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 巨匠・名人珠玉選集:【完全復刻引用研究版】伊藤凱三『口伝・鳩学事始』No:012(『愛鳩の友』誌[1995年11月号P80〜P83より引用])  イレブン  2022年12月3日(土) 4:30
修正
※編集中






◇◇◇◇◇◇ 名匠の実践講座 「その11」伊藤凱三 ◇◇◇◇◇◇◇◇

ワ力は飛んでいるか、体は熱くないか。レース結果の一覧表が書き込みで赤く染まるころ、配合のマルバツもほの見える。今年がダメでも来年、秋がダメでも春。さらに孫、曾孫を待て。さても楽しみは尽きない、鳩のある人生である。次の目標は品評会だ。ゆめ美人コンテストと思うなかれと名匠は釘をさす。レースの如く鍛えて出場させよ。「強い鳩こそが美しい」。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ◆◆◆ この鳩はアツイぜ! ◆◆◆  伊藤凱三  2022年12月3日(土) 4:32 修正
秋レースを闘っている最中のことと思います。今秋はどのようなシーズンになりそうですか。新たな気持ちで精進いたしましょう。

◆◆◆ この鳩はアツイぜ! ◆◆◆

 私の所属いたしております北九州第一支部では9月早々、50キロ訓練を終えました。山口県の観光名所、鍾乳洞の秋芳洞の近くから放鳩しました「小さな海越え」です。放鳩地近くが盆地になっており、また錘乳洞の辺りなど何百万年前の地層の上に新しい地層が乗っている構造で、地磁気が狂いやすいようです。帰りは平均して5割、私の鳩舎で8割ほどでした (※註 1 )から、まあまあですね。さて、最終レースを念頭に置いた若鳩の管理について付け加えます。

※註 1…でも、いい鳩から落ちていくものです。

 若鳩に高脂肪のエサを与えると舎外の飛びが鈍ることはすでにお話いたしました。発情が来て、飛んでいてもオスはメスを呼び、メスはオスにくっついていこうとし、ビュンビュンいう飛びからはほど遠くなります。

 秋レースはスピード戦です。エサは大粒のほうが消化が早く、炭水化物を多く含むので体内で早く燃えるのです。こちらで大粒といえばトウモロコシ (註 2 )一点張りです。「愛鳩の友」を見ていると、トウモロコシの他にエンドウ、白エンドウといった綺麗な大粒もあるようですね。東京のほうはエサがいいんだな、こっちにくるのはお下がりなんだなあ、などど考えております。

※註 2…ベルギー人いわく、「黄色い前歯」。あの人達は放鳩地ではトウモロコシだけしかやらないそうです。

 換羽をしながらのレースの場合、体温の上昇に気をつけてください。主翼の9枚目:、10枚目が抜ける3日くらい前から急に体温が上がります。これは、抜けにくい羽を抜くために体が準備しているのです。10枚目など、骨に近いところまで芯が達しているので、手で引っこ抜くにも他の羽の倍の力がいります。体の温度を上げて抜け落ちやすくしているのでしよう。ブロイラ ーの羽毛を抜くときもお湯に数分ひたしてからすると聞いています (註 3 )が、同じ理屈ですね。

※註 3…親しらずが抜ける時、熱が出ることがありますね。 

 9枚目が抜け、7割方生えてくるころに次の10枚目が抜けますから、そのころ鳩を掴んでみて普段より一層温かいと感じたら、抜ける前兆です。調子が上がってきたと錯覚して仕上げをしないでください。抜けたら、雄は元気がなくなります。また、レース本番で主翼10枚目なしで飛ぶことになりそうなオスに限って、参加を見合せたほうがいいかとも思います。人間と同じで鳩もオスのほうがメスより皮下脂肪が付きにくく、「お弁当」が小さいのです。秋レースの最終500キ口は殆どが翌日戦になりますので、お弁当は少ない羽根も少ないオスは極端に帰りが悪くなります。酷なので止めます。

 ◆◆◆ 春向き、秋向きを考える ◆◆◆  ■■■■  2022年12月3日(土) 4:35 修正
 さあいよいよ最終戦を残すばかりという段になって、鳩の調子を見ながら中間訓練を掛けるのは有効です。調子が良いようでしたら20キロから30キロ程度を、また悪いようでしたら50キロか場合によってはそれ以上持っていきます。                          

 訓練を掛けると調子は上がりますから、上がりすぎないように距離をよく考えてください。     

 個人訓練はたいてい、天気のいい日に「内緒で」持っていきます。自分だけのコースを時問や日付を考慮して選んだり放したあとにお宮さんに参ってから鳩舎に戻ったり、皆さんそれぞれ「縁起かつぎ」があることと思います。性能検定としての秋レースも、個々の鳩が戦う春レースも、結果が一目瞭然で分かるような表を作ることにしております。大きめのカレンダーの裏に書き、1シーズンで1枚。鳩舎に入るときに目につくよう、外側に貼ります。内側では鳩がさわるのでだめです。                                        

 内容は、まずレース名と日程を並べ、各レースごとに参加する鳩の脚環番号と両親をワク内に書いていきます。ここまでは黒のマジックペンで記入し、これに赤を入れていくのです。帰ったらマルで囲み、打刻時間、審査後順位が確定したらそれも書き込みます。

 シーズンが終わるころには真つ赤つかですね。この表はメモですから、あとで鳩舎原簿に細かく書き写します。ひととおりレースが終わったところで配合結果について頭をめぐらせます。というのも、ヒナが出た段階、つまり飛ばす前にすでに「これは !」と思う場合が往々にしてあるのですが、これが帰らないことがまた結構あるのです。

 見て間違いない、よくできたトリでも、鳩群全体でフツとよそへ行つてしまったり、レースで落ちることがある。むしろ「いい鳩から落ちる」と申しましょうか、体がいい、子出しがよさそうだ、でも帰らないような気がするなあと思って出すと案の定…ですね。いいヒナが引けたが全鳩失踪してしまった、という場合は同じペアで再度挑戦することは多いです。まあまあの鳩が取れて、帰りが悪かったときはその配合は中止します。

 配合をあれこれ試して性能検定を重ねることによりデータは集積していきますが、最終的にはあくまでもカンの勝負。どうして全嶋落ちたのか、とか、この配合のどこが悪かったのかといったことが分かってしまったらつまりません。ヘタに理論化するとその理屈に縛られてしまうような気がいたします。

 ◆◆◆ 逃げろや逃げろの系統 ◆◆◆  ■■■■  2022年12月3日(土) 4:38 修正
 性能検定といいながらこんなことを言うのはナシですが、本当は秋レースだけでは配合の成否は分からないと思うのです。スピードを競う秋レースだけでなく最後に「遅い鳩」のみが生き残る (註 4)春レースをも戦い抜いてみなければ、真の向き不向きは分かりません。

※註 4 … 「遅い」タイプの鳩とは、長時間の飛翔、連闘に耐え、必ず帰るトリを意味します。 

 鳩がどういう戦い方に向いているかは系統的なものも大いに関係しています。色の黒いような鳩は、早くはないけれども帰って来るので (註 5 )春レースに向いています。またサシ、クリの系統はスピード・バードの血筋です。これは鳩群にあっても目立ちますから、有史以来、猛禽類に追われ続けた系統です。あたりまえに飛んでいたらたちまちのうちにエジキになりますから、早くならざるを得なかったのです。

※註 5… 本誌 95年 2月号、P154〜P155参照。

 導入したばかりの種鳩でしたら、配合結果が良くても悪くても、3年間は楽しいものです。孫の代まで下がればいい結果が出るだろう、という予測がっくタネなどもおりますから心も躍りますね。約40年前に関口龍雄先生がフランスの口ベー|ル・シオン鳩舎から連れ帰ったクリの「ボス」号などは直系に俊鳩が山をなしていました。4代5代と下がっても、鳩のいいところが受け継がれるばかりかどんどん表面に出てくる、こういうのこそが真の銘鳩なのだなあと思います。

 種鳩の導入について付け足します。私は「地元の飛び筋」というものにあまり重きを置きません。各地方ごとに長年受け継がれてきた、その気候や地勢に合わせたラインが果して強いのか。確かに帰還するだけならよいと思います。帰りさえすれば満足という方もおられますが、近年のスピード化の傾向 (註 6 )に挑戦し、勝負の世界に参画してゆくのが鳩飼いではないでしょうか。

※註 6…かつてのレースが、フワアーンと上がつて遠くへ飛ぶ弾道弾とすれば、今はキューツと横に飛ぶ「ミサイル戦」です 。

 そもそも「地元」といっても、ベルギーから来た鳩の血が入り、九州の鳩舎に大阪や東京から鳩を入れるわけです。また、貰って来た卵から孵った鳩が元の鳩舎に飛んでいったという話はザラです。私の鳩舎でも23日目のヒナをあげたところ、1カ月くらいしたら戻って来たことがありました。兄弟が宮杯総合優勝鳩で、後にこの鳩もあげた先に落ち着いて600キロまで記録しました。

 また、ドバトを訓練して400キロまで記録 (註 7 )したことがあります。2カ月かかりましたが帰りました。以上のことから、鳩にとっての「地元」の概念というのもあやしげなものだと思うに至りました。要は、どこの鳩かではなく「どんな」鳩かです。当たり前の話ですが、高価だから良い鳩だとは限りません。

※註 7…脚環の無いドバトを放嶋者に頼んで一緒に飛ぱしてもらったりしたものです。

   ■■■■  2022年12月3日(土) 4:54 修正
◆◆◆ 「ミス・コン」に非ず ◆◆◆

 さて、秋レー|スが終わるとホッと気を抜く間もなく品評会を念頭に置きます。これは「鳩飼いの夢の祭典」として楽しみにもし、また冬の一大イベントとして本腰を入れて参加いたしております。選手鳩はむろんのこと、種鳩までも、鳩舎にいる全鳩を湾させるつもりで管理いたします。

 千キロレースに持って行く気持ちで調子をあげてやると、鳩群は疲れがとれて翌春が楽しみになります。間違っても選手を種鳩鳩舎に閉じ込めてヌクヌクと疲労回復させたりはしません。

 品評会について。「レースは早い鳩の競争、品評会は美人鳩のコンテスト」という考え方は大マチガイです。品評会は「レースに強い鳩」即ちたくさんの長所が内面から溢れ出た、活力のある、美しい鳩が審査を通るのです。ただ1回上位入賞した鳩がオカズならば、品評会では「主食」となるエースピジョンを選びます。人間もオカズばかり食べていれば必ず病気になります。主食とは毎日食べても飽きのこない、それでいて不可欠なもの。品評会で、主食になるようなレース鳩を審査、選定して頂ければ幸いです。

 もしも品評会が美人コンテストならば審査員の好みは十人十色、話はまとまりません。そうではなく、航空力学や物理学に基づいた厳しい基準があるのです (註 8 )。出品する方も客観的基準に準じて鳩を選出し、審査員の審査をするつもりで自信を持って参加してください。


※註8……基準を作られたのが関口龍雄先生です。御労作「鳩と共に七十年」P199〜P205に審査基準がくわしく出ていますので、熟読することをお勧めします。

 品評会は減点法で審査をいたします。何べんでも申し上げているのですが、普通の人がヨソの鳩を見るときに減点法を「欠点法」と曲解し、欠点ばかりを探す風潮がはびこっているように思えてなりません。品評会では理想を100として対象の鳩が5点及ばないから95五点、と採点していきます。真に強い「飛ぶための生き物」を理想として設けた基準に最も近いトリが選ばれるのです。

 ところが欠点法だと、ぱっと見て、或いは摑んで、目が悪い、手持ちが悪い、長過ぎるとにかく欠点を探そう探そうとする。これでは選鳩眼は養われません。鳩を見るときは優れた点から探していかないと、いい鳩を見逃してしまいます。品評会に参加することは良い勉強になりますのでお勧めしますし、参加できないのならばせめて会場には足を運び、お願いして摑ませてもらうべきです。私も毎年5、6羽は出しております。

 品評会をにらみ、舎外で肉のしまった体にします。「500キロ成鳩部門」に出すなら500キロで優勝する管理をするわけです。エサはトウモロコシで、肉付きよく且つ軽く見えるように仕上げます。晴れた日に水浴させて健康的に調子を上げるのはいいのですが、本番10日前から温浴はさせないように。脂肪分が脱けてパサパサになり、審査員に頻繁に触られて脂粉が落ちやすくなるからです。当日は足を水でキレイに拭き、羽をなでつけて舞台化粧です。籠で暴れたら台無し。大人しいのも審査基準のひとつです。

 【関連資料1】■正しい鳩の持ち方を研究し、しっかりした選鳩眼を身につけましょう。■ 伊藤凱三 「今月の管理 西日本地方 11月 」(愛鳩の友1983年11月号P292〜P293)  伊藤凱三  2022年12月3日(土) 5:02 修正

 今年のレースも終わりに近づき、勝負の世界のきびしさを肌で感じる一方、来年への希望のでる季節になりました。

 秋季レースが終わりますと品評会に向けて全鳩参加するつもりで調子をあげて行きます。選手鳩も種鳩も一年間の疲労もとれて、冬の寒さをのりきることが出来ます。

 品評会には、全員が参加するように心掛けたいものです。見て良し、握って良し、翔んで良し、種鳩にして良しと理想の鳩に一歩でも近づくことが、レースに優勝する秘訣と思っております。

 品評会は減点方法ですので、どうしても欠点を探しながら、鳩を見てしまう悪いくせを付けないようにして下さい。自鳩舎の鳩は特長から見るように致しますと配合も分かりやすくなり楽しみがひとつ増えてきます。

 最近は鳩の持ち方が乱れてきているようです。

 自鳩舎の鳩ですとロバシを無理やりあけようが、恥骨を強く押えようが勝手ですが、自分の鳩でしっかり研究をして、訪問鳩舎の鳩には、さわって見るだけで分かるよう努力したいものです。(鳩体には、頭の先から尻尾まで全部関連性があります)

 持ち方が悪いと選鳩眼が疑われて、折角の銘鳩も見せて貰えなくなりますので品評会などを通じて先輩に教えを乞うのもひとつの方法です。

 持ち方が悪いと、五感からは伝わってきません。

 レース鳩は飼っているだけで楽しいものですが、レースに参加する以上は一人でゴム輪入れから放鳩、審査、会運営は出来ません。年度替わりに、会員の方は何かひとつでも会の仕事を引受けるよう心掛けたいものです。

 私の鳩舎は自由舎外ですので、記事にすることがなく、今月の管理からかなり脱線致し、とり留めのない記事ばかりになりましたが、御笑覧していただけたでしょうか。最後に鳩の管理だけでなく、自分の健康管理も忘れずに、今後の御健闘をお祈り申し上げます。  合 掌

 【関連資料2】 『鳩と共に七十年』(関口龍雄著、1995年6月19日発刊、文建書房)について  イレブン  2022年12月3日(土) 5:49 修正
 この『口伝鳩学事始』の連載11月号で伊藤凱三氏は、関口龍雄先生の名著『鳩と共に七十年』に掲載された「銘鳩ボス号」と「レース鳩品評会審査基準」を紹介されています。そして、脚注にこの名著を「御労作『鳩と共に七十年』」と綴っておられます。
 
 実は、この『鳩と共に七十年』が発刊されたのは「1995年6月19日」ですので、丁度伊藤凱三氏の『口伝鳩学事始』が連載されていた年の夏頃ということになります。

 この記事の原稿が編集されていたのは9月頃でしょうから、その時点で伊藤凱三氏の手元にはこの『鳩と共に七十年』があり、すで目を通されていたということになります。このことからも、伊藤氏の普段の研究姿勢の一端が感じ取れますね。ちなみに、1995年ということは、関口龍雄先生はまだご存命中です。

 関口龍雄先生はこの著作を「文建書房」という東京の小さな出版社から出版されています。文献としては、非常に丁寧な表装と編集が施されており、品格のある製本作業がされています。最近、こうした丁寧で格式ある製本がされた出版物はほとんど目にすることがありません。

 当然、関口龍雄先生ほどの人物が書物を出版されるということになれば、愛鳩の友社をはじめとして当時の鳩界メデイアならどこでもすすんで引き受けたことだろうと容易に推測出来るのですが、鳩界と全く関係のない、しかも、弱小出版社(※註1)に出版依頼されているところに、関口龍雄先生の深い思いを感じています。その理由は、本著作を手にし、目を通された方であれば多くの方が感じられていることだろうとイレブンは思っています。

※註1……「文建書房」社は、「語学書や大学受験生向け(高等学校向け)学習参考書を出版する日本の出版社」(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)です。「和文英訳の修業」といった格調の高い参考書の出版で知られていました。格式のある製本に定評があった従業員5名の小さな会社だったようです。1947年に設立し、2014年9月に倒産。現在は存在していません。

 イレブンが、この関口龍雄先生の『鳩と共に七十年』の存在を知ったのは2004年4月にこの「スネークパパの部屋」を立ち上げ、5〜6ヶ月たったころだったと記憶しています。早速、ネットの「日本の古本屋」で検索し、購入しました。当時は、ネット上で、それこそこの『鳩と共に七十年』はごろごろ転がっていました。しかし、これだけの名著ですので、時が経つにつれてほとんど古本屋市場でも売りに出されることはめったにない状況になっています。まさに「幻の名著」となっているのです。

 イレブンもこの十数年、定期的にネットで調査していたのですが、先日やっとネット上の古本屋で出品されていたので、即、購入したほどです。数年に一度の割合で市場にでてくるようです。

何時の日か、この掲示板で関口龍雄先生の『鳩と共に七十年』の全文公開研究に取り組みたいと構想しています。

※上画像:『鳩と共に七十年』の扉と奥付

 ■ レース鳩品評会審査基準 ■  『鳩と共に七十年』(関口龍雄著、1995年6月19日発刊、文建書房)P199~P205より   関口龍雄  2022年12月3日(土) 6:48 修正
◆◆◆ 1 美 観 ◆◆◆

 美観の判定は鳩の外形の美しさだけであって実用性を考えてはいない。即ち外部諸形態の平均がとれていること、輪郭が調整され清浄であると同時に明らかに雌雄の別を表すものでなければならない。

 簡単に言えば整備・姿勢・状態を意味する。姿勢とは鳩が緊張した場合に頭から尾までの線が一定の角度をなして立っていることを言う。例えば尾か地に触れんとして45度の角度をなす場合、尾か床より約5糎ほど離れている場合等色々あるが魅力的な姿勢の鳩とは足の構えなどではなく寧ろ全体的な体格のバランスから現われてくるものと考える。

 状態は姿勢と同様決定的な要素である。有望な優勝候補鳩もコンディション不足のために除外される場合か少なくない。優美な絹の様な羽毛と光沢をもつ鳩は誠に有利であり、出陳鳩は同様に最良の競翔参加の状態でなければならぬ。即ち筋肉の逞しい緊った身体、整然たる外観、あまり発達していない眼環と鼻瘤、輝いた眼をしていなければならぬ、

◆◆◆ 2 表 情 ◆◆◆

 表情と美観は密接な関係かあり特に審査当日の表情の変化は判定に重要な影響を及ぼす。鳩の表情は固定した性質のものではなく健康状態等によって異なる。即ち鳩の瞳や動作を活溌にしたり緩慢にしたりする。優秀な鳩は智能、感受性、精力をあらわす表情かうかがわれる。感受性とは活動の出発点であり総ての動作が導き出される最初の現象で重大な特質の一つである。それは瞳の虹彩の速かな動きによって示されることが多い。精力は活動が成功する重大な要素で精力の表情はするどい服ぎしに表われてくる。

◆◆◆ 3 頭 ◆◆◆

  頭は丸いとか少々扁平であるとかに拘らず、中高で後頭部の発育かよくなければならぬ。頭の形は品評会では総体的外観の点で欠くことの出来ぬものであるかその形はレースの際は問題とはならない。

◆◆◆ 4 眼 ◆◆◆ 

 標準的な眼とは表情に富み物珍しげである。優秀鳩は知性の爛々たる閃きによってその価値を示す。瞬膜の連動は敏活で瞳は鮮麗な輝かしい黒色で光線の強弱に応じて良く調節されなければならぬ。眼の色はブロークン、ブラック、ダークアイ、ブドウ目を除いては如何なる色でも左、右同色でなければならぬ。

◆◆◆ 5 背 ◆◆◆

  鳩の背は大きく平でなければならない。翼の前部を区切って手に持った時、背が広く全く平で且つその部分が丁度尾のところでは一枚の羽のように尾羽の方に延びていなければならぬ。この大きさによって肺の大きさがきまり健康と耐久力の根源となるわけである。

◆◆◆ 6 腰(尾てい骨とその附着点) ◆◆◆

  この節分は大腿骨や筋肉、靭帯等が強力に接合せる処にて鳩のよりよい平衡と最大の耐久力かこの部分より生じてくる。又この部分はよく揃った柔かい絹の様な多量の羽毛によって覆われくびれることなく尾羽の上に充分拡がり雨に対して鳩を守っている。

◆◆◆ 7 胸部骨格 ◆◆◆

  強大な肩、丈夫な骨格、少しの圧力には負けない、しっかりした鎖骨によって広々とした胸と力強さが与えられる。胸の強・弱。弾力性の有無は拇指と人差指にて左・右より胸を軽く押えたり離したりして評価する。鎖骨はバネの役目をする。即ち翼の下掣筋(かせいきん)が収縮している間は翼が近づくのを妨げる。そしてバネが強い程この役目が果される。薄くて弱いV字形の鎖骨端は欠点で弓状の鎖骨の抵抗は弱く鳩は長い飛翔に適さない。鎖骨端はU字形をして合し鎖骨基部は強い靭帯で胸骨に附着していなければならぬ。

◆◆◆ 8 筋 肉 ◆◆◆

 胸部の筋肉は鳩の長距離酢飛翔の万能性を決する重要な部分である。即ち翼の筋肉であり胸筋は大型の標準鳩も小型の鳩でも当然それが釣合っていなければならぬ。そして胸骨に付いている筋肉は固く隆起しており且つ左・右は均衡していなければならぬ。決して肥大していると信じてはならない。

◆◆◆ 9 竜骨突起 ◆◆◆

  竜骨は完全に真直ぐで深くも浅くもなく丸木舟の竜骨の様でその両端は円くなければならない。竜骨前端は弓状でその前方周辺は胸の筋肉か非常に発達している。竜骨の後端と恥骨の前端との間に大きな空間があることは鳩か飛翔巾自分の内臓器官かよく支えられないから一つの欠点である。胸は広く且つ緩く曲り特に胸の下降する線に沿って無用の重昧かあってはならない。

◆◆◆ 10 恥 骨 ◆◆◆ 

 恥骨は完全に閉じている必要はないが緊っていなければならぬ。恰綸も(あたかも)ゴムで出来ている様に指で押して軟く感ずる鳩はどれも減点される。恥骨は鳩が飛翔中内臓器官を支えていることを考えればその厚さと抵抗は強くしっかりしていて、これを結んでいる膜状靭帯で支えられていなければならない。少々の間隙は雌に於いては当然のことである。

◆◆◆ 11 前 翼 ◆◆◆ 

 翼は力強い外観を呈していなければならぬ。優秀な強い身体に適した完全な羽をもち、閉じた時には胸の羽毛でよく覆れていなければならない。10枚の主翼羽と12枚の副翼羽かなければならない。主翼。副翼羽は共に広くよく重り合って羽を拡げた時には粘着したる様な感じで主翼、副翼羽には破れたり、剥離した簡所があってはならない。又翼を開いた時鳩が反抗する様ではいけない。高羽の飛翔中の役割は前進を引起すのである から軽快なことが本質的な特徴である。耳や背部にスレートの様に重り合っている次列風切羽(母衣)は鳩が立っている時。腰の部分を覆っていなければならぬ。翼は身体に釣合った大きさで尾翼端から約1.9糎の所まで達していなければならない。又翼が開かれている時は翼端か一線を画く様に見えなければならぬし、開かれた翼はもとの位置にパタッと戻らなければならぬ。

◆◆◆ 12 後翼と羽毛の性質 ◆◆◆

 標準的な鳩の後翼は約12枚で、力強く且つ後翼の上力・下方は絹のような沢山の小さい羽毛に覆われていなければならない。後翼は飛翔中滑走を容易にするのに役立つ処である。
 羽毛は滑らかで絹のように美しくどの部分もむきだしにならぬ様に充分鳩体を包んでいなけれぱならない。翼にある羽毛はきめの細いもので。羽軸は強力でもとの位置に勢よく返るようでなければならぬ。

※編集中(イレブン)

 ブラボー!! 2022ワールドカップ 日本スペイン撃破!!!  イレブン  2022年12月2日(金) 8:33
修正
今朝、鳩舎から戻ると妻が「日本、勝っとるよ!」と教えてくれました。

びっくりです。すごいですね。日本中が元気になりました!

 巨匠・名人珠玉選集:【完全復刻引用研究版】伊藤凱三『口伝・鳩学事始』No:011(『愛鳩の友』誌[1995年10月号P64〜P67より引用])  イレブン  2022年11月27日(日) 3:25
修正

※編集中




◇◇◇◇◇◇ 名匠の実践講座 「その10」伊藤凱三 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 生まれて一年とたたぬワカを戦列へ送りだす時が来た。まだまだ制帽詰め襟の学生たちだ、秋のレースはテストである。両親祖父母までもが試される希有壮大な試験なのだ。一夜漬けもカンニングも許されぬ、実力そのままが問われている。
 最終試験がさらに過酷だ。落ちて当然の難コース、落ちよ落ちよと名匠は強がる。心は反して血の涙を流す、「帰れ、一羽でも多く・・・」と。

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 ◆◆◆  落ちて覚える事がある ◆◆◆  伊藤凱三  2022年11月27日(日) 3:28 修正
今夏もまた猛暑でしたか、日一日と過ごしやすくなっていきますね。
 私の住んでおります北九州では、支部単位で行なう若鳩の訓練が始まります。鳩だちか生まれて初めて関門海峡を渡る時が近づきました(註1)。しっかり鍛練してやらないと可哀相なことになりますので、心してかかりましょう。
※註1……関門海峡を挟んで、31キロほどのコース。4〜500羽が初の両越えに挑戦いたします。

◆◆◆  落ちて覚える事がある ◆◆◆

 この連載も10回目になりました。新年号の初回で作出論から入りましたが、その後に引いたヒナたち・がもう間もなくレーサー・デビューを果たすのです。これを種鳩の側から言えば、配合の答えが出る時が来たわけです。

 種鳩の成績を見る「後代検定」は飼い主の記憶力の勝負でもあります。几帳面なデー夕管理をしているのかと聞かれることがありますが、基本的には頭の中に入れるようにしております。書いて残すと書いたことに頼るようになって、結局は残りません。せっせと書き入れる人は頭脳コンピューターの働きがはかばかしくない人ですね。目がどうの、羽色がどうのと一つ一つの部分にこだわったら、一瞬にしてすべてを見て取るひらめきを持てなくなります。全部揃ってはじめて一羽の鳩なのですから。

 私はメモ程度に大まかな血統、脚環番号等を、愛鳩の友社で出している『鳩舎原簿(サクセス)」に書いておきます。一年に一冊で十分です。成績だけ赤インクで書き添えるくらいです。鳩が帰らなかったら、赤い横線で消します。

 鳩舎に居る鳩を見て、どれだけ先祖のことを憶えているか、思い出せるか。どんなレース鳩でも必ず銘鳩の子孫ですので、現在生きている銘鳩というものを擬っておいて先々損はないとつくづく思います。系統をずっとたどっていった、その「奥の方」に流れる銘血が、子孫である目の前の鳩にどれだけ色濃く表れているか。掴んだことがあれば、一発でわかると言っても過言ではありません。

 私も数年前、大阪の任鳩舎でヤンセンの019号を握らせてもらったことを感謝しております(註2)。ヤンセンにもいろいろなタイプかおりますが、この原鳩を運良く握った者とそうでない者の後々の違いははかり知れません。

※註2……019号を初めて掴んだ時、「ああ、こんな鳩がおるのか」   衝撃でした。食わず嫌いだったヤンセンに凝り出したのは、それから  です。

 鳩を記憶する一番の早道は、レースで落とすことです(!)。大好きな記録鳩か落ちれば、これこれの血統だったアイツはいいトリだったなあ、Aのレースでこう飛んで、Bレースではゆっくり帰って来て・・:と、あとあとまで思い出せますから。

 鳩を勉強するには、落とさんことにはダメですね。落ちるのがレース、落ちるのか一番の勉強。何回もレースに山し、優勝鳩さえも飛ばじます。そうと予想して出すと、見事に全部落ちますよ。もちろん、可哀相だし帰って欲しい、手元にとっておきたい。……だからこそ、心を鬼にしてレースに出すのです。今日び何でもかんでもストックしますが、落ち方を見る経験を積んで初めて見えてくるものがたくさんあります。

 ただ、1000kを2回くらい飛んだら、ヒナを引いておきます。こういう記録鳩は落ちるまで、選手兼補鳩として仕事してもらう。子が1羽残っていれば、筋は残りますからね。

 ◆◆◆  壁のキャベツが大好物 ◆◆◆  ■■■■  2022年11月27日(日) 3:33 修正

 「鳩は汗腺の発達か悪いので暑さに弱い」――これは”常識のウソ”だと思います(註3)。もともと鳩体は体温が40度くらいと高いので、周囲の気候がこれに追いついてくるという程のものではないでしょうか。暑さ対策にあまり目くじらをたてることはないでしょう。この時期だけは飲水器に水を切らさないようにする、水浴させたタライは置きっぱなしにしない(汚水を飲んでしまう)などを守ってください。

※註3……換羽の問題さえなければ、夏レースをやったって構わないと思います。

 9月も終わり・頃になっても換羽しない鳩は新陳代謝か悪く、皮下脂肪が付き過ぎと思われます(註4)。この皮下脂肪を燃やすために、カロリーの低いエサを5日間与えます。通常のエサはうんと少なくするか全く与えず。プラスリンなどのミネラルをやります。ミネラルを多く含む野菜類すなわちダイコン葉、ニラ、キャベツなどを短期間の主食にするのです。すると蓄慣していた脂肪分を燃焼せざるを得なくなり、やがて換羽が始まります。



 キャベツの外葉をそのまま2、3枚ずつくくって鳩舎に置いておいても鳩はよく食べますよ。丸ごとやることもありまなしにしない(汚水を飲んでしまう)などを守ってください。

 9月も終わり頃になっても換羽しない嗚は新陳代謝か悪く、皮下脂肪が付き過ぎと思われます(註4)。この皮下脂肪を燃やすために、カロリーの低いエサを5日間与えます。通常のエサはうんと少なくするか全く与えず。プラスリンなどのミネラルをやります。ミネラルを多く含む野菜類すなわちダイコン葉、ニラ、キャベツなどを短期間の主食にするのです。すると蓄慣していた脂肪分を燃焼せざるを得なくなり、やがて換羽が始まります。

※註4……皮下脂肪の付き過ぎかひどくなった鳩は腹がピンク色から黄色になります。鶏肉の脂身の色。

 ◇◇◇◇◇◇◇  ■■■■  2022年11月27日(日) 3:33 修正
 キャベツの外葉をそのまま2、3枚ずつくくって鳩舎に置いておいても鳩はよく食べますよ。丸ごとやることもあります。床に転がしておくのは衛生的にどうかと思われますので、針金をキャベツの芯に結び付け、壁にクギを打ってそこにくくりつけておきます。床に立った鳩の頗の高さになるように調節すれば、川ならぬ壁になったキャベツが完成。芯まできれいに食べてしまいます。雑食性のクチバンは意外に強いのです(註5)。

 雑食性といえば、動物性タンパク質もやれば食べますね。8月号でドックフードをやることに少し触れましたが、丸めた生肉(牛、豚、鶏)をやる人もいるそうです。私自身はこれらの肉類は食わせません。鳩の内臓に脂肪が付いてしまって、いけません。

 異常換羽の話に艮ります。2回目の換羽に入るトリがままおります。主翼は替わりませんが首から体にかけてすることがあります。自然ではありませんし、エネルギーを使うので、若鳩の場合は秋レースへの出場は見合わせます。また調子を崩した記録鳩にも起こります。ゆっくり休養させて様子を見るようにします。

※註5……昔、駅のホームに、麻袋に入ったダイズか置いてあるところ   にドバトがたかり、袋を破ってダイズを食っているのを見かけたもの  です。

 ◆◆◆  先生なしでプッ飛び ◆◆◆  ■■■■  2022年11月27日(日) 3:35 修正


 レース目前だというのに、若鳩の舎外の飛びかはかばかしくいかない、という場合について。まず、成鳩と一緒にしていてよく飛ばなかったら、成鳩をはずしてください。先月号で、「一割ほど先生役の成癩を混ぜてやると集団失踪か防げます」と書きましたが、若鳩ももう舎外に慣れ。先生はそろそろお役御免していいころ。先生かいなくなると若鳩はビュンビュン飛ぶようになります。保護役を失った恐怖感があるのと、”自立”したら好奇心が首をもたげてきて、あっちだこっちだと忙しく飛び始めるためです。

 若鳩の好奇心、これはかなり強いてすね。珍しいからトビにも夕力にも団体で近づいていく。猛禽類といっても満腹なら襲って来ません。生徒の群れはこわいもの見たさで寄っていって、軽快に飛んでいます。

 また、エサが多めだと飛びが悪くなります。飛ばないからといってナタネ、アサノミなどの小粒をやるのも間違い。この手の高脂肪のエサをやると発情がきてしまい、さらに飛びは鈍ります。質素なエサを少しに変えてみてください。

 さて、鳩の仕上かり具合を見るために掴みますが、こと若鳩についてはできる限り掴むべきではないと思います。

 成鳩ならば、好きな鳩を基準にして他の個体の仕上がりを掴んで判断します。でも。ワカは言わば海のものとも山のものともっかない段階で、どの鳩のどういう状態に合わせるべきか、指標か定まっていません。そんな状態で掴んでみても果たして何かベストか分かりませんから掴むだけムダです。若鳩に要らぬストレスをかけるだけの結果となります。仕上がりは、舎外の飛びやエサの食い込み、何割くらいが積極的に水浴をしようとするか(註6)といったことで判断したほうが見やすいものです。

※註6……順調に仕上かっていれば、九劃以上が水浴びに来ます。

 春レースは個体ごとに体調や抱卵などの事情がある。一羽ずつの闘いです。しかし秋は、鳩舎全体か。つ一つのレースに挑んでゆく「全体主義」。一羽ごとの仕上がり具合をチェックするのではなく鳩群全体の調子を見るように心掛けております。

 また、秋レースは性能検定ですので、エサなどできるだけいじらず、本来の能力で勝負させるのが望ましいです。

 ◆◆◆ 日本一の難コース ◆◆◆  ■■■■  2022年11月27日(日) 3:36 修正
 秋のメインーレースは何といっても最終戦、読売杯(ジャイアンツ・カップ)500キロです。九州支部連盟レースですか面白いことに東九州連盟の高松宮杯との合同レースなのです。自鳩舎の若鳩だちか『大海』に出てどのくらいのレベルに位置しているかの目安にもなるので、一層張り切って送りだしています。

 放鳩地は琵琶湖の西岸、今津。この近辺には日本一気流か悪く不安定だと私か思っている鈴鹿山脈かあります。若狭湾から気流が入り込み、琵琶湖ではもやが出ます。さらに、日本列島か弓状に湾曲する、人体で言えばグッと腰を反らせた部分にあたり、磁場も狂っていると聞いております。
 何とも劣悪な条件の中に不慣れな若鳩を放り込むわけですから、帰還率は悪くなります。けれどもそれだけ性能検定にはうってつけと申せましょう。私の鳩舎では例年1、2割(註7)、広島あたりでは400キロレースになりますが3割程度とのことです。大阪の人がこのコースを使って200キロ程ですか、やはりほとんど落ちるそうです。

 ですが。距離が延びてもここが帰還コースになることが多いのですから、避けて通れる道ではないのです。高い壁、険しい障壁ですが、ここをクリアーせんことには鳩になれない。まさに命懸けのレースとなります。そして、難関を突破して来た鳩、特に上位入賞鳩は春レースになると一層力を伸ばして、鳩舎の要になってくれます。堂々、長距離バードの誕生です。
 このレースは例年11月の初頭に行われます。当日ギリギリのレース、しかも 「秋の日はつるべ落とし」の頃ですから勇気、スピード、帰巣本能すべてか揃った俊英のみか生き延びるのです。また、帰還後も疲労回復力が分かりやすく、たいへん楽しめるコースです。
 秋レース中に換羽しているトリについて。九枚目、十枚目に神経を尖らせる傾向もあるようですか、私はあまり気にしないことにしています。今述べました最終レースだけはハードなので、10枚目が抜けたオスだけは参加させません。あとは自然に任せます。

 飛ばせ落とせと繰り返しましたが、若鳩の最終レースはなるべくたくさん帰還してほしいというのがうそ偽らざる気持ちです。たくさん帰るということは、配合も正解だった、管理も行き届いたということの最高の証明なのですから。

 【関連資料1】■若鳩は若いうちに鍛えた方がよく、秋レースには積極的に参加しましょう。■ 伊藤凱三 「今月の管理 西日本地方 10月 」(愛鳩の友1983年10月号P292〜P293)  伊藤凱三  2022年11月27日(日) 3:39 修正

 残暑もとれて、私達にとっては爽やかな気候になりました。若鳩にとっては換羽と共に性能検定のレースに入り、下旬には読売杯、高松宮杯などメインレースが続き、コンディション四調整に大変な季節に入りました。
 私の鳩舎では、若鳩のジャンプは一切致しておりません。ジャンプ致すと次のレースにはトップ集団の中に入るようなスピードがついて行かなくなります。また性能検定が判らなくなり、レース結果も今迄のところ芳しくありません。

 若鳩は主翼の換羽も気にかけずにレースをやっておりますが、9枚目と10枚目の抜ける3日前位から急に体温が上ります。調子が良くなったと錨覚してレースに参加致しますと失敗しますので注意してレースに参加させて下さい。

 10枚目が抜けますと体の。バランスが少し悪くなりますが、帰還の悪いレースにはトップ集団にて帰りますので関係なく参加致しております。

 中旬になりますと、春季レースの記録鳩も中間訓練に一緒に持って行き、200キロ位の距離まで訓練致すと春季レースの近い距離の失踪が防げますので是非試して下さい。

 だんだんと日も短くなり、気温も徐々に下がって来ますので、少しずつ調子を上げて行きませんと疲労もとれませんし、最終レースの帰還も悪くなります。

 秋の若鳩レースで、鳩には悪いですが脂肪分の多目の飼料をやりますとスピードが乗ってきます。(性能検定ですので、あまりやりたくありませんね)

 私の鳩舎では、今迄に高松宮杯、読売杯を制した鳩は耳の張りの良い、私の声に応答できる鳩ばかりでした。また兄妹、直系も立派な成績を残しております。

 私の支部内の事ですが(足環は1000個位販売の小支部です)、毎年春の1000キロレースには200羽以上が参加します。その原因は、秋のレースを100キロから500キロまで全会員が本気でレースに打込んで楽しんでいる事です。本能丸出しの鳩は若いうちに鍛えた方がよいようです。その意味で、秋のレースは大事です。

  「※編集中」の【完全復刻引用研究版】伊藤凱三『口伝・鳩学事始』について  イレブン  2022年11月26日(土) 5:43
修正
現在連載を始めた「【完全復刻引用研究版】伊藤凱三『口伝・鳩学事始』」は、とりあえず原文を掲示板に早くアップしようと頑張っているところです。

ちょっと、今は、あまり時間がとれないため、ちゃんと推敲する時間がとれていません。

時間がとれるときに、できるだけ見直しをして、誤字、脱字等の修正をちょこちょこしているような状態です。

誤字、脱字等にお気づきの際は、吉田様のようにお知らせいただくと助かります。その都度修正して参ります。貴重な資料だと思っていますので可能な限りの「完全復刻」を目指しております。

よろしくお願いします。

 研究資料1  イレブン  2022年11月26日(土) 5:47 修正
※7年前撮影した画像です。

上:目画像@0167
下:目画像A0190

 研究資料2  イレブン  2022年11月26日(土) 5:49 修正
上:目画像B0201
下:目画像C0208

 研究資料3  イレブン  2022年11月26日(土) 5:52 修正
上:目画像D0232
下:目画像E0246

 研究資料4  イレブン  2022年11月26日(土) 5:55 修正
上:目画像F0256
下:目画像G0261

 研究資料5  イレブン  2022年11月26日(土) 5:57 修正
上:目画像H0267
下:目画像I0279

 参考資料:岩田系の栗鳩   イレブン  2022年11月25日(金) 23:19
修正
栗の長距離胡麻鳩です。

 表情  イレブン  2022年11月25日(金) 23:21 修正

   ky  2022年11月25日(金) 8:07
修正
メールで資料送りましたご覧下さい。

 ・  イレブン  2022年11月25日(金) 23:18 修正
MIT様に先ほど転送いたしました。

   ky  2022年11月24日(木) 7:43
修正
換羽の途中の鳩は摑
おはようございます、文中上記の誤変換が2箇所あります、この口伝半分くらいしか保存していないので、有り難いです、関西で言われている理論とマルキ系理論と最後の一点が違うなあといつも思っています。

 マルキ系理論に興味があります  MIT  2022年11月24日(木) 9:50 修正
マルキ理論に興味がありますので、ご教授してください。

関西で言われていることと何が違うのでしょうか?

前のキングオブ稚内の時に、この鳩について語りますか?と言いましたが、
語りあう事が出来なくて残念でした。

私だったらこの鳩にBCWの♀をかけRCの黒点を減少させると伝えたかったのですが・・・

違いについてご説明頂けるとありがたいです。

 奇跡の大逆転 ワールドカップ ドイツ戦勝利!  イレブン  2022年11月24日(木) 5:06
修正
イヤー、びっくりしました!すごい試合でしたね!

 巨匠・名人珠玉選集:【完全復刻引用研究版】伊藤凱三『口伝・鳩学事始』No:010(『愛鳩の友』誌[1995年9月号P78〜P81より引用])  イレブン  2022年11月23日(水) 3:29
修正
※編集中










◇◇◇◇◇◇ 名匠の実践講座 「その9」伊藤凱三 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 旗は振るべきか立てるぺきか。鯉のぼりに爆竹、剥製までも動員し、勝利を信じての連日の鍛練である。早朝に体を、日中は肺臓を鍛えつつ。
 暑いとばかりも言ってはいられない。じきに、若鳩は秋レースという戦いへ赴く。未明に、単羽二羽で帰ってこいと、名匠は心を鬼にしてワカを放つ。ただし日出るころの放鳩は控えよ、とも。朝もやにけぶる景色は本当ではないのだから。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ◆◆◆  鯉のぼり強制舎外 ◆◆◆  伊藤凱三  2022年11月23日(水) 3:33 修正
暑さに弱い鳩にはもちろんですが、飼い主にとってもつらい季節がやって来ました。トリをバスケットに詰めて鳩舎から下ろす仕事ひとつとっても、汗だくの重労働です。ですが、この春に引いたヒナ鳩か人前に舎外や放鳩訓練を始めていくのは何とも楽しみですね。疲れか癒される光景です。

◆◆◆  鯉のぼり強制舎外 ◆◆◆

 前回の補足で、換羽について少し述べます。若鳩の換羽を失敗すると、孫の代まで影響か出ると申します。つまり換羽をバロメーターにして、タネにのけてもあまりうまくない鳩がわかるということです。トヤが不調なのは健康状態が悪いのであり、たとえば内臓か悪い場合など羽毛が一度に抜けます。副翼の形も悪くなり、子、孫にも影響が現れます。

 そういう体が弱いトリなんですが……中には可愛いのがおる。頭はいいわけですから、体が強い相い方をあてがったり、ただ鳩舎で大切に飼ったりということをします。私はあまり殺生しませんね。

 12枚ある尾翼のうち2、3枚が生え代わらない鳩は過保護です。「自腹」などどいい卵を産むばかりで自分では抱かないのを繰り返していると、こういう現象か見られます。抱卵させたほうが、親鳩は一時は疲れてもじきに回復します。自然の摂理に反するほうか調子を悪くするのだと思います。

 抱卵の問題のほか、エサが良すぎても尾翼の換羽は不調になります。脂肪分の多いナタネ、エゴマ(註I)、アサノミなどは与えないほうがいいでしょう。脂肪分を取り過ぎると呼吸が早くなり(註2)、調子が狂って短命に終わります。

※註1……昔の番傘、蛇の目傘の表面に塗っていたのがエゴマです。雨具に使ったくらい、油分が強かったのでしょう。

※註2……人間も、脂肪分の多いものを食べると、若干呼吸が早くなります。浅い呼吸、よすぎる新陳代謝では長生きはおぼつきません。長生き=「長息」なのです。

換羽の話はこれぐらいにします。

 さてオフーシーズンもレース鳩は鍛えてやらないといけません。基本は毎日の舎外運動です。一日中出入口が開いていて鳩が自由に飛んだり帰ったりしているのが自由舎外。鳩舎によっては出入口を開けておく時間を決めているようです。強制舎外は、旗や花火などの小道具を用いて、決められた時間に鳩群が飛び続けるようにしむけるものです。

 強制舎外にも二通りあります。旗をプンプン振り回す、花火や爆竹で驚かす、鷹のハクセイを出入口に置いておく等で鳩を文字通り強制的に追いやるもの。言ってみれば恐怖政治を敷くわけです。もうひとつはもっと穏便な方法で、飛翔時間を、立てた旗一本とエサの量で好きに操るのです。鳩の調子がよければこっちで十分イケます。

 私の鳩舎は「こいのぼり」。スーパーで売っていた小さい白黒のやつを2匹、鳩舎の横に立てておきます。鳩はこれが出ている間は飛んでいて、下げたと見るとメシの時間だと帰ってきます。近所の人たちもみんな、こいのぽりを見ているようですよ。

 花火などでビックリさせる作戦は、普段より長時間飛ばすときや飛びが悪いとき、屋根にとまったとき、またはワカが初めて強制舎外に出るときに有効かもしれませんね。ただ、真っ直ぐに上がらずによその家に飛び込んでしまったという話も開きました。くれぐれも気をつけてください。用もないのにご近所を怒らせる愚行は慎みましょう。

 ハクセイは効き過ぎるらしいですね。出入口から下ろしても、鳩は20分くらいはこわがって入らず、ずっと飛んでいるのだそうです。

 ◆◆◆ パーキングエリア大作戦 ◆◆◆  ■■■■  2022年11月23日(水) 3:46 修正
 強制舎外では時間帯を決めた方が規則正しい管理ができ、入舎もスムーズで、良い習慣が形成されます。それが固まった上で、時おり旗を振るなどして負荷をかけ、長時間飛ばすと更によい結巣が山るようです。

 時間帯ですが、早朝、日中ともにそれぞれメリットがあります。早朝と夕方は気温が低く、大気は下降気流になっています。この気流に逆らって飛ぶのは大変で、鳩には筋力が付きます。逆に日中は上昇気流で飛ぶのは楽ですが、気温が高いので呼吸が荒くなっています。こういう時に旗で追ってやれば、次第に上空は涼しいことが分かってきますから、2,3日もすれば良く飛ぶようになります。気流を上手に見つけて飛び続け、呼吸器系を鍛えることになります。

 強制舎外では「固め打ち」が、自由舎外では「ブッチギリ」が多くなると言われます。もともと鳩には集団になる性質があり(註3)、一羽だけになることをことのほか恐れるのです。強制舎外で常に鳩舎一丸となってビュンビュン飛ぶことに慣れると、一羽だけ抜け出て帰る、ブッチギリが少なくなります。その分、早く帰れば上位を独占する固め打ちになりやすく、これを狙って強制舎外にするのもいいかもしれません。また悪天候でばらけて帰るときは自由舎外の鳩舎が強いものです。

※註3……中国語で鳩は「鴿」と書きます。群れ集まる鳥ということです。

 ところで10日間の強制舎外よりも1回の放鳩訓練の方が体力が付くのです。舎外失踪も防げます。…と、。分かっちゃいるけど“あまりやりませんね。車に乗るのが好きじゃないんです。仕事柄、日がな一日乗っているので休みの曰くらいは、となるのです。こういうことでは、勝てません。

 訓練を徹底的に敢行している鳩舎はやはり強いです。ですが(自分を擁護するワケではありませんが)訓練は両刃の剣です。疲れが完全にとれないまま重ねていくと、骨格が狂ってきます(註4)。筋肉がバランスよく発達しないのです。あんまり酸素を入れずに筋肉を使い込むと、ボディービルダーのようなごつい感じになります。。逆三角体型“が持久力にすぐれているというわけでなし、鍛えればいいというものでもありません。

※註4……私見ながら、マラソン選手はバランスがとれてかっこいい。
    でも、短距離の選手はごつい体つきをしています。

 純粋に帰巣本能を高めたいときに単羽訓練をかけることがあります。普通は一羽一羽、間隔を置いて放したり、一羽だけ持っていったりしますが、失踪を防ぐためにできれば二羽ずつの方がいいと思います。二羽を同時に放してもいっしょには飛ばないものです。くっついたり離れたりしながら何となく同方向に進みます。強豪鳩舎の中には、「落ちなば落ちよ」と一羽の単羽訓練を行なっているところがあり、これをくぐり抜けた精鋭部隊はやはり強いですね。

 瀬戸内地方にこんな訓練をかけている人がおります。ダンボール箱に鳩を一羽ずつ入れたものをいくっか用意して、夜のうちに高速道路のパーキングーエリアの公衆電話のボックスの上に置いて回るのだそうです。鳩は暗いうちは箱のなかでじ1つとしています。やがて日が昇ると羽ばたいて住処をめざすのです。

 鳩の帰還云々もさることながら、電話ボックスの上に置いてあるのが見つからなければいいが、などと人ごとながらヒヤヒヤしますね。ともあれ、こんなことをしている人に勝とうと思うたら大変ですよ。人と違うことをしなければ勝てないというのはこういうことなのだなあ、と思ってしまいます。

 ◆◆◆  ガタガタ道を行こう ◆◆◆  ■■■■  2022年11月23日(水) 3:48 修正
 9月には秋レースが始まります。、今年の年明け以降、まだうすら寒い早春から引いたヒナが表舞台に立つのです。まだピイピイいっている今のうちからこそ鍛えてやって、悲しい目に遭わんようにしてやらんといけません。

 毎日の舎外については成鳩と同じですが、この時期、クセの悪い成鳩には要注意です。ビルや屋根の上とか電柱に止まる鳩は閉じ込めて舎外させないようにします。ワカがまねしてしまっていけません。この、止まるというのは遺伝しますね。電線に止まるヤツの子はやっぱり電線に止まっています。

 私は巣立ちして3ヵ月、100日目くらいから訓練を掛け始めます。少しゆっくり目かもしれませんね。10キロくらいの短距離から始めますが、いったん取りかかったら、半月とか1ヵ月とかの間、3日間隔くらいで集中的に行い、短期間で一気に体を作っていきます。

 8月に入ってからは秋レースに照準を合わせた訓練を行います。私は秋は若鳩のためのシーズンと思っております。ワカの性能検定、訓練そして淘汰を兼ねた連戦連闘です。60羽くらいのワカでスタートして、最後の500キロ、若鳩レースの華・ジャイアンツカップを終えるころには半分以下になります。残ったトリは来春も選手として活躍してもらうほかタネにするときもあります。

 さてワカの訓練ですが、一割ほど先生役の成鳩を混ぜてやると集団失踪が防げます。

 訓練に行くときは悪い道を通るほうがいいです。高速道路で気持ち良くまっすぐに目的地に行くのよりも、下の道をトコトコ辿って行って、カーブあり交差点あり、適度に車内で放鳩カゴが揺すられるのがいいのです。揺れることで腰が強くなり、ひいては首が強くなってバランスのよい体に発達します(註5)。

※註5……中国大陸の「ケンカドリ」、闘鶏。トリを小鳥のカゴに入れて、振りながら散歩するのだそうです。

 日の出の前後に放鳩するのは控えた方がいいでしょう。山腹や川筋では必ずもやが出るので羽根が濡れて飛びにくいのです。もやをよければ方向判定を誤りますし、また地平線の角度や太陽の位置が錯覚でズレて見えがちなのです。こんなときは帰りが悪いので、日の出の30分後にずらすなどの工夫が必要です。

 秋レースに出すのは、一番子か5五月末までに生まれたワカにしています。それより小さい、ヒイヒイ鳴いているようなのでも結構よく帰りますし、200キロ先に迷い込んだりもしますが、トヤの関係もあって少しかわいそうなので、出さないことにしています。

 秋レースは掛け値なしのスピード戦。メスでこまい(小さい)、灰色の明るいトリに期待いたします。テクニ。クを競うよりも、本能的なものをぶつけあう勝負になります。いかにバランスを崩さずすばやく飛べるかにかかっているので、体に対する翼の比率が大きい、小ぶりなボディのトリが強いのです。

 レースが「性能検定」の名称になっている場合もありますが、そうでなくても自分で設定すればいいのです。例年、帰りが悪いレースでこれと決めた鳩が帰ってきたら「合格」、そのトリを産んだ配合はひとまず正解ということです。距離は伸びていなくとも構いません。地域によって例えば200キロ、300キロでも帰還コースによっては帰りが悪いレースがあるものですから、そこに投入します。私の地区の場合、200キロの支部レースに始まって3、4、500キロの連盟レースまで全鳩全投です。訓練が淘汰です。

 【関連資料1】■500キロに上位入賞する鳩は、来春のレースで長距離が期待できます。■ 伊藤凱三 「今月の管理 西日本地方 9月 」(愛鳩の友1983年9月号P274〜P275)  ■■■■  2022年11月23日(水) 4:14 修正
九州地方では、まだまだ残暑の厳しさがのこりますか、中旬には秋季レースに入り若鳩の性能検定も始まります。

 秋は新入会員、学生の方も、舎外、訓練と情熟で好成績のチャンスもありますので頑張って下さい。

 若鳩にとっては命掛けのレースとなり目の届かない遠方で死ぬのが心のこりですが、6月生まれの若鳩まで、私は鬼になって思いきって淘汰をいたすべくレースに参加致しております。

 残暑の気温は若鳩の呼吸器系を鍛えるのに最適です。換羽にともなう呼吸器、骨格、筋肉のバランスも悪くなり、若鳩にとって気の毒です。また内臓の悪い鳩は後日帰りは望めません。(消化器系は鍛えることは難しいようです)

 北部九州ではスピード性のある鳩からレースに落後して行き、琵琶湖周辺の500キロ地点になりますと、遅い鳩同士のレース展開になり、毎年悩んでおります。だけど、上位人賞鳩は春季レースになりますと力強くなり、スピードも増し、長距離を何回も帰還する鳩になり、大変気にいった放鳩地点です。

 若鳩には2度も3度も方向判定をしなおして帰還するコースを放鳩地点に選んでみるのも楽しみです。

 私の鳩舎では、秋のレース中、若鳩の皺雌はツガイにしません。また雌鳩は卵を生ませません。調子をあげながら右記のことを守ってレースをしてゆくのは大変にむずかしいと思いますが実行して見て下さい。秋は良い結果が出ます。

 秋のレースには、雄々とか雌々に生まれた若鳩は使翔しやすく、注意して観察して下さい。

 若鳩は疲れてくると、見ばえがしなくなり、殺生している人もおりますが、レースに参加して、もう一度チャンスを与えて下さい、其の方が安くつき、勉強になります。

 大事にしていた種鳩が、9月下旬までに換羽を始めない場合は皮下脂防の付き過ぎですので、ニラと野菜だけで5日間位飼料を与えるのをやめて下さい。毛替えをはじめます。

 巨匠・名人珠玉選集:【完全復刻引用研究版】伊藤凱三『口伝・鳩学事始』No:009(『愛鳩の友』誌[1995年8月号P72〜p75より引用])  イレブン  2022年11月22日(火) 17:05
修正
※編集中






◇◇◇◇◇◇◇名匠の実践講座 「その8」伊藤凱三◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

愛鳩が一年中で最もみすぼらしくなる季節が来た。風の通らぬ鳩小屋では銘鳩の翼は育たぬと名匠は一言。主翼の揃わぬトリをこそ胸躍らせて長距離に送りだせとは逆説に非ず。けれどわかるだろう、そっくり脱毛したのは病んでいる、とも。鳩の生涯十数年、クスリ漬けにするのはいかんともしのび難い。日の光、清い水、そして自身の回復力。けだし自然こそが至高のクスリである。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ◆◆◆ 不揃いの主翼に期待 ◆◆◆  伊藤凱三  2022年11月22日(火) 17:10 修正
 私の所属する九州支部連盟の今シーズンは全般的に悪天候に泣かされました。ゴールデンカップ 1000キロなど、開開 (かいびやく )以来の全滅レースになってしまいました。このくらいの距離になると参加羽数も少なく、日延べでどんどん経費がかかってしまうものですから、見切らなければならなくなるのでしょう。これはもう運命ですから、役員の方を責めることなく受け入れましよう。

 私もこのレースには13羽を投入しました。結局、15日後に1羽が記録外で帰っただけ (註 1 )に終わりましたが、
「今日こそは帰るかな 」
 と、一週間ほど楽しませてもらったので満足です。帰った1羽はほめてやらんといけませんね。こいつは来年も飛ばそうと思います。

※註 1…編集部注。九州北支部合同会によると、紀録切れの8日目に2羽、その後の後日帰りが2羽あったということです。

◆◆◆ 不揃いの主翼に期待 ◆◆◆

  今月の主題は換羽 (トヤ、毛換え )についてです。

 鳩は生き物ですから、生理的な換羽は生きている間中行っています。全体で5000本近い羽毛が、バランスよく抜けかわっています。卵を産むときには、腹の羽毛が抜けますね。自然の営みとは良くできたものだと感心いたします。

 そのほかに、主翼と副翼、尾翼が抜けかわることを換羽と申します。主翼と尾翼は毎年換わり、副翼は最初の年には2枚、それからは1年に1枚ずつくらいのペースで換わっていくようです。

 ヒナ鳩は生まれて40日目くらいになると首のあたりの羽毛が抜け始めます。これが成鳩になると主翼から始まっていきます。換羽の進み具合は各鳩舎ごとに違いますが、ともあれ11月半ばまでには主翼が10枚とも揃っておりませんと、鳩を掴んだときに手持ちが悪くなり、品評会での入賞は望めません。
                            
 大体が、換羽の途中に掴まれることを大変に嫌がります。

 成鳩がレースシーズン中に換羽が始まり、1000キロに参加する段階で主翼が不揃いなときは期待いたします。主翼の1枚目から3枚目が抜け落ちているのは新陳代謝がよく、元気一杯、絶好調 !というサインなのです。片方で10枚しかない主翼の3分の1がない状態で長距離を飛ぶなど、足をケガして陸上競技に参加するようなものに思えるかもしれませんが、さにあらず。元気なトリには主翼の2、3枚など邪魔になるくらいのものです。

 鳩舎構造の如何により、風通し、温度や湿度がそれぞれ違ってきますね。一般目に、ムレた鳩舎は換羽が早く進みます。
                                  新しくはえてきた羽根の状態によって鳩舎の換気に問題がないかどうかが分かります。ヒナ手羽よりも先の細い、貧相な主翼が出るようでしたら、換気が悪く鳩舎内が酸素不足になっています。こういうときは、金網のそばに鳩がたくさん固まっているものです。              

 鳩は体温が高く、呼吸が早いのでかなり酸素を必要とするようですよ。またこの時期には羽数もかなり多くなっていますから、文字通り息苦しい。その結果、換羽に失敗して羽根が悪くなり、帰れない鳩ができてしまいます。 

  とにかく通風口を早急にこしらえてやることです。自宅や近所の家をよく見て (註 2 )、鳩舎のある地区の風の通り道を調べ、窓や換気口を空けて金網を張りましょう。

※註 2 …… 「家を建てるなら近所に住む大工さんに頼め二日照や通風の特徴を熟知しているからです。

 ◆◆◆ メイン・ディツシュはお魚  ◆◆◆  ■■■■  2022年11月22日(火) 17:13 修正
 この時期の鳩舎掃除では、羽毛を外に出さないことに心を砕かないといけません。抜けた羽根が舞い出ると、風に乗って軽く10メートル四方くらいは飛んでいってしまいます。ただでさえ鳩飼いは肩身の狭い今日このごろ。さらに苦情のネタを提供するようなことは何としても避けなけれ ばなりません。

 そのためには、まず、金網を目の細かいものに取り替える方法があります。それでは手間とカネがかかるという向きには、ダンボール箱で羽根を集める安上がりな工夫を伝授しましょう。

 プラスリンの空き箱くらいの小ぶりのダンボ |ル箱を、鳩舎の四隅に置いておきます。箱はフタを中に折り込んで上をあけ、開いた側を壁に向け、2、3センチ離して置くようにします。鳩舎の中に立っと箱の底が見えている状態になるわけです。鳩の羽毛は空気の流れに乗ってくるくると動きますから、こうしておくと箱の中にたまっていきます。

 また、コンパネなどの板を入口に合う大きさに長方形に切り、下3か所に角材を打ちつけたものを扉の内側に置いておきます。風呂場のすのこのような、または玄関マットのようなものを想像してもらえればいいでしょう。この板の下にも羽毛が入り込み、入口を開け閉めするときに外へ出るのを防ぎます。                          

 換羽の時期は確かにトリも体力を消耗しているのでしょうが、自然現象ですし…。私の鳩舎では特にこれといってエサの内容や量を変えたりはいたしません。しいて言えば、エサをよく太陽にあてることくらいですか。これは前 Mの、梅雨期の対策のときも言いましたが、とにかく日に干していれば間違いはないように思います (註 3  )。

 エサといえば、鳩などの鳥類は動物性タンパク質のうち魚類以外のものの吸収は悪いようです。乾燥タイプのドッグフ Iドを鳩に与えている人がおると聞きますが、牛肉エキスなどの成分が鳩に合わんようですね。吸収されないで体のなかにどんどん溜まっていきます。

 逆に、カキの殻などは理にかなっているわけです。「メジロにはフナコを食わせろ」と聞きますが、なるほど鳥類は魚類、特に川魚をよく吸収しますね。フナコは干した鮒を粉末にしたもので、”魚粉“として売っています。これを鳩にやっていた強豪鳩舎を知っています。ニラなどの野菜に混ぜて食わせたのではないかと思われます。ですが、かくいう私はフナコは使いません。何かいかにも高栄養のタンパク質とカルシウム、という感じがしますが、実は興奮剤です。失敗がこわくて、使えないでおります。

※註 3……干すことによってカルシウムが増えるように思います。もちろん殺菌作用もあります。

 ◆◆◆ やっぱりクスリに警鐘 ◆◆◆  ■■■■  2022年11月22日(火) 17:18 修正
 この連載中繰り返し述べていますが、みんなクスリで成功してクスリで失敗していますね。私はそもそもがあまり頼りたくない方ですが、特に換羽の前は使つてはいけないと思います。

 病気になったときは治療しますが、予防でバンバン投与するのは危険です。何もかかっていないうちからクスリをやると、鳩体の方に抵抗力がついてしまい、肝心なときに効かなくなります。

 クスリは体内に蓄積するものです。生き物がもともと持っていて、病原菌に対抗する腸内細菌を狂わせます。蓄積していった分は体にとって反対に毒になってゆき、いろいろな悪影響を及ぼす。これが副作用です。若いとき、元気なときには解毒できるのですが、パワーがなくなってくると毒に負けます。もしも換羽期に副作用が出ると、レース鳩の命である翼にモロに現れ、1シーズン棒に振ってしまうかへ夕をすると選手生命に関わります。

 羽根の根元は言わば血の塊です。羽根が伸びきるまでは羽軸の中は血管のような状態です。栄養分が乗った血が通っております。羽根が伸びきったら。血管‘はなくなり、羽軸のなかに空洞が残ります。タケノコのようです。

 けれどもクスリの副作用が出ると羽根が途中から折れたり、羽軸から羽根が開かなかったりという症状が現れます。また、古い羽根がごっそり抜けることもあります。先ほど主翼が早めに抜けているのは新陳代謝がいい、元気な証拠と申しましたが、それとは違ってこの「ごっそり」は体調が悪い証拠です。

 前にも言いましたが、換羽は目立たないように進むほど鳩の状態は良好なのです。体調さえよければ早めに抜けた羽根は次も早めに生えてきますから、全体の毛換えは速やかに進み、いつの間にか完了するものなのです。
 
 クスリの話に戻ります。たとえば予防薬を毎年2、3回やるとすると、12、3歳まで巣引きをすればいくら1回の量を抑えてもいずれは体が狂ってくるのは間違いありません。ニワトリのブロイラー、養殖のハマチのように短期間の生命でしたら、その固体にはクスリの弊害は出ずに終わります。もちろん人間はその問題のしろものを食べているというわけですが (註 4 )…。 

※註 4火葬場で、肉とも骨ともっかぬ青い焼け残りを見たことがあります。職員にきいたら「体に残ったクスリだ」と言っていました。

  ◆◆ 幸福の赤い鳩痘 ?◆◆◆  ■■■■  2022年11月22日(火) 17:21 修正

 最後に若鳩の管理について話します。巣立ちを終えた若鳩が選手鳩舎に馴染みはじめたこの時期は、最も病気にかかりやすい時期でもあります。人間も幼稚園児のときにはたいへん多くの病気を持ち帰ります。鳩も全く同じようで、免疫や抗体を作る時期だと思われます。人間であれ、犬や猫であれ、こういう時期を通過せんといけません。ここを越えるとひとつ、強くなりますよ。

 病気は水からうつることが多いので、鳩が水を飲み終えたら飲水器を外へ出してしまいます。呼び込んだらまずエサを食わせ、続いて水をやります。飲水器に寄って来なくなったら下げ時です。

 また、エサを多めにすると、悪くなったものやネズミのフンなどを食べる心配もなくなります。エサの残りを見ると大麦が少しだけあるくらいが適量です。鳩は食いづらい大麦があまり好きではないので、他のエサを選んで食うのです。

 余談ですが、若鳩の代表的な病気である鳩痘が発生すると、そのシーズンに期待する人がおられます。以前、そういう時にたまたま好成績をおさめた経験があって、縁起をかついでのことなのでしょうか。それとも治療のために使ったクスリがそれ以上に効いて、いい結果につながつたことを思い出してのことなのかもしれません。長い間鳩をやっていると、他人には推し量りにくい楽しみ方をする人がおるもんです。

 若鳩はよく日光浴をさぜてやってください (註 5 )。舎外では羽毛を体表面に密着させるので皮膚に十分日光を当てるまではいきません。直接、頭の上から光を浴びるだけでなく、とまっている屋根や地面から幅射熱を合わせて受けるほうが生き物には向いているようです。犬や猫もよく腹這いになっていますよね。石畳に集まっているドバト然りです。

 若鳩を鍛え込んでいく訓練については次回にお話します。

※註 5…制服を着た郵便配達夫より、昼休みに40分間ハダカで日光浴をする地下鉄職員のほうがたくさん日を浴びているそうです。余談ですが

  【関連資料1】■若鳩の換羽に注意しながら、舎外、訓練を計画しましょう。■ 伊藤凱三 「今月の管理 西日本地方 8月 」(愛鳩の友1983年8月号P228〜P229)  伊藤凱三   2022年11月22日(火) 20:13 修正
暑中お見舞い申し上げます。

 私はこの時期、若鳩の換羽を第一に考えて管理をやっています。

 若鳩の時、換羽を失敗致しますと、孫の代まで現われてきますので注意して観察をおこたらないようにしております。羽毛は一本も無駄のないように神様が作っております。長距離を何回も帰還した鳩の子は換羽も早く、秋のレースにむいています。

 私の鳩舎は自由舎外で、個人訓練も致しておりませんので書くことがありませんが、裏面の方から感じることを書いてみます。

 強制舎外ですと、鳩が気流を良く読むようになり、かたまって帰りますが、総合優勝(ブッチギリ)が少なくなります。

 個人訓練のやりすぎは、骨格も狂い、恥骨も甘くなり、長距離を2年、3年と翔ぶうちに、スピードがなくなってくるようです。

 長距離を何回も上位入賞するような鳩は、生後3ヵ月位の体型に戻っております。飼育者が舎外と訓練で、体型を自由に替えることは難しいようです。

 若鳩の訓練で日の出前後の放鳩は、水蒸気の多い大気の時は屈折現象によって太陽の角度が狂ってきますので注意して下さい。2、3のグループにして放鳩してやりますと全滅が防げます。若鳩訓練で有視界飛行の30キロ地点でも、1000キロレースより過酷な時がありますので慎重にして下さい。

 若鳩に予防薬を与えた時は、一気に飲みほしたら真水に替えて下さい。

 若鳩が病気になるのは、蛋白質のやりすぎと、ストレスによります。そういう時は、青菜、鉱物飼料とカルシウム、ミネラルの多い餌を与えて下さい。

 若鳩のメインレース、高松宮杯、読売杯を制する鳩は、血統、骨格、肉質、勇気、全部を揃えております。

 秋季レースに負けると、春季レースもあまり期待出来ません。暑さに負けず、優勝を目標に頑張りましょう。

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