系統鳩の始祖はウラン(Ulen)鳩であるが、この鳩の導入によって多くの系統鳩と称される鳩か誕生した。その中で父とも帝王とも称せられるのかウエッジュ系である。
ウェッジュ(Wegge)はアンヴェルス(Anversois:Anvers)のリエールに住んでいた有名な愛鳩家であるが、1850年頃、アンヴェルスの二人の愛鳩家の鳩を入手したのが最初であった。
そのうちの一人は薬種商でシュイック(M.Scheyck)という人で,もう一人は学校長でドヴレム(Devrembe)という人であった。ドヴレム(Devrembe)の鳩は優秀で、彼がモン・ド・マルサンのレースで優勝したのは実にこの鳩に負う所が多大であった。また、この鳩の子孫は優秀な成績をあげていた。
アンヴェルスの愛鳩家は、以前はキュルビュッタン鳩、スメルル(Smerles)鳩、プチ・ブーラン鳩、カリエール鳩、オウル鳩 等を交配してレースに参加していたが、この時代からは、ウラン(Ulen)鳩の導入か一種の流行になってきたため、アンヴヱルスの鳩舎でウラン(Ulen)鳩が混入されていない鳩舎を発見するのは困難であった。
このことに就いて、フェリス・ジゴー(Felix Gigot)※(1)は「愛鳩家の成功不成功によって、ウラン(Ulen)鳩が混入しているかいないかを区別することができた」と述べている。以上の理由から。ドヴレムの鳩にもウラン(Ulen)の血液が混人されていると判断してもよいであろうと思う。
※(1)『大系統の研究(The study of Grand Families)』の著者アンリー・ジゴー(Henri Gigot)の父。著書に有名な『EYES OF THE GREAT FAMILIES = THE ORIGINAL EYE SIGN BOOK』がある。
シャルル・ウェッジュは約100羽の鳩を飼育していた。どの鳩もどの鳩も立派な鳩で、品評会会に出品すれば全鳩入賞すると思われる鳩ばかりであったが彼は品評会には出品することをしなかった。ウエッジュは良鳩を判別する優れた才能を持っていたいたと言われていた。彼の鳩は、雨天でも、逆風でも常に優秀な成績を納めていたことは愛鳩家の等しく認めるところであるが、彼自身も、400粁以上のレースに良好であると言っていた。
同時代のジッツ(Gits)が近親繁殖を極端に嫌っていたのに反し、彼は近親繁殖をしていた。ウエッジュ(Wegge)の鳩は近親繁殖によって体格等の退化することは殆どなかった。
英国のオスマンが、ベルギーの有名鳩舎を訪問した際に、ウエッジュ(Wegge)の鳩はアンヴヱルスで一番大型の鳩で、立派な鳩であると書いている。彼の研究によれば、ウエッジュ(Wegge)鳩は、リエージュ種(Liegios:Lieges) や、ヴェルヴィエ種(Verviers)との配合は失敗に終わる。ブラッセル種(Brussels)、アントワープ種とのは配合は成功すると書いている。
一般にウエッジュ(Wegge)種の鳩は、血液の交流が全くない鳩に対しては、良好な配偶者とはならないのである。ウエッジュ(Wegge)はウエッジュ(Wegge)と交配せよと言われている理由はそこにあると思う。
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