世界的巨匠M.デルバールの2回目の来日の際の資料です。来日したのは。1975年11月16日午後4時30分です。同11月27日までの約11日間の滞在だったようです。当時77歳のM.デルバールの行動力には感心させられますね。
さてこのこの座談会「M.デルバール氏((Maurice Delbar)を囲んで」は11月24日、大阪プラザホテルで行われた交歓レセプションの場での記録記事です。37名の参加者を代表して質問したのは、当時の日本鳩界の代表する7名の歴々たる人物です。選りすぐられた質問に対して、M.デルバール氏は、率直・克つ明快な回答を話しています。
重要な発言もありますので、以下に抜粋しますね。
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◎■デルバール■いい眼としての基準ということですが、これはレース鳩、種鳩あるいは品評会に出す鳩の区別なく、いい眼をもっていなければなりません。 私としては眼環、瞳孔は小さい方がよく、いきいきとした色をしていることが大切だと思っています。 それと色が濃い方がいいようです。全体に濃い色で、赤い部分も瞳の部分も濃い色をしているのをみつけるのが大切ですが、この色をみつけるのはなかなかむずかしいです。 また虹彩は赤で瞳に近づくほど黄色を増していくのがいいです。私は金色の多い赤眼の鳩が好きです。 種鳩の眼では暗い色と明るい色とを配合させるといい鳩が出るようです。これは眼だけに限らず羽色についても同じで明るい色には暗い色をかけるとよいでしょう。
◎■吉川■ それではデルバールさんは鳩を選ぶ時どこにポイントをおいて選ばれるのですか。 ■デルバール■ まず最初に羽根をみます。鳩をつかんで羽根を拡げてみて、柔軟性がありよく拡がる羽根をもっているかどうかをみます。それから腰というようにみていきます。
◎■デルバール■(略)これらの9月に行なわれる若鳩レースというのは私の場合は3月と5月に生まれた鳩を参加させるのですが、若鳩をこれらのレースでふるいにかけて、一年目からいい鳩だけを集めてのトレーニングに入ります。
◎■デルバール■Wシステムは雄鳩の帰巣本能を高めるのに非常に効果的なんですが、若鳩にWシステムを用いると鳩がいたみやすいので、8〜9月のレースではナチュラルで参加させています。
◎■並河■ それでは雌鳩の場合はどうですか。若鳩の雌をレースに参加させる時は抱卵で出すのですか。また抱卵させてレースに出す時はやはり12日目頃ですか。それと産卵させないためにはどのような方法を用いますか。 ■デルバール■雌の若鳩はナチュラルで参加させますが、抱卵して行く時は12〜13日頃です。産卵を防止するには一羽につき一つずつの止まり木を与えてやると産卵しません。
◎■デルバール■(略)一度に沢山餌を与えすぎたりするのはよくありません。朝夕それぞれ一時間ずつ舎外をし、鳩舎に入って約一時間半後位に給餌してやればいいでしょう。鳩は舎外後は空腹を覚えるのでこうした舎外の後では、餌をよく食べるようになりますよ。
◎■デルバール■私のところでは朝1時間位舎外させて6時半には鳩舎に呼びこみ、8時頃餌を与えます。餌料はトウモロコシ75%、豆二五%の混合飼料を基本食として常備していますのでこれに小粒を混ぜて朝は15gぼどやります。夜はやや多目の20g位です。朝夕それぞれ食べ残した場合はさっさと片づけてしまいます。それから大麦はシーズンオフは70%位混入しますがレース中は大麦を余り与えません。
◎■岩田■(略)次の1000キロレースに備えるためには、この間どれ位舎外運動をさせればレースにベストコンディションで参加できるでしょうか。 ■デルバール■毎日最低1時間は必要ですね。それでなければ鳩体に脂肪がすぐついてしまいます。旗をふってでも飛ばさなければいけません。できれば朝夕1時間の方がいいですよ。 |