩に一つまたは数個の、点や線状の「マーク」を持っている。ある場合には瞳孔に向かって伸びており、時には瞳孔の上までかかっていることもある。私はこの特徴を「チャンピオン鳩の秘密」と呼んでいる。常勝している鳩の多くに、このマークか微かながら目先に向かって伸びているのが見られる。

 目の色がさほど鮮やかでない鳩でも、有用な子孫を残す能力がある。しかし生まれた子孫の目は、親鳩より一層色味に欠ける。子孫たちは時たま良い成績を上げるかも知れないが、この中に優秀なレーサーは数羽しかおらず、しかも種鳩としては役立たずなことを所有者は認めざるを得ない。

 優秀なレーサーであると同時に、種鳩としても価値のある鳩を育てていかなければならない。血統を何代にもわたって一定の水準に保ち続けるにはこの方法しかない。

 ■鳩の目は成長につれ変化する■    2021年4月25日(日) 8:35 修正
 経験豊かな目利きの愛鳩家たちが探し求めるのは、目が星のような輝きを帯び、サークルから放射状に広がった細い線が虹彩の大部分を覆っているような鳩である。しかし、ひとつだけ注意すべき点がある。この線は、一歳鳩になるまではめったに現れないのだ。目の色についても然り。鳩が成熟するにつれて目は色合いの豊かさを増していく。そして目の色と筋肉の発達の間にも同様の関係を見出すことができる。

 すなわち、目に全ての特徴が現れるぐらい、鳩が十分成長するまで判断を下してはいけないということだ。さもないと、一歳に達していないというだけの理由で、若く潜在能力を秘めたレーサーを無用と宣告してしまうかも知れない。それでは成功はおぼつかない。見所のある若鳩なら、血統だけで十分に特色が見出せることだろう。

 これまで、鳩関係の仕事において明言してきたことがある。私なら、種鳩のためには目の色合いの豊かさが最上級の鳩を探すこと、それと同時に目の色が薄すぎる鳩は処分するということだ。確かに、目の色が薄い鳩のなかにも優秀なレーサーがいることは度々ある。血統を補完したいなら、目にもっと濃い色素を持つ鳩と配合するとよいのかも知れない。とはいえ、その子孫は、優秀な要素も受け継ぐものの、損失もまた大きいようである。必要以上に利口すぎて、このタイプの目に心酔している人は、度を越して近親交配に陥ってしまう。そうなると、方針を根本的に変えない限り、彼らは種鳩を絶やしてしまうだろう。

 ■鳩の目を「読む」訓練を積もう■    2021年4月25日(日) 8:43 修正
 健康的な血統には、目の色合いにおいて非常に多様な鳩が含まれている。目は明るく、何種もの色が混ざり合い、あたかも粕で覆われているかのようにつやがあり、輝いているはずだ。

 鳩の目について正しい所見を得るためには豊富な経験が要求される。完璧な判断に至ることはめったにないし、数日でマスターできるものでもない。目の判断方法を学習する機会はほとんどないが、眼前のものと以前の見聞を比較しようとする姿勢を常に崩さなければ、チャンスは訪れる。

 最も良い先生が、チャンピオン鳩たちだ。優秀な鳩の、生きた実例をいろいろ比較してみよう。そして、ある鳩に現れている特徴が他の鳩にはみられないのはどうしてなのか、よく考えてみるのだ。鳩の目の均整、色合い、マーク、瞳孔等々をよく観察し、鳩の長所を判断する自己訓練を積むのである。観察は、明るく晴れた日など、できるだけ標準的な条件のドで行うこと。注意深く見れば見るほど、色の変移等の特徴が、より明確に見分けられるようになるだろう。

 鳩の目に関する学習には、完璧に近い記憶力か不可欠となる。本物の専門家なら、鳩舎にやってきたとき、その鳩舎で一番優秀な鳩はどれか、家系はどうなっているか等についていつでも説明できるものだ。前回の訪問からずいぶん日が経っていても、いくつもある巣箱からその鳩を間違いなく見つけ出すだろう。優れた記憶力なしには、専門的評価を下すのは不可能だ。無根拠なイマジネーションだけでは駄目なのである。

[第2回以上]

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